「委任状」がわからない! 「委任状」の書き方とフォーマット

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契約手続き
2007年 シンガポール

官公庁の契約手続きに必要な「委任状」の解説です。そもそも「委任状」は何のために必要なのか、民法などの根拠法令を基にわかりやすく解説します。「委任」と「代理」の違い、委任状の書き方、実際の委任状フォーマットです。

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そもそも「委任状」とは

見積書や入札書を提出するときや、契約書を取り交わすときに「委任状」の提出を求められることがあります。フォーマットが指定されていれば、悩む必要はないのですが、「任意様式で」などと言われてしまうと困ります。「委任状」の書き方がわからなくて悩みます。どのように作成するのかわかりません。

 

なお、この記事で解説する「委任状」は、官公庁の契約手続きに必要な書類です。競争入札では様式が定めてあることが多いです。

 

「委任状」の書き方は、学校の授業にはありませんでした。しかし社会人になると、ときどき耳にします。そもそも「委任状」とは何なのか、なぜ必要なのか確認します。

 

最初に「委任」についての根拠法令です。

民法

(委任)
第六百四十三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(受任者の注意義務)
第六百四十四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

 

「法律行為」とは契約のことです。売買契約や製造契約、役務契約などです。民法などの法律が適用されて、相手方に対して権利や義務が発生する行為です。これらの行為のうち、特定の内容を誰かにやってもらうことが「委任」です。契約権限を部下へ任せる場合に使います。

 

契約の成立は、当事者同士の合意です。民法 第五百二十二条で定めています。

民法
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

 

契約は「当事者同士の合意」なので、人間が行うことになります。例えば株式会社自体は意思を持っていません。そこで「株式会社を代表する人が権限を持つ」ことが会社法で定められています。

会社法
(株式会社の代表)
第三百四十九条
4 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

 

つまり契約を締結する権限は、会社の「代表取締役」が持っています。見積書や納品書、請求書などに「代表取締役」という肩書きが書いてあるのは、このためです。「代表取締役」が契約権限を持っています。会社として契約することができます。見積書の提出や、入札書の提出が可能です。しかし日常の仕事では「代表取締役」が自ら行うことはなく、部下の社員へ任せています。

 

例えば、官公庁が実施する入札へ参加するのも「代表取締役」ではなく「営業担当者」が多いです。このような場合に「委任状」が必要になります。特に競争入札では、予定価格を超えているときに、入札会場内で「再度入札」をすぐに実施します。会社を代表した契約締結権限を持っていないと入札書を提出できません。この契約締結権限を証明するために「委任状」が必要になります。

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「委任」と「代理」の違い

区別のむずかしい「委任」と「代理」の違いです。
「委任」によって「代理人」が選ばれます。「委任」は、特定の法律行為(入札書や見積書の提出など)を任せる行為です。「代理」は、本人に代わって行った意思表示の効果を、本人に帰属させることを表すことです。第三者に対する法的効果を明確にするときに使います。代理であることを明示しないと効果がありません。民法第百条では「代理」と示さないで行った行為は、「代理にならない」ことを定めています。

民法

(本人のためにすることを示さない意思表示)
第百条 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。(略)

 

つまり、「委任」と「代理」は別の意味です。結果的には同じことを意味するのですが、流れで考えると「委任」手続きによって「代理」人が選ばれます。そして、その後に行う行為で「代理」と表示することで「委任」の効果が現れ本人に帰属します。ここは少しややこしいです。おおまかな流れは次のとおりです。

委任 ➡ 代理と表示 ➡ 委任になる

ここまで細かく考えなくても実務上は同じですが。

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委任状のフォーマット

官公庁によっては、委任状のフォーマット(書式)を定めていることがあります。「委任状」の書式がある場合は、それほど悩みません。会社内で「委任状の発行について」決裁を受けるだけです。しかし「任意様式」のときはドキドキします。間違えた書式を提出し、契約が無効になったら大問題です。そこで「委任状」のフォーマット(書式)について解説します。

必ず記載する事項は、次のとおりです。

委任状であることの記載「委任状」

作成年月日

委任事項(委任する内容、復代理人まで含むか)

委任者と受任者の「住所・氏名・印鑑」

 

参考に一般的な記載例です。ひとつの入札(契約)に関してのみ委任する場合です。

委 任 状

令和 年 月 日

官公庁名 御中
(または、支出負担行為担当官 殿など)

 

委任者(会社の代表者)
所 在 地
商 号 等
代表者 職・氏名 印

 

私は、〇〇〇〇を代理人と定め、下記に掲げる権限を委任します。

1. 令和 年 月 日に開札する「件名〇〇〇〇 一式 」に係る次の事項
入札及び見積に関する一切の件
契約締結に関する件一切の件
代金の請求及び受領に関する一切の件
復代理人選任の件
その他前各事項に付随する一切の件

 

2. 受任者(代理人)の使用印鑑  

 

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委任状(一定期間委任する場合)

入札案件に関係なく、一定期間委任するケースです。役職指定などで特定の人に対して任せている場合です。支店長、部長や課長などが多いです。

委 任 状

令和 年 月 日

官公庁名 御中
(または、支出負担行為担当官 殿など)

委任者(会社の代表者)
所 在 地
商 号 等
代表者 職・氏名 印

私は、下記の者を代理人と定め、貴省との間における下記の権限を委任します。

受任者(代理人)

(住 所)
(商号・役職等)
(氏 名)

 

委 任 事 項
1.入札及び見積に関する一切の件
2.契約締結に関する件一切の件
3.代金の請求及び受領に関する一切の件
4.復代理人選任の件
5.その他前各号に付随する一切の件

委任期間 令和 年 月 日から令和 年 月 日

受任者(代理人)の使用印鑑

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復代理人の委任状

復代理人を選任する委任状は、代理人への委任事項の中に「復代理人の選任」に関することが記載されている場合のみ提出可能です。代理人の委任状を確認してから作成します。

これは会社の代表者が契約権限を委任するときは、「その人を信頼して委任する」のが普通だからです。信頼できる人に委任するわけです。そのため代理人が、さらに委任するときは、本人(代表者)が、あらかじめ了承していることが前提になります。民法第百四条で「本人の許諾」を得ていないと復代理人を選任できないと定めています。

民法

(任意代理人による復代理人の選任)
第百四条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

 

復代理人の委任状は次のとおりです。

委 任 状

令和 年 月 日

官公庁名 御中
(または、支出負担行為担当官 殿など)

委任者(競争加入者の代理人)
所 在 地
商 号 等
職・氏名 印

私は、(復代理人名)(代表者名)の復代理人と定め、下記に掲げる権限を委任します。

1. 令和 年 月 日に開札する「件名〇〇〇〇 一式 」に係る次の事項
入札及び見積に関する一切の件
契約締結に関する件一切の件
代金の請求及び受領に関する一切の件
復代理人選任の件
その他前各事項に付随する一切の件

 

2. 受任者(競争加入者の復代理人)の使用印鑑

 

この復代理人の選任は慎重に確認しましょう。またトラブルが起きたときに、痛いことにならないよう理解しておきましょう。

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