「見積もり合わせ」って、どうやるの? 初めてでわからない

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契約手続き
2005年 グアム
契約手続き

 

官公庁が「随意契約」を締結するときに実施する「見積もり合わせ」の解説です。「見積もり合わせ」初心者へ、契約実務経験20年のノウハウを公開します。

 

会計法令で定められている「見積もり合わせ」は、具体的な手順や方法を記載した参考書が存在しません。契約実務の経験を積む中で、自ら学ぶしかありません。

 

会計法令や参考書にも記載されてない実際の「見積もり合わせ」を解説します。現場で役立つ情報です。

 

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「見積もり合わせ」の手順

 

「見積もり合わせ」は、「随意契約」を締結するときに、「契約の相手方」を決定するための手続きです。

 

最初に「見積もり合わせ」の大まかな流れ(手順)を示します。

 

1.仕様書の作成
2.販売会社の調査
3.見積書の提出依頼
4.見積もり合わせ
5.結果通知

 

手続きの流れは上述のとおりです。官公庁の会計実務では「なぜ、その手続きが必要か」を理解することが大切です。根拠法令から解説します。

 

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「見積もり合わせ」の根拠法令

 

少額な契約であれば、入札手続を省略し「見積もり合わせ」により随意契約を締結することができます。通称「少額随意契約」と呼ばれています。

 

「少額随意契約」が可能な範囲は、予決令(予算決算及び会計令)第九十九条で、契約の種類ごとに上限金額が定められています。金額は、消費税や取付費など全てを含んだ金額です。

 

予算決算及び会計令第九十九条の契約ごとの金額を簡単にまとめると、次のようになります。

工事契約や製造契約 250万円以下(二号)

物品購入契約 160万円以下(三号)

役務契約 100万円以下(七号)

 

予算決算及び会計令(昭和二十二年勅令第百六十五号)

第九十九条 会計法第二十九条の三第五項の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。

二 予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせるとき。

三 予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。

七 工事又は製造の請負、財産の売買及び物件の貸借以外の契約でその予定価格が百万円を超えないものをするとき。

 

今回は、会計法令に具体的な方法が定められてない「見積もり合わせ」の正しい方法を、具体的に解説します。

 

最初に、なぜ「見積もり合わせ」が必要か、その根拠法令を確認します。

 

予算決算及び会計令

第九十九条の六 契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。

 

官公庁が行なう契約手続きの原則は、不特定多数の者による一般競争契約(公開入札)です。随意契約は、原則に対する例外手続です。最初から2~3社のみを選定し、見積書の比較によって契約の相手方を決定します。契約実務担当者が事前に(恣意的に)数社の会社を選んでしまうものです。

 

会計法令で少額随意契約を認めている趣旨は、事務簡素化の観点(効率性)からです。入札と随意契約を比較すると事務手続きの負担が全く異なります。随意契約なら3日程度で完了できる手続きが、入札なら2ヶ月ほどの長期間必要になります。

 

事務簡素化の観点に加え、契約手続きの原則である価格競争の原理を取り入れたものが「見積もり合わせ」です。

 

では実際の見積もり合わせの方法を、契約手続きの流れに沿って説明します。

 

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仕様決定

 

例として定価15万円のノートパソコンを7台購入する契約を想定します。合計105万円の契約予定金額です。(少額随意契約の根拠法令は、予決令第99条第1項第3号です。)

 

最初に仕様を決定します。仕様とは、発注者側が求める内容(性能)です。購入したい(必要とする)ノートパソコンの性能・規格を決定し、販売会社へ見積書の提出を依頼するための内容です。仕様を作成する担当者を選び、カタログやインターネット上から資料を収集して、比較検討を行い仕様(機種)を決定します。

 

選定した経緯や、使用した資料から「機種選定理由書」を作成します。なるべく複数の者(2~3名)で手分けして作業を行なうと、うっかりミスを防止でき、効率的な事務手続きになります。

 

選定機種

ノートパソコン DELL製 New XPS 13プラチナ

 

CPUにCorei7を搭載しメモリが8GBという基準で選びました。

 

インターネット上で、おおよその市場価格(販売価格)を調べます。価格が1台当たり15万円であれば7台で105万円です。金額は、消費税込みの金額です。

 

