「請負契約」と「委託契約」の違い、印紙税法の「請負」は対象が広い

スポンサーリンク
基礎知識
2014年 奈良

契約手続きを始めるときに、「請負契約」と「委託契約」について、どちらに該当するのか判断に迷うことがあります。「請負契約」は、完成品に対して代金を支払う契約です。一方「委託契約」は、民法上の準委任に該当し、完成品までは必要ありません。何かの業務を、自分の代わりに行ってもらうのが「委託契約」です。

スポンサーリンク

「請負契約」と「委託契約」

 

契約実務を行う上で、「請負契約」と「委託契約」の区別について、判断に迷うときがあります。最初に、それぞれの契約の違いを確認します。

 

「請負契約」は、民法で定められています。

 

民法

第六百三十二条  請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

 

「仕事の完成」に対して、代金を支払うという約束(契約)が「請負契約」です。民法の第九節で、典型契約として定められています。(典型契約とは、頻繁に行われる典型的な契約という意味です。よくある契約例ということです。)

 

次に「委託契約」は、委託者が、受託者に対して業務の処理を委託し、受託者がそれを承諾することによって成立する契約です。民法では「準委任契約」として第六百五十六条で定められています。「委任」は法律行為を委託することですが、「準委任」は、法律行為でない特定の行為(業務)を委託することです。

 

法律行為という意味は、契約締結などの法的な権利が発生する行為です。例えば、契約の締結権限を社長から部長へ任せる行為が委任です。通常、委任状が契約の相手方へ提出されます。「法的な権利」は、民法などの法律によって、強制力(賠償請求など)を持つ権利のことです。

 

民法

(委任)
第六百四十三条  委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(準委任)
第六百五十六条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

 

「委託契約」は、請負契約のように何かを完成(完成品、成果物)させることに対して代金を支払うのではなく、「業務を処理してもらうこと」に対して代金を支払います。「委託契約」は、完成品や成果物を必須としません。

 

しかし「請負契約」と「委託契約」は、厳密に区分するのは困難なケースがあります。両方を含む契約形態が存在するなど、曖昧な契約も存在するからです。わかりやすく簡単に整理すると、次の点が違います。

 

「請負契約」は、完成品に対して代金を支払う。

「委託契約」は、(継続的な)業務に対して代金を支払う。

 

スポンサーリンク

印紙税法の請負は、さらに広い概念

 

何か物を作り上げるのが請負契約ですが、印紙税法では無形的な結果を目的とする契約(警備、機械保守、清掃など)も「請負契約」に区分しています。印紙税法上の「請負契約」は、委託契約を含む広い概念です。

 

国税庁タックスアンサーから抜粋

No.7102?請負に関する契約書
(印紙税法上の請負契約)

 

請負についての契約書は、印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」に該当します。

 

請負とは当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約束することによって成立する契約をいいます。請負には建設工事のように有形的なもののほか、警備、機械保守、清掃などの役務の提供のように無形的な結果を目的とするものも含まれます。

 

具体的には、工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、会計監査契約書などが請負に関する契約書に該当します。

 

参考に、政府系の受託研究契約書は、民法の準委任による委託契約であれば、印紙税の対象ではありません。請負契約であれば必要になります。この判断は微妙なので、具体例に基づいて税務署に確認した方が良いです。

 

また、もし印紙税を貼付し忘れても、契約の効力には関係ありません。ただし民間会社は、後日、税務署から追徴される可能性があります。(官公庁や国立大学法人などは非課税法人です。印紙税法第五条第二号の別表第二)

コメント

タイトルとURLをコピーしました