契約の種類に応じた予定価格の作成方式、市場価格方式と原価計算方式

予定価格

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物品購入契約や請負契約等の契約の種類に応じた予定価格作成方式の解説です。予定価格は主に市場価格方式と原価計算方式により作成します。カタログ製品などを購入するときは市場価格方式です。請負契約などの人件費を主とする積算は、原価計算方式です。

予定価格の作成ルール

予定価格は、官公庁が実施する契約手続きの中で重要な役割があります。入札や随意契約などの契約方式を判断するための基準、入札手続きでは落札の基準価格として予定価格が用いられます。ところが、予定価格の作成方法について、具体的に定めた会計法令は存在しません。工事契約以外の物品購入契約や請負契約などは、内容が複雑すぎて、統一的に積算基準や作成方法を定めることが不可能です。

 

例えば、清掃契約は、建物の掃除をして綺麗にすることを目的とします。しかし、病院の廊下の清掃契約と、使用頻度の少ない事務の会議室では、清掃内容が全く異なります。清掃に使用する薬剤などの材料から、簡単な乾拭きにするかワックス塗りにするかなどの清掃方法まで、内容が全く異なります。そのため、統一的な作成基準を設けると、逆に実態とかけ離れてしまいます。

 

一方、工事契約の予定価格積算は、国土交通省が細かく積算基準を決めています。公共建築工事積算基準などによって、積算方法のルールが細かく定められ明確になっています。工事契約は、安全を確保するために、品質を一定に保つ観点から、工事の種類ごとに工法が決められています。工事契約の工法は一般化されているので、積算方法を明確に定めやすいのです。

 

本サイトで解説する予定価格の作成方法についての解説は、工事契約以外の、ルールが明確に定められていない物品購入契約、製造契約、役務契約について解説します。過去の実務経験から、具体例を用いて詳しく説明します。

 

工事契約は、建設業法に基づき、建築や土木などの専門工事を行うことが許可された会社が行なう契約です。図面と仕様書から予定価格の積算を行なうので、図面を理解する必要があります。建築士などの国家資格を持つ高度な専門知識が必要です。官公庁関係の工事契約担当者は「技術職」として採用され、一般の事務職員とは業務範囲が異なることが多いです。

 

一般の事務職員(総合職)が担当する契約実務の種類は、工事契約以外の契約です。契約の種類を例示した法令として、予算決算及び会計令第九十四条と第九十九条があります。実際の契約実務では、契約方式を検討するときに、最初に参照する法律です。

契約の種類

 

契約手続きを進める前に、入札手続きになるのか、それとも随意契約になるのか、契約方式を検討しなければなりません。この判断基準となるのが契約の種類です。予算決算及び会計令第九十四条と第九十九条では、契約の種類ごとに契約方式が定められています。第九十四条は、指名競争契約が可能な範囲、第九十九条は随意契約が可能な範囲です。

 

第九十九条を参考に契約の種類を解説します。

 

予算決算及び会計令 第九十九条
(略)
二  予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせるとき。
三  予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。
四  予定賃借料の年額又は総額が八十万円を超えない物件を借り入れるとき。
五  予定価格が五十万円を超えない財産を売り払うとき。
六  予定賃貸料の年額又は総額が三十万円を超えない物件を貸し付けるとき。
七  工事又は製造の請負、財産の売買及び物件の貸借以外の契約でその予定価格が百万円を超えないものをするとき。
八  運送又は保管をさせるとき。
(略)

 

第九十九条は、随意契約が可能な範囲を定めています。契約の種類ごとに予定価格で判断します。上記にあてはめて契約の種類を考えると次のようになります。

 

予算決算及び会計令 第九十九条

第二号 工事契約、製造契約
第三号 購入契約(物品購入契約)
第四号 借入契約(賃貸借契約)
第五号 売払契約
第六号 貸付契約
第七号 役務契約(工事契約以外の請負契約、委託契約)
第八号 運送契約、保管契約

 

契約の種類別、予定価格の作成方法

 

予定価格の作成方式は、契約の種類(内容)によって、大きく2つの方式に分類されます。市場価格方式と原価計算方式です。

市場価格方式

市場価格方式は、物品の販売価格が、市場の中で取引価格として形成されているときに用います。物品の定価(標準価格)が定められているものやオープン価格で取引価格が既に決まっているものです。日常的に取引されている物品(既製品、カタログ製品)が該当します。上述の契約の種類では次のものが該当します。

市場価格方式によるもの
購入契約、借入契約(レンタル等)、売払契約、貸付契約

原価計算方式

原価計算方式は、市場価格方式では金額の算出が困難な場合です。主な契約としては、清掃契約や警備契約など、契約の内容が人件費で構成されるもの、あるいは材料を仕入れて何かを作る製造契約が該当します。必要となる経費を細かく積算して予定価格を作成します。主な積算項目は、人件費+材料費+経費です。

原価計算方式によるもの
工事契約、製造契約、役務契約、運送契約、保管契約

 

民法と官公庁の契約

 

また、注意すべき点は、官公庁が締結する契約も私法上の契約であるということです。民法の適用を受けます。

私法上の契約という意味は、簡単に言えば、民間会社と対等な立場で契約するということです。民法は、第二章の契約の中で13の典型契約を定めています。(贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解)上述の契約の種類とは微妙に区分が異なります。

 

官公庁の契約実務で民法が適用される主な部分は次のとおりです。

第二節 意思表示 錯誤(入札金額の間違いなど)
第三節 代理(入札の権限)
第五節 条件及び期限
第三章 所有権
第二章 契約
第三款 契約の解除

 

民法を解釈しなくてはいけない場面は、契約内容にトラブルが発生したときです。通常は民法まで深く理解して手続きを進めることはありません。トラブルになったときは早い段階で弁護士に相談する方が安全です。

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