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「仕様書」の作成

次に販売会社へ、見積書の提出を依頼するための「仕様書」を作成します。

 

簡単な物品購入であればA4の紙1枚に記載します。

仕様書

品名 ノートパソコン DELL製 New XPS 13 Windows10 Pro搭載

数量 7台

納入期限 平成28年11月30日(水)

納入場所
住所 東京都千代田区
○○省 ○○課 3階 会計係

納入・引渡し方法

上記の納入場所へ搬入・設置後、発注担当者による立会いのもとで既設LAN及び既設プリンターとの接続試験を行い、本物品の性能について検収確認後に引き渡しを行う。なお、接続に必要なケーブル類も本契約に含み供給者が負担するものとする。

保証等

(1)本物品の保証期間は、引き渡し後1年間とし、当該保証期間中に生じた故障等については、発注者の故意または過失による場合を除き、無償にて修理するものとする。

(2)故障時には速やかに担当者を派遣し、修理点検を迅速に行うこと。

(3)本仕様書に示す事項の他、疑義が生じた場合には発注者の指示に従うこと。

 

請求書の送付先
○○省 ○○課 3階 会計係

 

支払条件
検収確認後、適法な請求書を受理した日から30日以内に1回払いとする。

 

契約の細目(別に定めている場合)
○○省が定めた「○○物品供給契約基準」によるものとする。

 

本件担当
○○省 ○○課 会計係 ○○ 電話03-0000-0000

 

「仕様書」が完成したら、「見積もり合わせ」を実施するための「内部決裁手続き」を行います。

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「見積もり合わせ」の実施伺い(決裁手続)

 

「見積もり合わせ」の後に、すぐに契約手続きへ移行します。「見積もり合わせ」を実施する前に内部の承認(契約伺い文書の決裁)を受けます。
ただし組織によっては、少額な契約手続は、契約担当係長の口頭承認のみで「見積もり合わせ」を実施し、決裁手続きを省略することもあります。その場合は「見積もり合わせ」後に契約の相手方が正式に決まった段階で「契約締結伺い」として決裁を受けます。

 

決裁書類は、原義書(あるいは稟議書)へ、購入する物品の必要理由を記載して、仕様書と参考資料(インターネットで調べた資料、おおよその契約金額がわかる資料)を添付します。「見積もり合わせ実施伺い」として決裁を受けます。

 

決裁を受け、上司の承認が得られた後、「見積もり合わせ」を実施します。

 

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見積書を依頼する「会社を探す」方法

 

最初に行うことは、販売会社を見つけることです。販売会社は多いほど良いですが、比例して書類作成の手間が必要です。通常は、3社で「見積もり合わせ」を行います。

 

販売会社を見つける方法は、まず日常的に取引のある会社へ「販売が可能か」電話で聞きます。取引のある会社は、見積もり合わせも、その後の契約締結に必要な提出書類も理解しています。「見積もり合わせ」に関する詳細な説明を省略でき、契約実務担当者の負担が大幅に軽減できます。

 

ただし注意すべき点は、日常的な取引会社だからといって営業範囲外のことは依頼しないことです。ノートパソコンを全く取り扱ったことのない文房具販売会社へ依頼してしまうと、高額な契約となってしまうリスクがあります。

 

その他に販売会社を調べる方法は、インターネットで調べたり官公庁の調達情報検索サイトを利用します。下記のサイトは入札参加資格を得ている会社の一覧が公開されているので、いずれも信頼できる会社です。

 

統一資格審査申請・調達情報検索サイト
http://www.chotatujoho.go.jp/va/com/ShikakuTop.html

 

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「見積書」の提出が可能か、電話で「事前確認」

 

販売会社を3社探したら、最初に電話をかけます。

 

はじめまして、私、○○省○○課の○○と申します。(相手方:お世話になっております)

 

私どもの方でノートパソコンの購入を計画していまして、御社ではノートパソコンを取り扱ってますでしょうか。

 

(いいえ、取り扱っていません との返答の場合には、丁重にお礼を言います。そうですか、すみませんでした、残念ですが、また別の機会に取引をお願いできればと思います。どうもありがとうございました。)

 

(はい、取り扱っています。との返答の場合)

