仕様書の作成で注意すべきポイント、仕様書・予定価格同一の原則とは

契約手続き

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

仕様書を作成するときに注意したいポイントの解説です。官公庁が実施する入札などの契約手続きで、最初に作成する書類が仕様書です。仕様書は契約金額に直接影響します。仕様書に基づいて予定価格や入札書が作成されます。確認すべき内容を具体例で解説します。

仕様書は予定価格の積算を考慮して作成

一般競争入札を実施するときは、官公庁側で要求する契約内容を「仕様書」として書面で作成します。そして開札の前までに予定価格(調書)を作成します。

 

契約手続の流れは、仕様書→予定価格→入札→開札です。

 

仕様書を作成するときに、つい、忘れてしまいがちなことがあります。それは、仕様書に記載してないことは、予定価格の積算に含められないことです。

 

早く入札公告を掲載したいと思い、仕様書を作成することのみに集中してしまい、その後に作成しなければならない予定価格の存在を忘れてしまうのです。仕様書の内容は、契約金額に影響する部分は明記しなくてはなりません。ここは注意が必要です。

 

仕様書に記載していない内容は、予定価格では積算できません。仕様書に記載してある部分のみ予定価格で積算可能です。

 

予定価格の積算を行なうとき、仕様書に記載していないことを含めてしまうと、予定価格の過大積算として、会計検査院から指摘を受けてしまいます。

 

簡単に言えば、仕様書と予定価格は同一でなければなりません。

これを、「仕様書・予定価格同一の原則」といいます。

 

本体だけでなく周辺のことに注意する

 

入札に参加しようとする民間会社は、官公庁側から提示された入札説明書や仕様書に基づいて入札金額を見積もります。

 

例えば、仕様書の中で、機器を接続するケーブル類などの記載を忘れてしまうと、かなり大きなミスとなってしまいます。

 

ノートパソコンをたくさん購入し、所内のネットワークに繋ごうと考えていたのに、接続するためのLANケーブルやスイッチングHUBなどが仕様書に含まれていないと、契約の相手方の会社は、当然のことながら官公庁側で既に用意してあると思い、契約の範囲外と考えます。

 

会社側は、入札の仕様書に記載がないので、契約金額にも含めてないですし、納品物にも含めません。

 

そして、これらのミスは、契約手続きの最終段階の納品当日になって判明します。

 

LANケーブルがなければ、会社の営業担当者が納品のため訪問し、物品を設置して性能検査や納品検査をするときに、ノートパソコンをネットワークに接続できません。動作確認ができません。近くにコンセントがなければ、電源が取れず性能確認ができません。完了検査が実施できなければ代金の支払が不可能になります。

 

単年度予算の物品購入契約で、納品日が3月31日で上記の状況であれば、年度内の納品検査を断念することとなり、新年度では支払うための予算がなく残念な結果になります。

 

仕様書に記載してないので、契約の相手方である販売会社にミスはありません。発注者である官公庁側のミスです。慌てて次年度に別途予算を使い、追加でLANケーブルを購入することになってしまいます。

 

仕様書を作成するときは、本体のみでなく、運送費、梱包費、現地作業費、機器を接続するケーブル類、電源工事(一次側、二次側工事)などの確認が必要です。事前に専門業者から参考見積書を取り寄せ確認します。

 

特に、参考見積書などで「据付調整費一式」という表記があったときは、内訳を問い合わせて内容を確認し、必要となる接続ケーブル類や電気、ガス、水道工事を、仕様書で明示する必要があります。

 

仕様書を作成する際の確認ポイント

 

物品購入を例に、契約金額に影響することが多い部分、仕様書を作成するときに確認すべき内容を参考に記載します。

 

購入する本体

 

本体の附属品(本体を動かすのに必要なもの)

 

インストールが必要なソフト類(仕事で必要なもの)

 

本体を動かすために必要な環境(接続ケーブル類、電気、ガス、水道、排気が必要か確認)

 

設置のときの搬入経路、特に本体の大きさとエレベーターやドアの間口の確認

 

コメント

  1. 新人 より:

    管理人様

    いつも勉強させていただいております。
    仕様書についてお聞きしたいことがございます。

    ■1つ目
    上司によって、
    ・「消耗品は仕様書が不要、備品は仕様書が必要」
    ・「消耗品・備品に関係なく仕様書は作ったほうが良い」
    と意見が分かれるのですが、どちらが正しいのでしょうか。

    ■2つ目
    上司から
    「カメラやUSB等の情報機器は価格によらず仕様書を作らないといけない」
    と指示を受けたのですが、これは正しいのでしょうか。

    ■3つ目
    上司によって
    ・「消耗品は5万円以下ならどんな物でも消耗品扱い」
    ・「消耗品は5万円以下でも耐用年数が1年以上なら備品扱い」
    と意見が分かれるのですが、どちらが正しいのでしょうか。

    もしご存知でしたら根拠法令等を含めてご教示いただけますと幸いです。
    よろしくお願い致します。

    • 管理人 より:

      コメントありがとうございます、管理人です。

      ■1つ目 仕様書は次のときに作成します。会計法令上は消耗品と備品の区別はありません。

      契約内容が複雑なとき。

      契約金額が高額で入札や見積もり合わせが必要なとき。

      つまり、仕様書を省略するのは、契約金額が少額(数万円)で1社のみと契約するときです。ただし、組織によって慣例があると思います。

      仕様書を省略できないのは、「入札」と「見積もり合わせ」のときです。口頭では契約条件を提示できません。

      ■2つ目 上記と同じです。

      ■3つ目 組織内で規則を作成すべきです。政府系の予算を使用するときは10万円以上は備品扱いです。

      参考 タイトルで検索すると多数情報があります。

      「競争的資金における使用ルール等の統一について」
      平成27年3月31日(競争的資金に関する関係府省連絡会申し合わせ)

      3 使用ルールの統一

      消耗品や備品の購入に関するルールや、備品として管理する物品の金額、研究機器の購入方法等について使用ルールを統一する。
      (1)補助又は委託先の研究者及び研究機関は、耐用年数1年以上かつ取得価格 10 万円以上の物品は備品として、耐用年数1年以上かつ取得価格 50 万円以上の物品は資産として管理すること。

  2. 新人 より:

    ※管理人様

    丁寧なご回答誠にありがとうございました。
    ご多忙な中恐縮ではございますが、下記の2点についてご回答いただけますと幸いです。

    ■1つ目
    仕様書が必要な条件として下記の内容を挙げられていますが、
    こちらの根拠法令等はございますでしょうか。
    >契約内容が複雑なとき。
    >契約金額が高額で入札や見積もり合わせが必要なとき。

    ■2つ目
    少額随契(HDMIケーブル購入など)で見積もり合わせをするときは
    仕様書はカタログのコピー等で良いと指示を受けたのですが、これは正しいのでしょうか。
    根拠法令等もあればご教示いただけますと幸いです。

    以上、よろしくお願い致します。

    • 管理人 より:

      管理人です、コメントありがとうございます。

      ■1つ目

      仕様書の作成については、会計法令等で定めているものはありません。仕様書は、販売会社に対して、発注内容(契約条件)を提示するための書類です。少額随意契約などで、契約内容が簡単なもの、つまり、後日トラブルにならないものであれば口頭でも可能です。

      ■2つ目
      上述とも関連しますが、HDMIケーブル購入契約などは、簡単な発注(契約)と判断すれば、仕様書は省略することもあると思います。貴組織が慣例的に実施していて、過去に外部から指摘を受けてないなら問題ないです。会計検査院や内部監査でも認めているものであれば問題ありません。