契約書を取り交わすときの「押印の順番」、どちらが最初に押印?

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契約手続き
イギリス ロンドン

官公庁が取り交わす契約書には「押印の順番」があります。契約当事者が集まって一緒に記名押印することは通常ありません。郵送で契約書を送付したり、営業担当者が会社へ持ち帰って押印します。しかし契約書の押印には順番があるので注意が必要です。

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契約書の「取り交わし」方法

官公庁と民間企業が契約を締結するとき、契約金額の大きいものは契約書を取り交わします。契約書を作成し記名押印する場合、実務上は、契約書を郵送で送り押印することが多いです。数千万円以上の大きな契約とか、調印式のようなセレモニーでない限り、契約当事者が集まって記名押印することはありません。

 

契約書の当事者(契約を締結する名義人)は、法人の代表者です。しかし会社の社長は多忙ですし、代表者印を社外へ持ち出すことも簡単ではありません。大企業では、社長名の契約書押印が毎日多数あります。社長印を社外へ持ち出してしまえば業務が停滞します。

 

そのため日常業務で必要な「契約書の取り交わし」は、社長が自ら押印するのではなく、営業担当者が社内決裁(稟議)などを経て記名押印します。社長までの決裁を受け、営業担当者や総務担当者が押印するのが一般的です。

 

官公庁側も同じです。例えば国の契約実務では、「支出負担行為担当官」という契約権限を持つ人が「官職指定」されています。局長や部長などの幹部職員が指定されていることが多いです。しかし実際に契約書を作成し取り交わすのは、契約実務担当者です。係長や係員クラスが、契約書の取り交わし実務を担当します。民間企業と契約を締結するときは、「契約締結伺い」を決裁書類として作成し、「支出負担行為担当官」の承認を受けます。決裁を完了した後に、契約実務担当者の係長や係員が契約書へ公印を押します。

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契約書の「作成手順」

契約書の作成手順は、通常、官公庁側の契約実務担当者が「契約書の案文」をワードなどで作成し、民間企業側と内容を相互に確認します。メール添付で相手方へ「契約書の案文」を送信します。契約書の個々の条文について不明な部分や疑義があるときは、メールや電話などで打合せします。条文を修正することで大きな影響(リスクや負担など)があるときは、それぞれの担当者が上司に相談します。最終的に合意できる「契約書の案文」が完成した後に、それぞれで正式な決裁手続きを行います。

 

官公庁側の決裁が完了した後、契約書を印刷して「袋とじ」し、2通を民間企業側へ送付します。最初に民間企業で押印してから、2通を返送してもらいます。その後官公庁側で内容を最終確認して押印し、民間企業へ契約書1通を送ります。これが契約書の正しい「取り交わし手順」です。

契約書の取り交わし手順

1.官公庁側 契約書の案文を作成し、民間企業へメール添付で送信

2.双方 個々の条文など契約書の内容を確認

3.双方 お互いに契約書の内容を合意した後に内部決裁

4.官公庁側 袋とじの契約書2通を作成し、民間企業側へ郵送(近くなら取りに来てもらう)

5.民間企業側 契約書2通へ押印し、官公庁側へ2通返送。

6.官公庁側 契約書2通へ押印し、民間企業側へ1通返送

 

この押印の順番については国の会計法令で明確に定めています。次の規定では、最初に国側が押印するのではなく、民間企業側が押印することを義務付けています。

 

契約事務取扱規則

第十四条  契約担当官等は、契約の相手方を決定したときは、遅滞なく、契約書を作成しなければならない。

2  契約担当官等が前項の契約書を作成する場合において、当該契約の相手方が隔地にあるときは、まず、その者に契約書の案を送付して記名押印させ、さらに、当該契約書の案の送付を受けてこれに記名押印するものとする。

3  前項の場合において、契約担当官等が記名押印をしたときは、当該契約書の一通を当該契約の相手方に送付するものとする。

 

なお地方自治体では、明確に定めている自治体と、定めていない自治体があります。ただ「国民の税金を使う」という趣旨からすれば、最終確認は官公庁側が行う方が安全です。参考に東京都の例です。国の契約事務取扱規則と同じ内容です。

東京都契約事務規則 第三十六条 第二項

2 契約担当者等は、前項の契約書を作成する場合において、当該契約の相手方が隔地にあるときは、まず、その者に契約書の案を送付して記名押印させ、さらに当該契約書の案の送付を受けてこれに記名押印するものとする。

3 前項の場合において、記名押印が完了したときは、当該契約書の一通を当該契約の相手方に送付するものとする。

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契約書への「押印の流れ」

契約書への押印手続きの部分を、少し詳細に解説します。

 

官公庁側の契約実務担当者が、契約年月日と契約当事者の氏名を記載した契約書を2通作成します。印刷出力して「袋とじ」にします。「袋とじ」にする理由は差し替え防止のためです。契約内容を改ざんされないよう「袋とじ」にします。契約書の作成が完成した段階では、まだ押印しません。押印は、上記の契約事務取扱規則で定めているように、民間企業側が先に押印します。

 

契約の相手方である民間企業側へ、契約書2通を郵送します。事前に電話してから、簡易書留などで郵送するのが望ましいです。もし営業担当者が近くに立ち寄ることがあれば、取りに来てもらいます。その方が安全です。

 

最初に民間会社側で社内決裁し、契約書2通に押印します。印紙税が必要なときは1通のみに貼付します。押印した2通を官公庁側の契約実務担当者へ郵送します。(簡易書留、あるいは持参が安全です。)

 

官公庁側の契約実務担当者は、民間企業の記名押印を確認し、決裁完了後に契約書2通に押印します。ここで両者の押印が完了します。印紙税が貼付してない方の契約書を、民間企業側へ郵送します。官公庁は印紙税法上の非課税法人なので、送る方の契約書には印紙税は不要です。押印が完了した契約書は、郵送でなく都合の良い時に取りに来てもらうこともあります。この時、民間企業へ渡す方の契約書をコピーしておきます。

 

以上が実際の契約書への「押印の流れ」です。

 

注意したいポイントは、押印の順番です。官公庁側は最後に押印します。これは「最終的な契約確定は官公庁側が行なう」ためです。官公庁側が契約手続の安全性を保持しています。

 

通常は考えられませんが、先に官公庁側が押印して民間企業へ郵送してしまうと、万が一、悪質な(詐欺的な)民間企業が、契約内容を書き換えることを許してしまいます。その結果、官公庁側に不利な契約が確定してしまう恐れがあります。

 

また意図しない契約に悪用されるなど「公印の不正使用防止」のためにも「押印の順番」は重要です。

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