これが「再委託」を禁止する理由、「再委託」が問題ないケース

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契約手続き
2002年 ハワイ
契約手続き

2020年6月、持続化給付金事業の再委託が問題になっています。経済産業省が委託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会は、業務のほとんどを電通へ再委託していました。いわゆる「丸投げ」状態です。再委託が問題視されています。

 

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再委託が、なぜ問題なのか

 

新型コロナウイルスの影響によって売上が激減した事業主に対して、国が支給する持続化給付金事業について、国会やマスコミで「再委託」が問題になっています。

 

経済産業省が769億円で一般社団法人サービスデザイン推進協議会へ委託しました。ところが、ほとんどの業務を大手広告代理店の電通へ749億円で再委託したのです。業務を「丸投げ」したと言って良い状態です。そして再委託を受けた電通では、子会社へ645億円で外注しています。「中抜き」ではないかと問題になっています。(「中抜き」の意味が良くわかりませんが、おそらく不要な中間マージンが発生している、という意味でしょう。)

 

問題になっているのは、「自分で業務を実施できない一般社団法人サービスデザイン推進協議会へ委託する必要があったのか」、「再委託は問題ないのか」という点です。

 

官公庁の契約手続きについて、国会やマスコミなどで問題になっていることを考えると、良い勉強になります。多くの人たちがどのように思うのか、まさに「公正性」の問題になります。

 

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「再委託」を審査する委員会

 

最初に、業務委託契約における「再委託」について、なぜ禁止されているのか確認します。

 

通常、業務委託契約では、再委託を禁止しています。再委託を禁止している理由は、いわゆる「丸投げ」を防止するためです。何もせずに名前だけ貸すような「不良業者」を排除するためです。

 

そもそも業務委託の入札では、「その業務が実施できる」という前提で、相手方を信頼して入札へ参加してもらいます。入札参加資格が定められているのは、そのためです。業務が実施できることを証明するために「全省庁統一資格」が存在しています。業務を実施できる能力があるからこそ、入札へ参加することが可能なのです。そして落札すれば、契約の相手方として委託するのです。

 

ほとんどの業務ができないのであれば、入札へ参加してもらっては困るわけです。ただ、(今回の持続化給付金事業ように)大規模な事業になると、いくつかの会社で分担して業務を実施することになります。どのように分担して業務を実施するのか、入札前に「業務提案書」を提出して審査を受けるのが通常です。これは「業者との癒着」を防ぐ意味でも、必ず必要な審査です。「技術審査委員会」などと呼ばれています。契約事務に関係しない第三者へ審査委員を委嘱し、委員会の中で再委託や外注化について公正に審議しているはずです。審査委員会で再委託や外注を認めているのであれば、議事録も残りますし、認めた理由も明白なはずです。対外的な説明を行うために委員会での審議が必要なのです。もし審査してないなら、かなり怪しい契約手続きです。

 

また提案書を提出する段階では、自社で業務を実施できるように記載し、実際は「丸投げ」するのであれば、もう、それは虚偽になるわけです。詐欺に近い行為です。(実際にトンネル会社を使い、税金を騙し取ったとして、詐欺で有罪判決を受けた人もいます。)当然ながら入札は無効になり、入札参加資格も取り消されます。当分の間「取引停止処分」になります。

 

つまり、「再委託」を認めたのであれば、委員会で審議されているはずです。議事録も公開できるはずです。

 

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業務委託契約で認められる「再委託」

 

そもそも業務委託契約は、どのような契約なのか確認します。

 

業務委託契約は、民法上の「準委任契約」です。法律行為でない事務(業務)を委託するものです。本来、自分が行うべき業務について、人手が不足するなど、さまざまな理由で実施できない場合に、第三者へ委託します。

 

最初に、再委託が問題ないケース、承認して良いケースを考えます。当然ながら契約上の義務は、再委託先にも適用されます。その旨を委託先と再委託先が契約等で取り決めているという前提が必要です。

 

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一部分の再委託は問題なし

 

例えば、業務全体のうち3割程度を、外部の会社へ再委託(外注)するのであれば問題ありません。

 

専門会社へ依頼した方が、効率的で経費も安くなる場合です。よくある例は、データ入力業務を、コンピューター専門会社へ依頼する場合などです。

 

入札前に提案書を提出してもらい、技術審査委員会で、内容を審査します。再委託を承認するのは、必ず書面です。口頭で行うようなものではありません。国民の税金を使うわけですから、責任体制が明確でないと委託できません。

 

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商事会社は問題なし

 

