「人件費」の概算を知りたいとき、簡単な「法定福利費」の計算

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基礎知識

「人件費」を概算で計算する方法です。官公庁の会計実務では、事業の費用を見積もるときや、契約金額の概算を把握したいケースがあります。業務従事者本人へ支払う給与の他に、雇用主が負担する「法定福利費」の計算が必要になります。

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事業主側の「法定福利費」を加算

 

従業員の人件費(給与やボーナス)を概算で計算する方法について解説します。委託業務の契約を締結するときや、予算を要求するときに、実質ベースに近い「人件費」を知りたいときの簡単な計算方法です。

 

人件費の計算は、従業員本人へ渡す給与の額(税金や社会保険料を天引きする前の給与総支給額)と、事業主側(雇用主である会社側)が負担しなければならない「法定福利費」の両方を計算し、合算します。

 

人件費=本人への支給総額+法定福利費

 

わかりやすいように具体的な数字で解説します。

 

給与の支給総額(月額)が30万円と仮定します。基本給、扶養手当、通勤手当などを全て含んだ支払総額です。「人件費」としての費用を見積もるので、税金や社会保険料の個人負担分は控除せずに計算します。「天引き」前の総額です。

 

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人件費を計算するときの「積算項目」

 

人件費の月額を計算するときは、次の積算項目になります。2から7までが法律で定められている「法定福利費」(雇用主である会社側が負担する額)です。

1.月給総額

2.健康保険料

3.介護保険料

4.厚生年金保険料

5.雇用保険料

6.労災保険料

7.児童手当拠出金

 

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月給総額(例として支給総額30万円)

 

月給総額は、就業規則や社内規則などで定められている給与とボーナスの金額です。予定価格として算出する場合は、公表されている統計データ(賃金センサス、賃金構造基本統計調査など)から算出します。

 

通常は、基本給、扶養手当、通勤手当、超過勤務手当などの総額です。

 

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健康保険料 9.97%の半分で、4.985%

 

健康保険料は、全国健康保険協会(協会けんぽ)により都道府県別に金額が決まっています。

 

「標準報酬月額×料率」で計算します。下記の「保険料額表」に月額が記載されています。

 

平成26年度 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h26/h26ryougakuhyou

 

東京地区の場合 30万円×0.04985=14,955円

 

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介護保険料 1.72%の半分で、0.86%

 

介護保険料は、月給を受ける人が、40歳以上65歳未満の場合に加算します。

 

「標準報酬月額×料率」で計算します。

 

「料率」と「月額」は、上記の「健康保険料」と同じ表を使います。

 

東京地区の場合 30万円×0.0086=2,580円

 

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厚生年金保険料 17.120%の半分で8.56%

 

厚生年金保険料は、全国健康保険協会(協会けんぽ)により都道府県別に金額が決まっています。

 

「料率」と「月額」は、上記の「健康保険料」と同じ表を使います。

 

東京地区の場合 30万円×0.0856=25,680円

 

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雇用保険料 1.35%のうち事業主は、0.85%

 

雇用保険料は、「給与総額」に上記の率を乗じます。健康保険、介護保険、厚生年金は標準報酬月額に対して率を乗じますが、雇用保険は円単位までの「給与総額」に対して計算します。

 

厚生労働省やハローワークで「料率」の表が公開されています。

雇用保険料率について
雇用保険料率についてについて紹介しています。

 

30万円×0.0085=2,550円

 

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労災保険料 その他の事業(事務など)の場合 0.3%

 

労災保険料は、「給与総額」に上記の率を乗じます。健康保険、介護保険、厚生年金は標準報酬月額に対して率を乗じますが、労災保険は円単位までの「給与総額」に対して計算します。

 

厚生労働省で「料率」の表が「事業の種類ごと」に公開されています。
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/daijin/hoken/980916_3.htm

 

30万円×0.003=900円(事業主が全額負担)

 

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児童手当拠出金 0.15%(事業主が全額負担)

 

上記の健康保険、厚生年金の料率表下段に表示されています。標準報酬月額に対して率を乗じます。

 

30万円×0.0015=450円

 

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人件費概算のまとめ(事業主負担額)

 

1.月額30万円
2.健康保険料 4.985%  14,955円
3.介護保険料 0.86%    2,580円
4.厚生年金保険料 8.56% 25,680円
5.雇用保険料 0.85%    2,550円
6.労災保険料 その他事0.3%   900円
7.児童手当拠出金 0.15%    450円

 

総合計(1~7の計) 347,115円

つまり、賃金30万円に対して、法定福利費(社会保険料)は47,115円です。法定福利費の割合を計算すると、15.705%が加算されることになります。

 

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ざっくり「人件費」を計算するときは「給与×1.16」

 

覚え方は、給与に色(16)をつけると覚えましょう。毎月の給与の他にボーナスが支給されるときも、ボーナスの年間支給割合(例えば3ヶ月分など)が判明していれば同様に計算します。

 

例 月給30万円 ボーナス年間3か月分

月給30万円×15ヶ月×1.16

 

最後に、健康保険、厚生年金保険の保険料額表(料率表)の見方を解説します。

 

全国健康保険協会(協会けんぽ)により都道府県別に金額が決まっています。

 

平成26年度 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h26/h26ryougakuhyou

 

最初に、賃金総額を「報酬月額」に当てはめます。例えば、月給総額が295,000円(天引き前)であれば、29万円~31万円の欄になるので、その左側を見て、標準報酬月額が30万円(等級22)となります。

 

保険料の計算は、この標準報酬月額(千円単位で丸めた数字)に対して率を乗じます。

 

また、表の上の方にある「全額」「折半額」という意味は、事業主側(会社などの雇用主)と給料をもらう人(労働者側)の負担比率です。「折半額」を会社と労働者で負担して全額を払います。

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