意外と知らない入札の目的、1社入札の理由、問題視すると不正を誘発

イギリスのロンドン 入札
イギリスのロンドン

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1社入札は問題ではない

 

最近のマスコミ報道や会計検査院の指摘などで、官公庁などの公的組織が実施した入札の結果として、1社入札になることが問題であるかのような誤った考え方が多く見受けられるようになりました。(1社入札、1者入札、1社応札、1者応札、1者応募などとも言いますが同じ意味です。)

 

批判的な意見は、1社入札は、実質的な価格競争が行われていないので、入札という競争制度が形骸化しているという理由によるものです。

 

「競争が行われていない」とか「形骸化している」という言葉は、実務を経験したことのない、入札制度の本質を理解していない人たちから見れば、それだけで不正をイメージさせるキーワードです。

 

会計検査院は、公的組織の不正があれば自分たちの出番になるのですから良いのでしょうが、このような本質を理解していない考え方こそ問題です。

 

 

 

入札の本当の意味

 

会計法令で定めている「入札」という意味は、入札公告などの公開手続を経て、誰でもが公平に入札に参加できる「競争の機会を確保」することです。

 

会計法令で不落随意契約を規定していることからも明白なことです。

予算決算及び会計令(不落随契)

第九十九条の二  契約担当官等は、競争に付しても入札者がないとき、又は再度の入札をしても落札者がないときは、随意契約によることができる。

 

この予決令第九十九条の二は、入札を実施した結果、入札者がいないとき、あるいは予定価格(基準価格)の範囲を超えて落札者できないときは、事務簡素化の観点から、随意契約によることを認めています。

 

競争の機会を確保した結果であれば、随意契約は問題ないという条文です。

 

もし、「実質的に価格競争が行われていなければ問題」、あるいは「形骸化している」ということなら、この条文そのものは規定しなかったでしょうし、明らかに矛盾し問題があるということになってしまいます。

 

入札結果だけを見て「1社入札は、入札が形骸化している」という短絡的な考え方ではなく、競争の機会が確保された手続きによったものかどうか、で判断すべきなのです。

 

 

競争の機会を確保

 

会計法令で定めている入札制度の目的は、「競争の機会を確保すること」です。しつこくなりますが、「機会」を確保することなのです。

 

つまり、最初から競争を排除した随意契約を行うのではなく、入札手続によって、契約を希望する誰でもが参加できる機会を確保することが最も重要なのです。

 

入札を実施した結果、仕様書に合致する応札者(入札者)が1社しかないとしても、それは結果論であって、誰でもが参加できる機会を確保した手続を経ているのであれば、適正な契約なのです。

 

 

1社入札の原因

 

1社入札の原因として、よく指摘されるのは、仕様書の条件が厳しく他社が参入できない、仕様書が特定の企業のためだけに作られている、という議論です。これは、自由市場の競争社会を否定する考えです。

 

競争社会では、価格競争だけでなく、技術力も競争に含まれます。

 

仕様書の条件が厳しければ、その厳しい条件に入れるよう努力する必要があります。仕様書が厳しいということは、その時点で技術競争に負けているのです。

 

特に、仕様書の条件については、研究組織で購入する特殊な研究用機器で重要な部分となります。

 

数年前の民主党政権時代に実施された「事業仕分け」で、スーパーコンピュータの議論が話題になりました。「どうして世界1位じゃないと駄目なんでしょうか、2位では駄目なのでしょうか」という事業仕分けがありました。

 

科学研究の分野は、1分1秒を争いながら、世界的な競争を行っています。

 

世界で一番を目指すことこそが、日本の科学技術の発展につながります。そして、研究を発展させることによって教育の水準も高くなるのです。

 

当然ながら、世界最先端の研究は、世界最高の技術水準を必要とする機器が必要になり、仕様書の条件も必然的に厳しくなります。

 

必要最小限の仕様書で支障のないような、公共工事などの分野と、世界最先端の科学技術を必要とする分野を並べて議論すべきではありません。

 

そんなことをしてしまえば、日本の科学技術は衰退し、教育の質が低下し、日本経済が停滞します。日本社会そのものが立ち行かなくなります。

 

 

談合を誘発する1社入札問題視

 

もし、入札は2社以上ということを絶対条件とし、1社入札を問題とするなら、官製談合という犯罪を誘発することになります。

 

定員削減によって年々減らされている官公庁の契約実務担当者は、2社以上の入札を形式上確保する(形骸化という批判を回避する)ため、入札に参加する意思のない業者に対して、見せかけとして参加するよう依頼(強制)することになるでしょう。

 

落札する意思のない会社は、落札したくないため、落札希望業者よりも高い金額で入札することになるでしょう。

 

官製談合に陥ります。

 

会計検査院やマスコミによる、1社入札を問題視する見方や考え方は、善良な市民に対して、「泥棒しないなら逮捕するぞ」と悪徳警官が言っているのと同じようなものです。

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