「人件費を計算してください。」と頼まれたとき、あなたなら、どうしますか?
新しい事業を計画するときや、予算額を把握したいときには「人件費」が必要です。何かの計画を立案するときには、「人件費」を積算内訳とすることが多いのです。
ところが「人件費」の知識が少ないと、不安に襲われ、何から始めたら良いかわからず、途方に暮れることになります。右往左往します。「焦り」だけが頭の中に充満し、楽しいことまでストレスに変わってしまいます。
知識が少ないために、「簡単なこと」まで「ストレス」に変わります。いわゆる「テンパって」しまうのです。さあ、簡単にストレスを解決しましょう。
「人件費」は、意外に簡単
「不安」や「心配」などの多くは、「知らないこと」が原因になっています。「知らない」から「不安」になります。
「人件費」の計算は、複雑そうに感じます。「社会保険労務士」が国家資格としてあるほど、素人には手が出せない領域に思ってしまいます。どのような項目で計算すれば良いのか、どのように計算すれば良いのか、わからないのです。インターネットには、計算方法についての記事が多数掲載されてますが、どの方法が良いのかわかりません。
今回の解説では、簡単に人件費を計算できるよう、わかりやすく解説します。
くわしい解説は、次の別記事を参照ください。

計算「項目」を把握する
「人件費」を計算するときは、次の2つの項目を計算します。
業務従事者本人へ支払う「給与」
雇用主(会社側)が支払う「法定福利費」
「給与」は、基本給、地域手当、家族手当、通勤手当、ボーナスなど、「本人へ支払うもの全て」です。
「法定福利費」は、いわゆる「社会保険・労働保険」と呼ばれています。法律に基づいて、支払うことが義務化されている次の6項目だけです。(2020年1月現在、()書きは所管)
健康保険料(協会けんぽ)
介護保険料(協会けんぽ)・・40歳から64歳までが該当
厚生年金保険料(協会けんぽ)
雇用保険料(厚生労働省)
労災保険料(厚生労働省)
子ども・子育て拠出金(協会けんぽ)
本人へ支払う「給与」の計算方法
人事給与の基本原則は、公平性です。「同一労働、同一賃金」という言葉にもありますが、人事の基本はバランスです。特定の人だけ優遇するような給与は、いつか不満が爆発し、いずれ労働トラブルになります。
日本社会では、年功序列的な給与制度もあり、「経歴」と「仕事内容」で給与が決定されます。年齢と仕事内容と言い換えても良いでしょう。「給与」を検討するときは、年齢層を想定し、同じ世代の人たち(同僚)の給与を基準に決定します。給与は、不公平にならないことが必要です。
「法定福利費」の「料率」を確認
健康保険料などの「法定福利費」は、「料率表」により、保険料を算出します。最初に「料率表」を手元に準備しましょう。料率さえ把握すれば、法定福利費は簡単に計算できます。「協会けんぽ」と「厚生労働省」のサイトから、最新版を入手します。自分の地域をプリントアウトしましょう。
「協会けんぽ」の料率表
「厚生労働省」の雇用保険料率表
「厚生労働省」の<保険率・一般拠出金率>
次に、計算を簡単にするために、各料率を合算します。法定福利費の計算は「給与×料率」なので、料率を簡単にまとめてしまいます。印刷した後、次のように、「料率」部分をマークします。以下の内容は2020年2月現在です。
労災保険料率
上記の写真は、2020年1月現在、東京都の例です。(各地域ごと、業種ごとに数値を変えてください。)健康保険料と厚生年金保険料は、事業主負担分が半分(折半)になります。
健康保険料 9.9% → 折半4.95%
介護保険料 1.73% → 折半0.865%
厚生年金保険料 18.3% → 折半9.15%
雇用保険料 (一般事業) 0.6%
労災保険料(その他事業) 0.3%
子ども・子育て拠出金 0.34%
上記の率を合計します。
法定福利費 料率の合計 16.205%
簡単に「人件費」を計算する方法
「法定福利費」を厳密に計算するときは、それぞれの保険ごとに、標準報酬月額や賃金総額に料率をかけます。しかし、おおまかに「人件費」を計算するときは、上記の合計した「料率」から算出することができます。
算出例
月額給与が30万円の場合
給与 300,000円
法定福利費 300,000円×16.205%=48,615円
合計 人件費 348,615円(月額)
年間500万円の給与の場合
給与 5,000,000円
法定福利費 5,000,000円×16.205%=810,250円
合計 人件費 5,810,250円(年間)
一般的に、法定福利費は20%程度と言われますが、会社の事業内容によって、雇用保険料と労災保険料の率が大幅に変わります。建設業や農林業は「料率」が高くなっています。
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