総合商社等で、ほとんどの業務を下請け会社や、関連会社へ再委託し、全体的な管理(進捗コントロールやノウハウの提供)している会社も問題ありません。今回の電通に近いかもしれません。(電通が委託先として、経済産業省と契約するのであれば問題ありません。)

 

よくある例は、商社や商事会社です。業務を実施するのに一番効率的な方法や、得意分野の会社を探したり、より経費の安い会社を探して外注する場合です。委託元の商事会社は、業務の進捗状況をコントロールします。

 

業務全体を管理監督している会社であれば、業務全体を再委託しても問題ありません。会社自身が、そもそも子会社や関連企業へ再委託(外注)することを目的としている場合のみです。

 

商事会社が入札へ参加する際には、事前に関連会社との業務分担や、緊急時の連絡先などの一覧表を提案書として提出し、官公庁側が内容を審査します。業務の再委託先一覧、責任者一覧、管理監督の具体的な方法、緊急時の対応などを明確にした提案書を提出してもらいます。

官公庁側は、その内容を確認して、技術審査委員会で審議し、問題ないことを確認してから入札への参加を認めます。事前に業務の大部分を再委託することについて問題ないことを、書面で確認した場合のみ、入札が認められます。

 

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再委託が問題になるケース

 

上記から、逆に再委託が問題になるケースがわかります。

 

契約を締結した委託先が、業務のほとんどを第三者へ再委託した時に問題となるケースは、次のとおりです。

 

再委託先に際して、業務のコントロール(管理・監督)ができないときです。業務の進捗状況を管理したり、現場を視察して、業務がきちんと遂行できているか管理できない場合です。業務に関するノウハウを持っていなければ無理です。

 

入札前の提案書を審査するときには、当然ながら過去の契約実績が大きく影響します。過去に同じような契約の実績があり、そのときに、どのように再委託先に対して進捗状況を管理したかチェックすることになります。通常であれば、色々な専門会社と、長い間契約を継続している商事会社であれば問題ありません。

 

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今回、問題とされている点

 

今回問題になっているのは、契約先の一般社団法人サービスデザイン推進協議会が、そもそも幽霊会社で実態のない会社と疑われていることと、業務を丸投げして再委託していることです。いわゆる、必要のない再委託ではないかと言われています。

 

マスコミ報道では、一般社団法人を契約の相手方とした理由について、「持続化給付金の振込時に、電通の名前で振り込むことができない」という説明がありました。しかし銀行振込なら、振込名は簡単に変えられます。今までも、政府が実施している大規模なアンケート調査などでも、業務委託契約先として民間の企業名が記載されてます。もし特定の企業名での振込がまずいのであれば、銀行に対して、振込名を「経済産業省」と統一するよう指導するだけで済むはずです。給付金の振込名を変える目的だけで再委託したという理由は、誰も納得できないでしょう。

 

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問題を確認する方法

 

今回の契約については、実際の入札公告や入札説明書、仕様書等を確認していないので、正確ではないかもしれませんが、次のような確認方法が考えられます。

 

再委託を問題ないと判断した、審査委員会などの関係資料の公開です。当然ながら再委託を承認したのであれば、事前に再委託に関する提案書、あるいは許諾文書が存在しているはずです。また、審査委員会あるいは支出負担行為担当官などが、入札に参加して問題ないと判断した関係資料が存在するはずです。それらについて確認する方法か最も効率的です。

 

次に、一般財団法人が幽霊会社でないとすれば、実際にどのように業務について管理監督を行うのか、それを証明するための書類も、入札前に提出しているはずです。それらの書類を見れば、丸投げしても問題ないことが証明できるでしょう。もし仮に、資料が存在しないのであれば、癒着が考えられます。通常、癒着を疑われないように、入札前に審査するのです。

 

契約実務担当者は、「信頼できる会社と契約したい」と考えます。再委託を問題ないと判断したのであれば、それを裏付ける根拠資料が必ず存在するはずです。担当者レベル、係長レベル、課長レベル、局長レベルすべてが再委託を認めたわけですから、委員会等の資料で、簡単に説明できるはずです。

 

報道を見ていると、「再委託は適正なのか」とか、「中抜け(?中間マージン)は問題ではないか」、という質問が多いです。行政側としては「適正」と考えて契約しているはずです。適正と思わなければ契約してないです。また、中間マージンの質問にしても、委託事業は精算払いなので、経費が不明な段階で答えられるはずもありません。意味のない質問よりも、適正な手続きが実施されたのか(提案書の審査など)を確認すべきです。


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