 

それでは見積書の提出を無料でお願いできますでしょうか。

 

(はい、無料で提出できます。)

 

今回は「見積もり合わせ」という方式で、御社の他にも何社か声をかけさせて頂きまして、最も安い見積書を提出して頂いた会社と契約したいと考えています。

 

(わかりました、ぜひ、参加させてください。)

 

では見積もり合わせの案内をさせて頂きますので、連絡方法(電子メールあるいはFAX、担当者のお名前)を教えてもらえればと思います。

 

書類の送付方法と担当者名をメモし、最後に「お忙しいところありがとうございました」とお礼を言ってから電話を終えます。

 

同じように3社へ、見積書の提出が可能か、電話で事前確認します。(いきなりメールするのは失礼です。最初は電話が良いです。迷惑メールと間違われますし。)

 

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「見積書」の提出依頼

 

見積もり依頼の送付先が確認できたら、次にメール(あるいはFAX)の文面を作成します。

 

○○○○株式会社
○○営業部
○○○○ 様

 

いつもお世話になっております。
○○省 ○○課 会計係 ○○です。
私どもでは、別紙仕様書の物品の購入を計画しています。

 

今回は、御社の他にも数社、見積書の提出を依頼してます。提出頂いた見積書のうち、最も有利な金額を提示して頂いた方と契約を締結する予定です。

 

つきましては、ご多忙中恐縮ですが、平成28年10月28日(金)までに見積書の提出をお願いします。(注:メール添付あるいはFAXでの提出も可能です。)

 

なお、お手数ですが、受信確認のため本メールに返信(受信した旨の記載のみ)あるいは電話連絡頂けますと幸いです。

 

注:見積書の提出をメールまたはFAXでも可とする場合のみ、その旨を記載します。押印のある書面での提出を必要とする場合は、「郵送または持参でお願いします」と記載します。

 

以上のような依頼文に仕様書を添付して、販売会社の担当者へ送ります。送る日時は3社とも同日の同じ時間帯として不公平が生じないようにします。(見積期間の長短が金額に影響することもあります。)

 

見積書の提出期限は、依頼日から1週間以上の余裕を持って設定します。経費積算に余裕がないと金額が高くなります。

 

依頼した見積書が揃ったところで比較し、最安値の会社と契約することになります。

 

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「見積もり合わせ」の実施

 

郵送で提出された見積書は、封を開けて見積書と封筒をクリップ止めしておきます。メールで添付された見積書は、メール本文と見積書を印刷し、クリップ止めしておきます。FAXで送付された連絡メモも一緒に保存しておきます。

 

これらの書類は「見積もり合わせ」を正式に行なったことを証明する重要な契約関係書類になります。

 

提出された見積書は、日付が記入されているか確認しておきます。日付が空欄の場合は、相手方へ電話連絡して日付の入った見積書を再提出してもらいます。

 

見積書の提出期限が経過した後、(あるいは3社の見積書が提出されたとき)見積書を比較検討します。見積金額に消費税が含まれていることを確認し、最安値の会社を選定します。消費税が不明な場合は電話で確認し、再度消費税を明記した見積書を提出してもらいます。

 

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「見積もり合わせ」の結果連絡

 

見積もり合わせの結果、3社のうち最も安価なA社に決まったと仮定します。

 

B社とC社に対して、見積金額が高かったので別のA社と契約することを伝えなければなりません。

 

この時に注意したいのが連絡する順番です。

 

見積もり合わせの結果を、各会社へ連絡する場合は、最初に不採用(不合格)となった会社へ連絡し、一番最後に採用(合格)となった会社へ連絡します。

 

この順番が重要なのは、万が一、不採用(不合格)となった会社からクレーム等(錯誤などを理由として、再度、安い見積書を提出したいなどの要望)の問い合わせがあった場合の対応を考慮するためです。合格となった会社からクレームが寄せられることはありません。

 

なお各社から提出された見積金額は、契約の相手方を決定した後であれば契約金額を教えても問題ありませんが、契約の相手方を決定する前段階(見積もり合わせの途中)では、絶対に他社の見積金額を教えてはいけません。

 

