請負契約、委託契約、派遣契約、出向契約、雇用契約、それぞれの違い

国立競技場 基礎知識
国立競技場

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

労働サービスを提供してもらう役務提供型契約は、請負契約、委託契約、派遣契約、出向契約、雇用契約があります。それぞれの契約の違いをわかりやすく解説します。官公庁の会計実務では、それぞれの契約類型によって適用する法令も異なります。

 

人件費を主な内容とする契約形態

 

契約の事務手続きで、契約の内容が主に人件費で構成されているときに、しばしば、迷うことがあります。

 

請負契約、業務委託契約、派遣契約、出向契約、雇用契約という、それぞれが異なる契約形態のうち、どれに該当するのか、どの契約形態が適正なのか判断に迷うのです。

 

これらが、頭の中でモヤモヤしていて、契約を締結するたびに、それぞれの違いをWEB上で繰り返し調べてしまい、人生の中で無駄な時間を費やしていると気付きました。

 

そこで、わかりやすく違いを解説します。

 

契約形態別の違い

 

請負契約は、何かを作るなどの成果に対して対価を支払う契約です。(例、工事請負契約、製造請負契約)完成品ができなければ対価を支払う義務はありません。

 

業務委託契約は、仕事の処理(日々の処理など)に対して、対価を支払う契約です。民法上の準委任契約に該当します。完成品は必要なく一定の期間の仕事に対して対価を支払います。

 

派遣契約は、派遣会社との契約で、誰か(人は選べない)を派遣してもらい、その対価として、賃金相当の費用と派遣会社の利益を含めて、派遣会社へ支払う契約です。雇用契約は派遣会社が締結します。

 

出向契約は、会社に在籍したまま、特定の人を他の会社へ出向いてもらい、その給料実費部分のみを支払う契約です。給料部分の他に会社の利益分を上乗せしてしまうと、「偽装派遣」となり、法令違反となります。(派遣法と職業安定法に違反です。)出向元の会社が利益を得ると偽装派遣になりますので注意が必要です。

 

雇用契約は、公募などで特定の人を直接雇用する契約です。労働に対して賃金を支払います。

 

請負契約と業務委託の違い

 

少しややこしいですが、請負契約と業務委託契約の違いについて、具体例として、会社が税理士と行う契約を例に説明します。

 

税理士との契約が、「ある一定期間、帳簿や計算書類をチェックしてもらう」という契約であれば、仕事の処理(継続的な仕事)に対して報酬が支払われるので、準委任契約として委託契約になります。

 

税理士に書類などを見てもらった上で、さらに確定申告書を最終的に作成してもらう契約であれば、確定申告書を作成するという「成果」に対して報酬を支払うので請負契約になります。

 

請負契約の根拠法令は、民法の典型契約です。

 

民法
第632条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

 

清掃契約は、請負契約か業務委託契約か

 

ビルの清掃契約について、請負契約か業務委託契約(準委任)かの判例があります。

 

判例では、契約期間内に約定の清掃をすることは、契約の継続的な性質に照らせば、請負契約ではなく準委任契約と解され、委任の規定が適用されるとのことです。

 

準委任契約の根拠法令は、民法656条と643条です。

 

民法

第656条 この節(委任)の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

第643条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

 

準委任契約(委託契約)は、仕事の完成を目的とする請負とは異なり、委託された目的のもとに、事務を処理する(仕事を行う)ことです。

 

仕事に必要な費用と報酬を請求できるのが準委任契約(委託契約)です。

 

簡単に言えば、請負契約は何かを完成させる契約、委託契約(準委任契約)は、一定期間、仕事を行ってもらう契約(完成品はない)です。

コメント