「請書」って何?「契約書」との違いは?必要とする根拠の解説

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契約手続き
2005年 グアム
契約手続き

官公庁の契約手続きに必要な「請書(うけしょ)」の解説です。

「請書」とは、どのような書類なのか、「請書」を必要とする根拠法令、「請書」と「契約書」の違いなどを、わかりやすく簡単に説明します。

また、「請書」は、相手方に対して強制力があるのか、契約を変更するときはどうするのかなど、実務面からくわしく解説します。

 

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「請書」を必要とする根拠法令

 

「請書」の読み方は「うけしょ」です。「せいしょ」ではありません。間違えると恥ずかしいので注意しましょう。

 

最初に、官公庁の契約手続きで、「請書」が必要となる根拠法令を確認します。

 

契約事務取扱規則

第十五条 契約担当官等は、契約書の作成を省略する場合においても、特に軽微な契約を除き、契約の適正な履行を確保するため請書その他これに準ずる書面を徴するものとする。

 

契約書の作成を省略する場合に、契約の相手方から提出してもらう書類が「請書」です。契約書を作成するほど重要(複雑)でない契約のときに、「請書」を提出してもらいます。

 

契約書の作成を省略できる場合は、契約金額を一定の基準として、予算決算及び会計令で定めています。150万円以下なら省略できます。

予算決算及び会計令

第百条の二 (略)契約書の作成を省略することができる場合は、次に掲げる場合とする。

一 (略)契約金額が百五十万円(外国で契約するときは、二百万円)を超えないものをするとき。

二 (略)

 

また契約事務取扱規則 第十五条の「特に軽微な契約を除き」という記載にも注意しましょう。契約金額が小さい「特に軽微な契約」なら「請書」も必要ありません。

 

「契約事務取扱規則」は、国の組織(各省庁等)に対して適用される省令です。地方自治体などは、それぞれで個別に定めています。参考に「東京都」と「大阪府」の規則を抜粋します。

東京都契約事務規則
第三十九条 契約担当者等は、(略)契約書の作成を省略する場合においても、知事が指定する契約を除き、契約の適正な履行を確保するため、請書(略)その他これに準ずる書面を提出させるものとする。

 

大阪府財務規則
第六十六条 契約担当者は、(略)契約書の作成を省略する場合においても、別に定める場合を除き、契約の適正な履行を確保するため請書その他これに準ずる書面を徴するものとする。

 

ほぼ同じ内容です。地方自治体の規則は、国の会計法令や規則をベースに作成しています。そのため、会計手続きの「基本的な考え方」を習得するには、国の会計法令を理解することが必要です。

 

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そもそも「請書」とは

 

「請書」とは、「契約内容を遵守します」という「誓約書」です。契約当事者の一方が、相手方に対して提出する「誓約書」です。当事者同士を拘束する「契約書」とは異なります。

 

「契約書」は、当事者間の意思の合意(契約内容)を文書で取り決めて、お互いの「債権」と「債務」を約束します。相手に対して、「何を求める権利があるのか」、「何をしなければならない義務があるのか」約束します。当然のことですが、契約内容が守られなければ契約違反となり、違約金や損害賠償の対象になります。「契約書」は、当事者同士がお互いに「契約は遵守します」と証明した書類です。法的な効力(約束を破ったときに強制力)がある書類です。

 

一方「請書」は、「契約書」と異なり、契約の相手方に対して強制力はありません。そもそも「契約書」のように、相手方へ義務を課すほど重要でない契約のときに使用するものです。

 

契約内容を履行しないときに重大な支障が生じるなど、トラブルが発生する可能性があれば、契約金額に関係なく「契約書」の取り交わしを行うべきです。

 

そうは言っても、ほとんどのトラブルは予期せずに発生します。そこで、「請書」の相手方に対する強制力について解説します。

 

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「請書」の強制力について

 

「請書」は、契約の相手方に対して一方的に提出する書面(誓約書)です。通常は、民間企業が官公庁へ提出するケースが多いです。一方的に提出する書類なので、「請書」の提出を理由として、相手方を強制させることはできません。(くどいですが、強制することが必要なら「契約書」を取り交わすべきです。)

 

例えば、官公庁側が「請書」を受け取っているのに、民間企業側の怠慢で、納入期日が遅れて履行遅滞になったとします。官公庁側が、債務不履行として民間企業を強制しようとしたとき、民間企業から次のように主張されてしまうことがあります。

 

「請書を提出したのに、官公庁側から返事がなく、正式な発注(契約成立)なのか不明だった。」

 

「正式に契約が成立したとは思わなかった。」

 

このように主張されると、民間企業側に対して納入を強制できません。契約が成立しているのか不明になってしまうのです。

「請書」を提出してもらうだけでは、正式な「契約の成立」が確認できないのです。そのため、請書を受理したときには、必ず「正式発注します。」ということを、相手方へ正確に伝えて、納期などを再確認する必要があります。

 

「請書」を提出してもらう契約は、「軽微なもの」だけです。契約書を取り交わすほど重要でない軽微な契約(契約金額が小さいものや、契約内容が簡単で契約不履行が想定できない契約など)の場合に、相手方から「請書」を提出してもらいます。

 

重要な内容の契約であれば、契約金額が小さくても、「請書」の提出ではなく、「契約書」を取り交わすべきです。

 

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「請書」のサンプル(様式例、A4縦)

 

請書の様式例です。実際の契約内容に沿って作成します。

 

請 書

件名 ○○○○システム一式

 