他社の見積金額を教えてしまえば、それよりも安く見積書を提出したいと再提出を要望され、それを認めてしまえば「特定企業との癒着」や「官製談合」へと陥ってしまいます。

 

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「不合格の通知」の例文

 

「見積もり合わせ」の結果、不採用(不合格)となった会社へ送るメールの例文です。電話でも構いません。

 

○○○○株式会社
○○営業部
○○○○ 様

 

いつもお世話になっております。

○○省○○機関の○○です。

先日、見積書を提出して頂きました(品名)の購入につきまして、見積もり合わせを行った結果、今回は○○会社様と契約を締結することになりました。

 

お忙しいところ見積もり合わせに参加して頂き、誠にありがとうございました。

 

今後とも、何卒よろしくお願いいたします。
○○省○○機関 ○○

 

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「合格の通知」の例文

 

少し時間を置き(不合格となった他社からのクレームがないことを確認し)、最後に合格した会社(契約の相手方)へ送るメールの例文です。

 

半日~1日程度の時間を開け、不合格となった会社からクレームがないか様子を見る方が安全です。(クレームは、すぐに来ます。)

 

○○○○株式会社
○○営業部
○○○○ 様

 

いつもお世話になっております。

○○省○○機関の○○です。

先日、見積書を提出して頂きました(品名)の購入につきまして、見積もり合わせを行った結果、御社と契約を締結することになりました。

 

つきましては、正式な発注(契約)となりますので納品準備を進めて頂きますよう、お願いいたします。

 

必要書類などの契約手続の詳細は、後日ご相談させて頂きますが、取り急ぎご連絡いたします。

○○省○○機関 ○○

 

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まとめ、「見積もり合わせ」のポイント

 

見積書の提出依頼年月日、提出期限を各社とも同じ条件にする。

 

見積もり合わせの途中では、結果が判明するまでの間は、絶対に他社の見積金額を教えない。

 

結果の連絡は、不合格者へ先に連絡し、合格して契約する会社への連絡は一番最後にする。

 

もし提出期限までに見積書が提出されないときは電話で確認し、辞退の要望があったときは見積書の金額欄に辞退と記載し提出してもらいます。メール本文に辞退と記載して返信してもらっても良いです。


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コメント

  1. 匿名希望 より:

    いつも参考に拝見しております。

    細かいところ質問ですが、見積合わせのために複数社に見積もりを依頼したときに、とある一社から「契約はできないけど、見積書を出すことならできる」といわれたとき、その見積書を比較検討の資料として使うことは契約担当者としては問題ないのでしょうか。

    例えばパソコン購入について、A社とB社に見積書を依頼し、A社は見積書も出せて契約もできるが、B社は見積もりはできるが繁忙期の関係で契約はできないとします。B社には見積書だけ依頼し、A社と比較して結果としてA社の見積書が安かった場合に、B社との見積書の比較でA社と契約が結べるか、といったものです。

    ご回答いただけますと幸いです。

    • 矢野 雅彦矢野 雅彦 より:

      管理人です。コメントありがとうございました。

      先に回答から言いますと、「問題あり」です。

      まず、営業担当者が「契約はできないけど、見積書を出すことならできる」と言ったとすれば、かなり危ない会社、危ない営業担当者です。注意した方が良いです。平気で虚偽の書類を作ってしまう営業担当者です。(私なら、以後、つきあわないようにします。将来的に犯罪に巻き込まれるリスクが高いです。本サイトで勉強して欲しいものです。)

      そもそも「見積書」は、「契約の申し込み」として提出するものです。「この金額なら契約できます。」ということを証明する書類です。受け取った契約担当者が、見積金額を確認して「これでお願いします。」と依頼(承諾)すれば、契約が有効に成立します。

      見積合わせのために依頼したのに「契約できない」のであれば、見積書を提出すべきではありません。提出辞退すべきです。あるいは、見積書の金額欄に「今回は業務多忙につき、お取り扱いできません」と記載して提出するべきです。

      例えば、契約する気がないのに安価な金額の見積書を提出し、契約担当者が見積合わせした結果、正式に注文したときに断られたら、大問題です。虚偽の書類を提出し、官公庁の業務を妨害したことになります。正式な「取引停止」処分に該当するほど大きな問題です。

      他の会社へ見積書を依頼する方が安全です。

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