「入札」か「随意契約」か、重要な「契約方式」を判断する手順

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契約手続き

官公庁の契約手続きで「入札」と「随意契約」を判断する手順の解説です。最初に予決令99条が適用できる「少額随意契約」に該当するか判断します。「少額随意契約」に該当しないときは、「競争性がない」場合を除き「入札」手続きになります。

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最初に契約金額で「契約方式」を判断

 

「入札」か「随意契約」か?

 

契約実務担当者が契約手続きを始めるときは、「契約方式」を決定しなければなりません。「契約方式」は、「一般競争契約」、「指名競争契約」、「随意契約」の3つに分類されます。それぞれの契約方式によって、書類手続きが異なります。そのため、最初に「契約方式」を決定することになります。

 

3つの契約方式のうち、「一般競争契約」と「指名競争契約」が「入札です。「指名競争契約」は、最近(2019年7月)、指名基準が問題視されることが多く、実務的には実施しない方が多くなりました。契約方式を検討するときは、「一般競争契約」(入札、一般競争入札)とするか「随意契約」とするか、判断することになります。

 

「契約方式」の判断は、契約手続きの中で最も重要です。実際の手順を具体的に解説します。

 

会計法令(財政法、会計法、予決令など)が適用される国の契約手続きでは、次の手順で「契約方式」を判断します。(地方公共団体も考え方は一緒です。)

 

最初に、契約予定金額(参考見積書の税込金額)が、随意契約の範囲内かどうか確認します。つまり、予決令第九十九条を適用できるか検討します。例えば、物品購入契約は、予決令第九十九条第一項第三号に該当するので、税込み金額で160万円以下かどうかを判断します。

 

予算決算及び会計令(予決令)

第九十九条  (略)随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。

三  予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。

 

(参考 上位の会計法)

会計法

第二十九条の三 契約担当官等は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、(略)公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。

○5 契約に係る予定価格が少額である場合においては、第一項の規定にかかわらず、政令(上記の予決令)の定めるところにより、指名競争に付し又は随意契約によることができる。

 

 

つまり、予決令第九十九条を適用できるなら、随意契約が可能です。「見積もり合わせ」で契約の相手方を決定します。「契約方式」は「随意契約」になります。

 

ただし、契約の相手方となる販売会社が1社しか存在しない場合は、「競争性がない随意契約」になります。予決令第九十九条は適用できず、予決令第百二条の四第一項第三号に基づく「競争性のない随意契約」です。選定理由書(機種選定理由書、業者選定理由書)を作成し随意契約の手続きを進めます。

 

予算決算及び会計令

第百二条の四 各省各庁の長は、契約担当官等が(略)随意契約によろうとする場合においては、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

三 契約の性質若しくは目的が競争を許さない場合(略)において、随意契約によろうとするとき。

 

これらの「随意契約」に該当しないと判断すれば「入札」手続きになります。

 

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「契約方式」を判断する根拠法令

 

契約方式を判断するときは、次の根拠法令に基づき、順番に判断します。契約手続きの中で一番多い物品購入契約の例です。

 

1.予算決算及び会計令 第九十九条に該当するか
(少額随意契約)

 

2.予算決算及び会計令 第百二条の四第一項第三号に該当するか
(競争性のない随意契約)

 

3.上記の「随意契約」に該当しなければ「入札」

 

「入札」の根拠法令は、会計法第二十九条の三第一項です。一般競争契約(公開入札、一般競争入札とも呼びます。)

会計法

第二十九条の三 契約担当官等は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項(指名競争契約)及び第四項(随意契約)に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。

 

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入札手続きの準備とは

 

入札手続きは、資料集めや書類作成に、かなりの時間が必要です。「随意契約」でなく「入札」になりそうなら、早い時期から資料集めを開始します。入札公告を公開するまでに最低1ヶ月は必要です。

 

入札手続きの流れ

 

1.参考見積書、カタログや定価表などの資料収集

2.既製品(カタログ製品)などで「機種を指定」する場合は、「機種選定委員会」を設置し、「機種選定理由書」を作成

 

3.仕様書作成

 

4.入札説明書、入札公告の準備を行い、公告掲載(現在はインターネットでの公告が一般的)

 

5.予定価格(調書)を作成

 

6.開札して落札者を決定し、契約書を取り交わし

 

通常、契約(開札、落札決定)締結までに、最短で1ヶ月程度は必要です。繁忙期は、日常業務の合間に資料を集めたり書類作成を行なうので、3ヶ月くらい前から準備すると慌てずに進められます。

 

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入札が不可能な場合

 

特許権(知的財産権)などの排他的権利を有する物品調達の場合、入試問題の印刷などで仕様書を公開できないときなど、入札が不可能なときは「随意契約」になります。しかし現在は、競争性を排除した「随意契約」は、社会的に問題となることが多いです。極力、一般競争入札を行います。

 

競争性がないと判断するためには、それを証明する書類が必要です。会計検査院なども「なぜ入札できなかったか」という視点で実地検査を行います。誰もが納得する合理的な資料を保存する必要があります。

 

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指名競争契約(指名入札)のリスク

 

あらかじめ数社を指名して実施する「指名競争契約(指名入札)」は、「業者との癒着」や「談合」のリスクが高くなるので実施しない方が安全です。契約を締結した後に、指名業者の選定基準(指名基準)が問題となることが多いです。契約手続きは「一般競争入札」と同じなので、あえて指名入札を実施するメリットはありません。

 

「随意契約」あるいは「一般競争入札」

 

これが、現在の「契約方式」の考え方です。

 

たとえ契約の相手が1社しか存在しないと想定されても、合理的な(誰もが納得する)理由と、それを証明できる書類がない限り、「一般競争入札」を実施する方が安全です。「随意契約」が可能なものを「入札」にかけても文句は言われません。逆に、「入札」できるものを「随意契約」したとなれば批判されるだけです。

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