見積書、納品書、請求書の日付に注意!3点セットでは恥ずかしい

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契約手続き
国立競技場

官公庁の会計実務に必要な書類の日付に注意しましょう。見積書、納品書、請求書を3点セットとして依頼すると、後日トラブルになり、不適切な会計処理を疑われてしまいます。それぞれの書類の意味を正しく理解しましょう。

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「3点セット」のリスクとは

官公庁で会計実務を担当していると、3点セットという言葉を聞くことがあります。3点セットとは、見積書、納品書、請求書のことです。支払い手続きを行うために必要な書類です。3点セットという言葉は、官公庁側の担当者が使うこともありますし、民間会社の営業担当者が使うこともあります。

 

特に、ベテランの担当者になると、支払手続きを早期に処理するために、「3点セットでお願いします。」と依頼することが多くなります。

 

3点セットという言葉を聞いて、違和感を持つ人は、会計実務の基本姿勢が守られている人です。しかし残念なことに、現在(2019年)は極めて少数派です。多くの職場で3点セットという言葉が、当然のように使われています。しかし、これは「書類さえ整えれば良い」という危険な合理主義です。

 

契約の取引相手である民間会社へ3点セットを依頼するときは、そのほとんどが、納品後の代金支払時です。納品を終えるまでは口頭でやりとりし、納品確認後の代金を支払う段階になって、必要書類として3点セットを依頼します。あるいは支払担当者から不足書類として指摘され、慌てて見積書、納品書、請求書の3点セットをまとめて揃えることになります。書類を依頼された民間会社の営業担当者は、官公庁との取引経験が浅ければ、3点セットの書類を、依頼された日付で作成してしまいます。

 

すると、困った事態が発生します。

 

納品後の日付で書類を作成してしまいます。見積書、納品書、請求書が同一の作成日になってしまうのです。

 

契約手続きについての正しい基礎知識がないまま、書類さえ整っていれば良いと考え、3点セットの書類を取り寄せて、支払手続きを行なってしまいます。そして後日、外部の検査で指摘を受けます。税務調査では、支払書類の日付と実際の取引日が異なる、と指摘を受けることになります。会計検査では、納品後に見積書を作らせるのは、適正な事務処理ではないと指摘を受けることになります。

 

これらのリスクを避けるためには、書類の提出依頼を正しく行う必要があります。正しい依頼方法は、「見積り、納品、請求書類をお願いします。」と伝えます。また各書類の日付も、「実際の日、つまり口頭でやりとりした日付け」を確認して作成を依頼します。

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見積書、納品書、請求書とは

 

見積書は、契約(正式な発注依頼)を行う前に、金額や内容を確認する目的で、民間会社から提出してもらう書類です。当然のことながら納品前に作成してもらう書類です。発注する直前に、電話やメールで金額を確認したときに作成してもらう書類です。例えば、電話で発注前に次のようなやりとりがあったとします。

官公庁側 「〇〇製のパソコンは、いくらで販売できますか?」

民間会社側「定価の25%引き(あるいは〇〇円)で販売できます。」(ここが見積金額です。)

官公庁側 「それでは正式発注しますので、〇月〇日までに納品をお願いします。」

 

発注するときに確認した金額が、見積金額です。少額な契約では、口頭で見積金額を確認することが多いです。そして書面として提出してもらうのが見積書です。作成年月日は、実際に金額の提示を受けた日です。書類作成が後日になったとしても、実際には発注時にやりとりしているはずです。その日で作成してもらうのが見積書の正しい日付です。メール等が残っていれば、最初に見積金額を提示してもらった日で作成するのが正しい処理です。最初に金額を確認した日が、見積書の作成年月日になります。

 

納品書は、官公庁側が実際に物品等を受け取る時に、民間会社から提出してもらう書類です。納品日で作成してもらうものです。官公庁側の契約担当者は、納品検査(検収・・検査収納の意味)を行なうために、発注内容と現物が同一かどうか確認して、納品書へ「検収サイン」を記載します。納品書には、受領年月日と検収者のサインが必須です。特に税務調査では重要な書類になります。

 

請求書は、官公庁側の納品検査(検収)が終わった後に提出してもらう書類です。代金の支払手続きに必要な書類です。会計法令で、請求書に基づかなければ支払いできないことが明記されてます。

