落札率の報道に注意!落札率の高い入札が、すべて談合とは限らない

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お台場基礎知識
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落札率と談合についての解説です。官公庁が実施する一般競争入札で、落札率が95%以上のときは談合の疑いがあるとの報道があります。しかし事前に参考見積書を取り寄せ、直近の取引価格を反映した予定価格なら、落札率100%の方が適正な価格になります。

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落札率が高いと談合なのか?

 

2016年8月、市民オンブズマンなどが、国立研究開発法人 国立循環器病研究センターが実施した競争入札について、落札率95%以上は談合の疑いが極めて強い、と指摘していました。産経新聞の報道では、過去5年間で落札率100%のケースが137件ありました。

 

落札率が95%以上の競争入札は、談合の疑いがあるという報道なのですが、どうやら契約実務を知らないで、落札率を批判しているようです。落札率と談合の関係について、契約実務面から解説します。

 

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そもそも落札率とは

 

落札率は、予定価格に対する落札価格の比率です。

 

 落札率(%)=  落札価格  ÷  予定価格  ×  100

 

予定価格は、競争入札を実施するときに、官公庁側が作成する落札上限価格です。予定価格以下で最も安い入札金額の会社が落札します。

 

例えば、予定価格が100万円で、落札価格が90万円なら、落札率は90%です。( 90 ÷ 100 × 100)

 

一般競争入札へ参加する民間企業は、自社の利益を最大限確保するため、可能な限り100%に近い落札率を目指します。少しでも高い金額で契約したいと考えます。しかし予定価格は、国の会計法令では非公開のため秘密になっています。(予算決算及び会計令 第79条)非公開の予定価格では、そもそも落札率はわかりません。落札率が判明するのは、予定価格を公開した入札のみです。

 

また物品購入契約の予定価格は、実際の取引価格と乖離しないように作成します。予算決算及び会計令 第80条では、取引の実例価格の調査が義務付けられています。過去の取引価格だけでなく、開札前に参考見積書を取り寄せて現時点の取引価格も把握し、両方の価格を検討して予定価格を設定します。

 

入札に参加する会社が、入札金額と同額の参考見積書を事前に提出し、参考見積書の金額が過去の取引価格よりも安ければ、参考見積書の金額を予定価格とすることが多いです。最安値の参考見積書を提出した会社が落札すれば、当然ながら落札率は100%になります。物品購入契約では、十分な調査によって作成された予定価格であれば、落札率 100%の方がむしろ適正なのです。

 

一般競争入札に参加しようとする会社は、他の会社が入札に参加するかどうかは開札時までわかりません。1社入札である場合も、開札時に初めてライバルが存在しないことを知ります。物品購入契約における落札率100%は、談合とは一切関係なく、むしろ適正な予定価格を設定した結果になります。

 

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落札率を問題にする報道は間違い

 

今回のマスコミ報道のように、落札率を問題視してしまうと、官公庁側の契約担当者は、マスコミから批判されないよう意図的に落札率を下げてしまいます。開札前に提出してもらう参考見積書の金額を、わざと高く見積もるよう働きかけたり、適正な取引価格よりも高い予定価格を設定する事態に陥ります。

 

落札率を批判することで、いわゆる官製談合を誘発することにもなるのです。無理して落札率を下げるために価格調整すれば、不正行為になり。極めて重大な問題になります。特に怖いのは、このような不正は外部から見えないことです。内部告発でもない限りわかりません。つまり落札率を批判すれば、不正な契約手続きが蔓延することになってしまうのです。

 

現在の会計法令に基づく契約手続きは、予定価格を秘密にするなどのブラックボックス部分が多数あります。制度的な欠陥があり、談合などの不正事件を防ぐことは不可能です。筆者の提唱する、透明契約・透明入札制度を導入すれば不正事件は消滅しますが、現状では不正は防止できません。

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一般競争入札の趣旨とは

 

本来、契約方式の原則を一般競争入札としている趣旨は、誰でも入札に参加できる競争の機会が確保されていること、市場原理に基づく競争の結果、適正な契約金額になることです。一般競争入札を外部からチェックする場合も、この視点が重要です。

 

会計法令を理解せずに落札率を問題視するのは、単なる誹謗中傷と同じレベルです。

 

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社会に役立つ正しい報道姿勢とは

 

官公庁が実施する一般競争入札を、一方的に非難する報道が増えています。(改善のためには非難も必要かと思いますが・・)それよりも、改善案を提示する報道の方が、社会に役立つはずです。

 

繰り返しになりますが、落札率を問題視してしまうと、価格操作や官製談合を誘発し、ますます不正な契約を増やすことになります。批判されないよう、落札率を下げるために、高い金額の参考見積書を提出するよう働きかけたりするようになります。これらの価格操作は、明らかに不正です。官製談合を助長するだけです。

 

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秘密の予定価格、取引の実例価格を調べる根拠法令

 

参考に、予定価格を秘密にする根拠法令と、取引の実例価格を予定価格に設定するという根拠法令です。

 

予算決算及び会計令

 

第七十九条 契約担当官等は、その競争入札に付する事項の価格(略)を当該事項に関する仕様書、設計書等によつて予定し、その予定価格を記載し、又は記録した書面をその内容が認知できない方法により、開札の際これを開札場所に置かなければならない。

 

第八十条(略)
2 予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。

 

地方自治体は、それぞれの条例で定めています。参考に東京都の例です。

 

東京都契約事務規則

第十二条 契約担当者等は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、その競争入札に付する事項の価格を、当該事項に関する仕様書、設計書等(略)によつて予定し、その予定価格を記載した書面(略)を封書にし、開札の際これを開札場所に置かなければならない。(略)

 

第十三条
2 予定価格は、契約の目的となる物件または役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。

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