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契約手続き

清掃契約や警備契約などの仕様書の作り方、仕様書の修正ポイント

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契約手続き
2020年11月 きぬ川温泉
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庁舎を維持管理するための清掃契約や警備契約、設備の保守契約などは毎年必要になる契約です。単年度予算の場合には、毎年入札を実施します。仕様書を作るときは、前年の仕様書をベースに、どの部分を確認して作成するのか、わかりやすく解説します。仕様書の作り方の基本です。

 

この解説での仕様書とは、官公庁が競争入札や随意契約を締結する際に作成する仕様書です。入札書や見積書を提出してもらうときの、契約内容を提示する書類です。

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仕様書を作るときの心構え

 

毎年締結しなければならない契約には、さまざまな種類のものがあります。特に建物を維持管理するための契約が多いです。清掃契約や警備契約は、ほとんどの官公庁で毎年必要です。その他に設備の保守契約などもあります。エレベーターや空調機などの保守契約です。

 

仕様書を作成するときは、前年の仕様書を参考に作成することになります。

 

官公庁側が求める契約内容や契約条件を、わかりやすく提示することが仕様書の目的です。特定の民間企業だけが対応できる不公平な内容ではなく、多くの民間企業が、入札や見積もり合わせへ参加できるように仕様書を作成します。仕様書は、わかりやすい表現で書きます。法律や規則の条文のように、難解な語句を使う必要はありません。

 

仕様書は、一般の人が読むものです。弁護士や裁判官などの法曹関係者しか理解できないような専門用語は必要ありません。むしろ法律用語のように難解な表現を使ってしまうと、間違って理解してしまい大きなトラブルになります。

 

仕様書の表現は、「わかりやすいこと」これが最重要です。

 

基本となる記述方法は話し言葉です。誰かに説明するように記述します。いくつかの条件を並べたり、どれかの条件を抽出する際には、必ず箇条書きにします。文章のみで表現しようとすると、法律の条文のように難解な表現になってしまいます。誰も理解できない文章では、仕様書の意味がありません。

 

例えば、どれか一つの条件を満たせば良いのであれば次のようにします。

 

次のうち、ひとつ以上の条件を満たすこと。

◯・・

 

◯・・

 

すべての条件が必須であれば、次のようにします。

 

次に掲げる条件は、すべて必須です。(あるいは、次に掲げる条件をすべて満たさなければなりません。)

◯・・

◯・・

 

また仕様書には、「必要とする内容」を書きます。「あった方が良い」、あるいは「必須でない」ようなあいまいな内容は記載しません。あっても、なくても、どちらでも良い内容を書いてしまうと、逆にトラブルになります。

 

例えば、「◯◯が望ましい」と書いてしまうと、次のようなトラブルになります。

 

望ましい条件を満たした会社が落札できなかったときに、クレームが出てくるのです。望ましい条件を満たさない会社が契約を獲得したときです。

 

「うちの会社は、望ましいという条件まで満たしているのに、契約できないのはおかしい!納得できない!不公平ではないか?」

 

あいまいな条件が原因でクレームがついてしまうのです。トラブルが大きくなれば、契約を取り消す事態になることさえあります。仕様書に書く内容は、「必要とするものだけ」です。「なくても支障のない」ような、あいまいな内容は、極力排除します。

 

「◯◯が望ましい」という記載ができるのは、例えば色見本で、同じ青だけれども、気持ち的に明るい青の方を選びたい場合などです。どちらを選んでも影響がなく、どの会社も簡単に対応できる内容であれば問題ありません。

 

くどいですが、重要な点などで繰り返します。仕様書の記述方法は、誰が読んでもわかりやすい表現を使います。そして余計なことは書きません。

 

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仕様書を作り始める時期

 

毎年実施している契約であれば、仕様書の作成は、それほど大変ではありません。ただ日常の業務を行いつつ、 合間に仕様書を作ることになります。1日のうちで半日とか 2 時間とか、自分で時間を工夫して作成することになります。余裕を持って、入札公告公開予定日の 1か月ぐらい前から始めましょう。随意契約の場合は、契約締結予定日の 1 ヶ月前から始めると、ゆっくり作成できます。

 

入札であれば、2 週間で仕様書を作り上げ、その後 1 週間で決裁をとって、WEBサイトへ入札公告を掲載します。

 

残業して集中的に仕様書を作るのであれば、入札公告の決裁を起案する日から一週間前に始めれば間に合います。仕様書の作成は、頭の中で考えながら行います。集中して行なった方が断然効率的です。途中で電話に出たり、誰かから話しかけられると、作業が止まり、元に戻ってしまいます。途中までチェックが終わっていても、最初からやり直すようなことになります。日中の業務時間内は、集中できないので効率が落ちるのです。

 

そのため私の場合、仕様書の作成を時間外に行うことが多かったです。残業手当になってしまうので、おすすめできませんが、日中は様々な仕事が舞い込んでくるので集中できません。周りの人が少なくなってから、なるべくひとりの状態で仕様書を作り始めることが多かったです。3 時間ぐらい残業できるのであれば、 5 日間程度で仕様書が完成します。

 

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仕様書を作成する手順

 

毎年実施する契約は、次の手順で仕様書を作成します。

 

1 前回の電子ファイルを探しプリントアウトする。

 

2 新しいフォルダを作成し、前回の電子ファイルをコピーしておく。ファイル名を会計年度などで変えておくとわかりやすいです。

 

