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予定価格

予定価格を批判してはいけない理由、会計検査院の必要性こそ問題

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マスコミで官公庁の契約手続きが批判されるときは予定価格が関係することが多いです。会計検査院による検査結果から、予定価格が悪者のように扱われるのでしょう。契約担当者からすると、予定価格の作成経験がない人の指摘は信用できないことが多いです。

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なぜ予定価格ばかり批判される?

この解説の予定価格は、官公庁の契約手続きに必要な書類です。実際に契約実務を担当し、予定価格調書を作成した経験のない人には理解することが困難な書類です。もし理解できたとしても、それは表面的な部分だけです。予定価格の本質は、作成経験者にしかわかりません。

 

毎年、会計検査院の指摘事項として税金の無駄使いが報道されます。予定価格が割高だった、あるいは予定価格の積算ミスで税金が無駄に使われたなどの批判です。いずれも会計検査院の検査結果による記事です。

 

税金の無駄使い = 予定価格 というイメージで頻繁に使われますが、そもそも予定価格の作成方法を具体的に定めた法令は存在しません。つまり予定価格が適正かどうかの基準自体が存在しないのです。

 

予定価格が高いか安いかは、人それぞれの主観・感覚に過ぎません。会計検査院の調査官は、ほとんどの場合、現場を知らずに指摘しています。

 

例えば積算ミスをして予定価格が割高だったと指摘したとしましょう。しかしその積算方法が極めて複雑で、間違えやすい計算式が原因になっていたとすればどうでしょう。ミスを防ぐ目的であれば、多くの人が勘違いするような積算基準自体を見直すべきなのです。会計検査院が毎年同じような指摘を繰り返す事例は、ほとんどが本質を見ていない指摘によるものです。

 

官公庁の契約担当者は、迷い悩みながら予定価格を作成しています。予定価格の作成を実際に経験した人からすれば、マスコミ報道による記事は、誤解した考え方に基づく批判が非常に多いのです。残念ながら、単に国民の関心を引き寄せるためのニュースの素材として予定価格を利用しています。

 

本来、税金の無駄使いを防ぐことが目的であれば、会計検査院が予定価格の作成基準を設定し公開すべきです。指摘するのであれば、その前に基準を公開するのが常識のはずです。

 

ところが会計検査院は、予定価格の作成基準を公開したり、事前のアドバイスはしません。なぜなら会計検査院がアドバイスしてしまうと後から指摘できず、会計検査院の存在意義が問題になってしまうからです。

 

会計検査院の役割は、不当事項を見つけることではなく、不当事項を防ぐことと思ってもらいたいです。

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会計検査院のあり方を見直す時期

 

2021年現在、インターネットの普及によって、誰もが世界中の情報にアクセスできる時代になりました。歩きながらスマホ片手に世界中の情報を入手できる時代です。

 

官公庁に対する情報公開制度も整備されてきました。誰もが官公庁に対して情報公開を求めることができるようになりました。(のり弁など、まだまだ不十分ですが・・)

 

インターネットがなかった時代は、まだ情報公開制度もありませんでした。1995年以前は、一般の国民は官公庁の会計手続きを知ることができなかったのです。そのため国民に代わって会計検査院によるチェックが必要な時代でした。

 

しかし現在は、多くの官公庁で積極的に会計情報をWEB上で公開しています。入札公告や契約実績一覧もすぐに調べられます。このような時代に会計検査院の役割が従来のままで良いのか極めて疑問です。事前に指導もせず、官公庁がミスするのを待ち伏せするかのような、批判しかしない公的組織は必要なのかと思ってしまいます。会計検査院の年間予算は160億円です。批判しかしないのに、これだけの税金を使う必要があるでしょうか?

 

国民が知りたい情報を、国民の代わりに強い権限で調査して開示してくれるのなら大きな存在意義があります。しかし残念ながら、会計検査院にはそのような役割も機能もありません。

 

国会での虚偽答弁や自殺者まで出した森友問題を見れば明らかです。会計検査院は、国民が知りたい疑惑について解明できないのです。加計学園問題もそうです。疑惑を何も解明できないのです。

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予定価格の法的根拠

私は、何も生み出さない批判は好きではないので話しを戻します。そもそも予定価格は何のためにあるのでしょうか。

 

国の契約手続きの基本となる法令は、会計法、予算決算及び会計令(予決令)です。国以外の地方自治体や独立行政法人、国立大学法人などの政府系組織でも、条例や内部規則で同じように定めています。例えば、一般競争入札や随意契約などの契約方式については会計法第二十九条の三が法的根拠です。少額随意契約を次のように認めています。

 

少額随意契約の例

会計法 第二十九条の三 第五項

契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては、(略)指名競争に付し又は随意契約によることができる。

 

官公庁の契約手続きは会計法令で細かく定められています。ところが契約手続きの中で重要な予定価格については、財政法に規定はなく、その下位の会計法で初めて登場します。そして会計法の下位の政令として予算決算及び会計令(予決令・・よけつれい)の中で抽象的に次のように定めています。

 

読みやすいように、本サイトでは法令の一部を抜粋したり省略しています。

予算決算及び会計令

第七十九条
契約担当官等は、その競争入札に付する事項の価格を当該事項に関する仕様書、設計書等によつて予定し、その予定価格を記載し、又は記録した書面をその内容が認知できない方法により、開札の際これを開札場所に置かなければならない。

 

たったこれだけの根拠法令から、予定価格を作成することになります。具体的な作成方法は記述がなく、誰にもわからないのです。模索しつつ悩みながら作成するのが現実です。

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予定価格の必要理由

 

予定価格は、上述の少額随意契約のように契約方式を判断する基準に使います。また入札手続きでは落札の基準価格として使います。例えば契約方式を判断する会計法第二十九条の三を確認しましょう。

 

会計法
第二十九条の三

 

契約担当官等は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項(指名競争)及び第四項(随意契約)に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。

 

契約手続きの原則は、一般競争入札であることを明確に定めています。例外として第三項の指名競争入札、第四項の随意契約と定めています。

 

会計法第二十九条の三では契約方式を、一般競争入札、指名競争入札、随意契約と定めています、そして事務簡素化を目的とした少額随意契約を適用するための基準として、第五項で予定価格が用いられています。

 

会計法 第二十九条の三 第五項

契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては、第一項及び第三項の規定にかかわらず、政令の定めるところにより、指名競争に付し又は随意契約によることができる。

 

極端な言い方をすれば、もし予定価格に基づく契約方式の判断基準が定められていなければ、官公庁は全ての契約を一般競争入札としなければなりません。電卓ひとつ買うにしても2ヶ月くらい契約手続きが必要になります。それこそ莫大な人件費を費やし、税金の無駄使いになってしまいます。

 

また入札手続きでは、落札の基準価格として予定価格を用いることが、会計法第二十九条の六で定められています。

会計法

 

第二十九条の六 契約担当官等は、競争に付する場合においては、政令の定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とするものとする。

 

予定価格の役割は、上述のように会計法令で明確に定められています。

 

しかし実際の予定価格は、担当者が日々迷い悩みながら作っています。簡単に第三者が批判できるような内容ではありません。

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