政府契約の支払遅延防止等に関する法律

第六条 (対価の支払の時期)は、国が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求を受けた日から工事代金については四十日、その他の給付に対する対価については三十日以内の日としなければならない。

第十四条 この法律(第十二条及び前条第二項を除く。)の規定は、地方公共団体のなす契約に準用する。

 

上記の遅延防止法第六条「・・適法な支払請求を受けた日・・」とは、請求書を受理した日です。また第十四条で、国の組織だけでなく、地方公共団体(都道府県や市区町村)も対象であることが明記されています。遅延防止法は、官公庁全体が適用対象です。(納品書については遅延防止法第五条です。)

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会計書類の正しい日付

官公庁の会計実務担当者は、これらの時系列的な流れを意識して、事務処理を行なうことが重要です。(事務処理とは、書類を取り寄せたり、作成したりすることです。官公庁では対外的な説明書類になります。)

見積書、納品書、請求書は、次の順番になります。

時系列的な流れ

見積書 → 納品書 → 請求書

 

実際の取り引きどおりに、時系列に沿って作成した書類を提出してもらわないと、契約手続きが適正に行われたとは看做されません。書類の日付は、事実と合っていなければなりません。

 

これらの事実を無視してしまうと、取引相手である民間会社の売上台帳と、官公庁側が保存する書類の日付が合致せず、後日、(日付操作を疑われ)問題になることがありますので注意しましょう。

 

特に年度末などに、日付を操作してしまうと、不適切な会計処理(不正行為)と見做されてしまうリスクがあります。事実どおりの日付が正しい処理であり、そのためには正しい知識が必須です。

コメント

  1. 新人 より:

    ※管理人様

    ご回答誠にありがとうございました。

    >正式契約のときに原紙を提出してもらう取り扱いだと思います。
    こちらに関しては、根拠となる法令や勧告等はございますでしょうか。
    もしあればご教示いただけますと幸いです。

  2. 新人 より:

    ※管理人様
    大変わかりやすい解説ありがとうございました。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。

  3. 新人 より:

    ※管理人様
    大変わかりやすい解説ありがとうございました。
    今後ともよろしくお願い致します。

  4. 新人 より:

    管理人様
    いつも参考にさせていただいております。
    2点お聞きしたことがございます。

    ①見積書の形式について
    当方の部署では次のような形式でもらうように上司より指導を受けております。
    ・比較見積もりで不採用になった見積書・・・PDFのコピー
    ・比較見積もりで不採用になった見積書・・・原紙
    果たしてこれは正しいのでしょうか。

    ②日付について
    残念ながら、当方の部署では3点セットで依頼するよう上司より指導を受け
    これまで納品時に3点セット「見積書(原紙)」「納品書」「請求書」を契約依頼書の決裁日より後の同じ日付で貰っていました。
    今後は、

    見積書(発注前に郵送でもらう) → 納品書(納品時にもらう) → 請求書(納品後、検収完了してからもらう)

    のタイミングで日にちをずらして貰ったほうが良いのでしょうか。

    • 矢野雅彦管理人 より:

      コメントありがとうございます、管理人です。

      ①について
      従来から実施しているのであれば問題ないと思います。

      PDFと原本の取り扱いについては、会計法令での定めはありません。100万円以下などの金額の少ない見積もり合わせ(比較見積もり)では口頭見積もり可能です。電話で見積もり金額を聞きメモすることもあります。そして一番有利な会社と正式契約するときに見積書原紙を提出してもらいます。おそらくPDFレベルで比較検討し、正式契約のときに原紙を提出してもらう取り扱いだと思います。

      ②について
      見積書、納品書、請求書の日付については、実際の日付で作成してもらいます。例えば、極端な例ですが、近くの販売店で小さな物品を購入し、その場で請求書を発行してもらえれば、見積書、納品書、請求書は同じ日になります。即納品は同日のことが多いです。

      発注から納品までに数日間必要なときは、見積書は発注日以前、納品書と請求書が同日のこともあります。

      いずれも、実際の日で処理します。事実と異なる作成日を指定すると「不正」になります。

      見積書=発注日以前

      納品書=納品日(購入日)

      請求書=検収確認後に提出してもらいます。

      取引相手の会社へ「請求書の提出は、当方での納品確認後に連絡があってから提出して欲しい」旨の協力依頼をしておくと効率的です。