3 前回の契約関係書類を手元に置き、プリントアウトした仕様書を読みながら、手作業で赤のボールペンでチェックする。修正箇所は主に日付部分、表現のわかりにくいところです。

 

4 仕様書の修正が完了したら、全体的に眺めて、他の契約と記載項目を比較する。記載漏れがないか確認します。

 

5 前回の仕様書のチェックが完了したら、新しいフォルダの電子ファイルを修正する。(前回の仕様書の原本ファイルを修正してはいけません。)

 

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具体的な仕様書の作り方

 

最初に、前回の仕様書最終版の電子ファイルを探します。WORDや一太郎などの文書作成ソフトで作成してあります。まれに Excel などの表計算ソフトを使っていることもあります。ファイル形式や契約件名で探します。

 

前回の電子ファイルが見つかったら、コピーして、新しいフォルダーへ入れます。そして前回の仕様書をプリントアウトします。電子ファイルは必ずコピーしてください。ファイルを移動させてしまうと過去のデータが消失してしまいます。

 

プリントアウトした前回の仕様書を、手作業で確認しながら修正していくことになります。手作業でないとミスします。電子ファイルをパソコン上で直接修正するのは危険です。電話などで中断してしまうと、どこまで確認し修正したかわからなくなり、結果的に修正不能に陥ります。修正作業は、紙の書類の上で、赤のボールペンを使い、手作業で行います。こうすることで修正履歴も残り、次年度も簡単に仕様書を作れるようになります。

 

そして前回の契約関係書類を脇に置き、仕様書を1文字1文字ゆっくり読み進めていきます。修正や追加するときは、必ず赤のボールペンを使います。主なチェックポイントは次のとおりです。

 

仕様書の日付を修正する

 

新しい日付へ修正します。注意したいのは、一般競争入札を実施するときの全体的なスケジュールです。入札公告日、書類提出期限、開札日などを最初に設定します。スケジュールは上司とも相談します。大きなイベントと重なると関係者が不在になるなど、契約手続きに支障が生じます。また随意契約の場合にも、契約締結までのスケジュールを上司と相談します。無理のないスケジュールを組み、それに合わせて仕様書の日付を修正します。曜日も変わるので必ず確認しましょう。

 

事前に予定日を確定

 

一般競争入札を実施するときは、最初に次の予定日を確定します。入札や技術審査などで関係者が集まるときは、会議室の予約も同時に行います。また、開札日時の前後は、入札執行者の予定も空けておいてもらいます。

 

〇入札公告日

 

〇入札書等の提出期限

 

〇技術審査の開催予定日(会議室の予約)

 

〇開札日(会議室の予約、入札執行者の予定も確認)

 

紙ベースの開札では、入札執行者が開札します。それぞれの組織によって入札を執行する官職名が定められているので確認しておきましょう。入札執行者へ相談しながら、早い時期に開札日時を設定します。開札時刻は午後2時がおすすめです。

 

また開札日までに予定価格を作成することになります。入札関係書類の提出期限から開札日までの間で予定価格を作成するので、2週間以上余裕を持ちましょう。

 

〇契約締結予定日

 

業務を開始するために、準備期間が必要な場合があります。業務開始日から逆算して契約締結日を設定します。清掃や警備契約では、人材を確保する時間が必要です。

 

日付が設定できたらメモしておき、仕様書の修正に入ります。

 

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意味のわからない文章を直す

 

日付のチェックと並行して、仕様書の文章をじっくり読みます。一字一句、句読点まで確認しながら読みます。そして頭の中で内容をイメージします。すぐに明確にイメージできるのであれば、修正の必要はありません。

 

「何を言ってるのかわからない部分」、「すぐに理解できなくて、少し考え込んでしまうような表現」は、わかりやすく修正したり補足説明を追加します。

 

文章を修正するときは、必ず赤のボールペンを使います。プリントアウトした前回の仕様書へ、手書きで書き込みます。修正の必要のない部分は、チェック済としてレ点を記しておきます。

 

文章をチェックするときのコツは、頭の中でイメージしながら、ゆっくり読むことです。少し考えないと理解できない部分や、意味不明な文章は書き換えます。

 

意味がわからないところは、前任者へ確認するのが一番です。文章は、作成した本人しか意図がわかりません。もし文章を作った人にも、特別な意図はなく、修正しても影響ないようであれば、自分なりに、わかりやすく書き換えてしまいます。仕様書の内容で、わからない部分をなくします。もしわからない部分があると、入札参加者にもわかりません。入札日直前に必ず質問してきて、仕様書の修正などで大騒ぎになります。

 

毎年実施するような契約は、仕様書を毎回見直すのが原則です。内容を見直さないまま、日付だけ変えたような仕様書は、「怪しい仕様書」として外部から不信感を持たれます。杜撰な契約書類としていろいろ指摘されることになるでしょう。

 

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最終仕上げ、電子ファイルを修正する

 

日付と文章の修正が完了したら、次は全体的に見て、「記載項目に漏れがないか」確認します。種類が違う契約の仕様書と比較しながら、記載していない項目がないか確認します。

 

すべての修正とチェックが完了したら、赤字で修正した前回の仕様書を見ながら、電子ファイルを修正します。赤字で修正した前回の仕様書は、そのまま大切に保存しておきます。後日何かトラブルが発生したときに役立ちます。また修正箇所がわかると、外部からの問い合わせにも対応しやすいです。自分の引き出しの中に保存しておけば、修正経緯がわかる貴重な勉強資料にもなります。次年度は簡単に仕様書を作れるでしょう。

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