予定価格の役割と必要性、契約方式を決定する根拠法令と落札基準価格

イギリスのロンドン 予定価格
イギリスのロンドン

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官公庁が作成する予定価格の役割と根拠法令の解説です。予定価格は作成に大変手間のかかる書類です。予定価格は契約方式の判断基準として、また、入札の落札基準価格としての役割があります。

作成するのが大変な予定価格

 

官公庁の契約実務担当者は、「予定価格(よていかかく)」という言葉を聞くと、かなり面倒な書類と感じます。作成するのに大変な労力が必要で、対外的な説明責任を負う書類です。会計検査院や外部監査などで質問を受ける書類です。

 

予定価格は一般の人には理解が困難です。理解していたとしても、それはテレビや新聞などのマスコミ報道で知ることのできる断片的な内容のみです。

 

契約実務を経験した人から見ると予定価格についての誤った報道も多いです。これはマスコミなどの多くが、単に国民の興味を引き寄せるためのニュース(不正事件など)の題材に利用しているからです。

 

予定価格の根拠法令

 

そもそも予定価格とは何のためにあるのでしょうか。

 

予定価格の根拠となる法律は次のとおりです。

 

会計法
第二十九条の三 第五項
契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては、第一項及び第三項の規定にかかわらず、政令の定めるところにより、指名競争に付し又は随意契約によることができる。

 

官公庁の契約手続きは法令等で細かく規定されています。財政法、会計法、予決令に基づいて事務手続きを進めなくてはいけません。

 

予定価格については、財政法には記載がなく下位の会計法で初めて登場します。

 

そして、会計法の下位の政令として予算決算及び会計令に次のように記載されています。

 

予算決算及び会計令

第七十九条
契約担当官等は、その競争入札に付する事項の価格を当該事項に関する仕様書、設計書等によつて予定し、その予定価格を記載し、又は記録した書面をその内容が認知できない方法により、開札の際これを開札場所に置かなければならない。

 

予定価格の根拠法令は、会計法第二十九条の三第五項、予算決算及び会計令第七十九条です。

 

予定価格の必要性

次に、必要性を考えてみましょう。

 

まず、会計法第二十九条の三では第一項で次のように定めています。

 

契約担当官及び支出負担行為担当官(以下「契約担当官等」という。)は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項及び第四項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。

 

第三項は競争に加わるべき者が少数な指名競争です。

 

第四項は競争を許さない場合と緊急の必要性がある場合の随意契約です。

 

第五項は予定価格が少額である場合に指名競争契約または随意契約できると定められています。

 

簡単に記載すると次のとおりです。

会計法 第二十九条の三

第一項 原則は一般競争契約
第三項 例外として指名競争契約
第四項 例外として随意契約
第五項 例外として指名競争契約または少額随意契約

 

第二項は一般競争する場合の参加資格や入札公告の方法について定めています。

 

契約方式の判断基準として必要な予定価格

 

会計法第二十九条の三は、3つの契約方式(一般競争契約、指名競争契約、随意契約)を定めています。そして、第五項の少額随意契約の判断基準として予定価格が用いられています。

 

また、指名競争契約の判断基準(予算決算及び会計令第九十四条)、随意契約の判断基準(予算決算及び会計令第九十九条)として予定価格を用いてます。

 

入札の落札基準価格としての予定価格

 

予定価格が契約方式の判断基準に用いられていることは上述のとおりです。

 

そして、もうひとつ重要な役割として、入札手続きの際の開札で予定価格が用いられます。

予算決算及び会計令

 

第八十二条 契約担当官等は、開札をした場合において、各人の入札のうち予定価格の制限に達した価格の入札がないときは、直ちに、再度の入札をすることができる。

 

第八十三条 落札となるべき同価の入札をした者が二人以上あるときは、契約担当官等は、直ちに、当該入札者にくじを引かせて落札者を定めなければならない。

 

予定価格以下(同額も含む)で落札者となります。予定価格を超えていれば再度入札を行うか、取りやめ(入札不調)になります。

 

入札の際には、予定価格が落札者を決定する重要な基準になります。

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