どうやって「予定価格」を作るの?「契約の種類」に応じた作成方式

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予定価格
2005年 グアム
予定価格

「予定価格」作成方法の概略を解説します。物品購入契約や請負契約等の「契約の種類」に応じた作成方式の解説です。予定価格を作成するときは、主に「市場価格方式」と「原価計算方式」を基に作成します。カタログ製品を購入するときは「市場価格方式」です。

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予定価格の作成ルール

 

「予定価格」は、官公庁が実施する契約手続きの中で「重要な役割」があります。入札や随意契約などの「契約方式を判断するための基準価格」、入札手続きでは「落札の基準価格」として用いられます。ところが、予定価格の作成方法について、具体的な作成方法を定めた会計法令は存在しません。物品購入契約や請負契約では、内容が広範囲すぎて、統一的な作成基準を定めることが不可能なのです。(工事契約は国土交通省が積算基準を公表してます。)

 

例えば、清掃契約は、廊下や部屋を掃除して、建物内を綺麗にすることを目的とします。しかし、病院の廊下の清掃と、使用頻度の少ない事務用会議室では、清掃内容が全く異なります。清掃に使用する薬剤などの材料から、簡単な乾拭きにするか、ワックス塗りにするかなどの清掃方法まで、内容が細かく異なります。そのため、統一的な作成基準を設けると、逆に実態とかけ離れてしまいます。作成基準を作成できないのです。

 

一方、工事契約の予定価格積算は、国土交通省が細かく積算基準を定めています。「公共建築工事積算基準」などによって、積算方法のルールが細かく定められ明確になっています。工事契約では、安全を確保するために、品質を一定に保つ観点から、工事の種類ごとに工法が決められています。工事契約の工法は一般化されているので、積算方法を明確にルール化できるのです。

 

本サイトで解説する予定価格の作成方法の解説は、工事契約以外の、ルールが存在しない物品購入契約、製造契約、役務契約について、わかりやすく解説します。過去の実務経験から、具体例を用いて詳しく説明しています。

 

工事契約は、建設業法に基づき、建築や土木などの専門工事を許可された会社が行なう契約です。図面と仕様書から予定価格の積算を行ないます。前提として図面が理解できる必要があります。建築士などの国家資格が要求されます。このため、官公庁関係の工事契約担当者は「技術職」として採用され、一般の事務職員とは業務範囲が異なることが多いです。

 

一般の事務職員(総合職)が担当する契約実務の種類は、工事契約以外の契約です。「契約の種類」を例示した法令として、予算決算及び会計令第九十四条と第九十九条があります。実際の契約実務では、契約方式を検討するときに、最初に参照する法律です。

 

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「契約の種類」に基づく判断

 

契約手続きを開始する前に、「契約方式」を検討しなければなりません。入札手続きになるのか、それとも随意契約になるのか、この判断に必要になるのが「契約の種類」です。予算決算及び会計令第九十四条と第九十九条では、「契約の種類」ごとに「契約方式」が定められています。第九十四条は、指名競争契約が可能な範囲、第九十九条は随意契約が可能な範囲です。

 

第九十九条を参考に「契約の種類」を解説します。

 

予算決算及び会計令 第九十九条
(略)
二  予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせるとき。
三  予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。
四  予定賃借料の年額又は総額が八十万円を超えない物件を借り入れるとき。
五  予定価格が五十万円を超えない財産を売り払うとき。
六  予定賃貸料の年額又は総額が三十万円を超えない物件を貸し付けるとき。
七  工事又は製造の請負、財産の売買及び物件の貸借以外の契約でその予定価格が百万円を超えないものをするとき。
八  運送又は保管をさせるとき。
(略)

 

第九十九条は、「随意契約」が可能な範囲を定めています。「契約の種類」ごとに予定価格で判断します。上記にあてはめて「契約の種類」を整理すると次のようになります。

 

予算決算及び会計令 第九十九条

第二号 工事契約、製造契約
第三号 購入契約(物品購入契約)
第四号 借入契約(賃貸借契約)
第五号 売払契約
第六号 貸付契約
第七号 役務契約(工事契約以外の請負契約、委託契約)
第八号 運送契約、保管契約

 

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「契約の種類」に応じた「予定価格の作成方法」

 

予定価格の作成方式は、契約の種類(内容)によって、大きく2つの方式に区分されます。「市場価格方式」と「原価計算方式」です。

「市場価格方式」の対象となる「契約の種類」

「市場価格方式」は、物品の販売価格が、市場の中で「取引価格」として、既に形成されているときに用います。定価(標準価格)が定められているものや、オープン価格で取引価格が既に決まっているものです。日常的に取り引きされている既製品(カタログ製品)が該当します。上述の「契約の種類」では次のものが該当します。

 

「市場価格方式」によるもの
物品購入契約、借入契約(レンタル等)、売払契約、貸付契約

 

「原価計算方式」の対象となる「契約の種類」

「原価計算方式」は、「市場価格方式」では金額の算出が困難な場合です。主な契約としては、清掃契約や警備契約です。契約の内容が「主に人件費」で構成されるもの、あるいは材料を仕入れて何かを作る製造契約が該当します。必要となる経費を細かく積算して予定価格を作成します。主な積算項目は、人件費+材料費+経費です。

 

「原価計算方式」によるもの
工事契約、製造契約、役務契約、運送契約、保管契約

 

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地方公共団体の「契約の種類」

 

上記の予決令(予算決算及び会計令)は、各省庁など国の組織を対象とする会計法令です。都道府県や市町村などの地方公共団体は、地方自治法等に定めています。予決令第99条に相当するのは、次のとおりです。

地方自治法施行令

第百六十七条の二 (略)随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。
一 売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(略)が別表第五上欄に掲げる契約の種類に応じ同表下欄に定める額の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき。

 

別表第五(抜粋)

工事又は製造の請負
都道府県及び指定都市  二百五十万円
市町村  百三十万円

財産の買入れ
都道府県及び指定都市  百六十万円
市町村  八十万円

物件の借入れ
都道府県及び指定都市  八十万円
市町村  四十万円

前各号に掲げるもの以外のもの
都道府県及び指定都市  百万円
市町村  五十万円

 

地方公共団体も、ほぼ予決令と同様であることがわかります。市町村は上限金額が半分です。

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「民法」と「官公庁の契約」の関係

 

また、注意すべき点は、官公庁が締結する契約も「私法上の契約」であるということです。会計法や地方自治法等だけでなく「民法」の適用を受けます。

 

「私法上の契約」という意味は、簡単に言えば、民間会社と「対等な立場で契約する」ということです。民法は、第二章の「契約」の中で13の典型契約を定めています。(贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解)上述の「契約の種類」とは微妙に区分が異なります。(工事契約や製造契約という区分ではありません。)

 

官公庁の契約実務で、民法が適用される主な部分は次のとおりです。

 

第二節 意思表示 錯誤(入札金額の間違いなど)
第三節 代理(入札の権限)
第五節 条件及び期限
第三章 所有権
第二章 契約
第三款 契約の解除

 

ただし、日常の契約実務では、民法の知識がなくても問題ありません。民法の知識が必要となる場面は、契約内容に「トラブルが発生したとき」です。通常は、民法まで深く理解して契約手続きを進めることはありません。見解の相違などで、契約上のトラブルになりそうなときは、早い段階で弁護士へ相談する方が安全です。


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