内訳(品名、メーカー名、型式、数量を記載)
本体 ○○株式会社製 ○○型 1台
付属品 ○○型 1台
付属品 ○○型 1台

 

契約金額 金○,○○○,○○○円
(うち消費税及び地方消費税相当額 ○○○,○○○円)

 

上記の物品供給契約について、次の条件により契約した証として、この請書を提出します。

 

1.納入期限 平成29年 月 日( )
2.納入場所 ○○省○○課
3.検収確認 発注者は物品の納品時に検査確認を行う。
4.契約代金 発注者の検査確認後、適法な請求書を受理してから1回払い。
5.書類の提出場所 納品書、請求書は○○省○○課○○係に提出するものとする。
6.物品の無償保証期間は、納品検査確認後1年間とする。
7.この契約について必要な細目は、○○省が定めた物品供給契約基準による。(別に契約の細目を定めている場合の記載)
8.その他定めのない事項については、発注者と協議のうえ定めるものとする。

 

平成29年 月 日

 

発注者
○○省○○課 御中

 

受注者
住所
会社名
代表者氏名 印

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「特に軽微な契約」とは

 

国の契約手続きでは、上記のように予算決算及び会計令第百条の二に基づき150万円以下は契約書の作成を省略できます。
さらに、契約事務取扱規則第十五条では「特に軽微な契約を除き」という記載があります。契約書の作成を省略できる150万円以下の契約は、「請書」を取り寄せることになります。しかし「特に軽微な契約」であれば、「請書」も必要ありません。ほんとに簡易な契約になります。

 

では「特に軽微な契約」とは何を指すのでしょうか。

 

法律や政令では定めておらず、各省庁などの運用通知や内部規則で一定金額(100万円以下など)を定めています。

 

国土交通省所管
会計事務取扱規則(平成13年国土交通省訓令第60号)第46条の規定により、金額が100万円を超えない契約については、契約事務取扱規則第15条に規定する軽微な契約として取り扱うことができる

 

文部科学省 100万円未満の契約
「予算決算及び会計令第72条の規定による各省各庁の長が定める一般競争参加者の資格等の定め等について」平成6年3月8日付会計課長通知文会総第25号

 

一橋大学契約事務取扱要項

第45条 (略)契約書の作成を省略できる場合は、次に掲げる場合とする。

一 (略)契約金額が300万円を超えないものをするとき。

2 (略)契約書の作成を省略する場合においても、特に軽微な契約を除き、契約の適正な履行を確保するため必要に応じて、契約の事実及びその内容を明らかにする請書その他これに準ずる書面を契約の相手方から提出させるものとする。

第46条 前条第2項の規定により契約の相手方より請書を提出させる基準は次の各号に掲げる場合とし、契約の内容を明らかにするため、必要に応じて仕様書・図面等を添付させるものとする。

一 契約金額が150万円を超える場合

 

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「請書」の変更契約

 

正式に契約を締結し、請書を提出してもらった後に、契約内容を変更せざるを得ない状況になることがあります。契約の変更は、発注者である官公庁側が不利にならない内容であれば可能です。税金を使用している官公庁の契約では、契約後に、官公庁側が不利となる契約変更は、原則として認められません。

 

契約金額を減額する変更契約や、当初の契約時に想定していなかった事態が発生し、実態に合わせて変更したいケースは多いと思います。150万円以上で「契約書」の取り交わしを行った契約は、「変更契約書」を新たに作成し取り交わします。「請書」を提出してもらった契約の場合は、次のように契約を変更します。

 

「請書」は、一方的に提出する誓約書です。双方で記名押印して取り交わす「契約書」ではありません。「請書」による契約の変更は、「請書」を提出し直すことで変更契約可能です。

 

契約の相手方と双方で、変更内容を確認し(合意して)、契約内容を変更したときは、次の処理になります。

 

「変更後の請書」を、変更日で再度作成し提出してもらいます。「当初の請書」と「変更後の請書」の両方が契約書類になります。両方を一緒に保管しておきます。「当初の請書」の余白に「○年○月○日付け変更請書あり」などの表示をしておくと、わかりやすく効率的です。表示を忘れると、後日ややこしいことになります。

 

あるいは、「当初の請書」を相手方へ返送し(返す場合はコピーをとっておく)、「当初の請書」の日付で変更後の請書を再提出してもらいます。これは、「当初の請書」を差し替えることになります。返送した「当初の請書」のコピーに、契約変更の処理経緯を簡単にメモしておきます。

 

いずれの処理方法も、契約の相手方と合意の上、請書を提出し直す(出し直す)方法で処理可能です。また「変更後の請書」も決裁手続きが必要です。変更した経緯を簡単にメモして決裁します。

 

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「変更請書」の記載例

 

もうひとつ古風な方法として、変更後の契約内容を「変更契約書」のように記述する方法もあります。

請書(○年○月○日変更)

 

件名 ○○○

 

平成○年○月○日に提出した件名○○○の請書について、次のとおり変更します。それ以外については、当初に提出した請書のとおり契約をお請けします。

 

変更部分
当初の○○○○を○○○○に変更する。

 

平成○年○月○日

 

発注者
○○省○○課 御中

 

受注者
住所
会社名
代表者氏名 印

 

この場合は、「当初の請書」の余白部分へ、「平成○年○月○日変更請書受理」とメモを記載しておきます。メモしておけば、後日悩まなくてすみます。小さな契約変更は、時間の経過につれて忘れやすいです。特に、人事異動で担当者が変わると、変更の経緯がわからなくなります。必ず、「当初の請書」にメモしましょう。

 

請書の変更は、事実どおりに書類を整えれば問題ありません。


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