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基礎知識

見積書、納品書、請求書などの役割、書類を知れば仕事が理解できる

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書類の役割を理解する 基礎知識
書類の役割を理解する
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会計担当者は、毎日たくさんの見積書、納品書、請求書などの書類を扱っています。書類の必要性については、法令や規則などで明記されています。しかし、どのような役割があり、なんのために使うのか、すぐに答えることができるでしょうか?

 

「法令に書いてあるから必要」というだけでは十分に理解できていません。それぞれの書類の意味を知ることで、仕事をより深く学ぶことができます。

 

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決裁書類、契約決議書、支払決議書の役割

 

原議書などの決裁書類や、各種の決議書類は、最終判断の権限を持つ上司までの承認を得る書類です。契約を締結してよいか伺うための契約決議書、契約代金を支払ってよいか伺うための支払決議書などがあります。組織によって書類の呼び方が変わりますが、いずれも「税金を動かす」ときには決裁が必要になります。

 

決裁が必要なのは、担当者一人の判断だけではなく、係長、課長補佐、課長、部長など複数の目でチェックするためです。税金を扱うためには相互に牽制する必要があるからです。上司が一人で判断してもダメですし、部下が一人で判断してもダメなわけです。談合や業者との癒着などを防ぐためにも決裁処理が重要です。

 

もし決裁書類や決議書がなければ、担当者がいくらでも不正ができてしまいます。国民の貴重な税金を、自分の銀行口座へ振り込んだり、仲の良い業者へ振り込むなど、税金をごまかすことができてしまうのです。税金を扱う官公庁では、担当者が作成し上司の承認を得る、という決裁システムのみが不正を防止できるのです。

 

それでは、契約手続きに必要なそれぞれの書類の解説です。

 

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カタログ(既製品の場合)の役割

 

カタログは、製品の性能などを確認するための書類です。特定の機種を選定する場合には、機種選定理由書の根拠資料になります。なぜその製品を選んだのか、なぜその性能が必要なのか、を客観的に示す資料です。

 

契約を締結する前の段階で、機種指定の根拠資料として、あるいは機種指定しないときは仕様策定の根拠資料としてカタログを使います。

 

通常、何かを購入するときは、いくつかのポイントで選びます。例えばパソコンであれば、処理スピードの速さを重視するのか、グラフィック性能に重点をおくのかなどで機種が変わってきます。 カタログに記載されているすべての性能をチェックするのではなく、3〜5つくらいのポイントに絞って他の機種と比較検討します。

 

また契約を締結した後は、カタログの役割として、納品時の検収確認の資料になります。当初の契約の機種と同じものであるか、性能だけでなく外観や大きさなどもカタログで確認します。契約の履行確認に必要な書類としてカタログがあります。

 

一般競争入札を実施するような、大きな物品購入契約ではカタログが必須です。しかし金額が小さい「見積もり合わせ」もしないような契約であれば、カタログも省略することが多いです。金額の大きな物品購入契約だけカタログが必要になります。

 

もしカタログを保存し忘れてしまった場合は、次のような困った事態が発生します。

 

カタログがないと、「業者との癒着」を疑われてしまうのです。

 

機種選定や仕様策定を行わずに、特定の業者と契約したのではないか、機種の選定経緯が怪しい、などと疑われることになります。選定に使った基準データの根拠となるカタログがなければ、十分に比較検討したことを証明できません。不正を疑われても仕方がないのです。

 

特に注意したいのは、新製品が発売されると古いカタログがなくなることです。数年後に実施される会計検査のときには、入手できなくなる資料です。 また紙のカタログも電子カタログも、カタログの制作年月日が記載されているので、後で取り寄せても「契約前に十分に検討していない」ことになってしまうのです。

 

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定価表の役割

 

価格の妥当性を判断するための資料です。値引き前の金額です。標準小売価格や希望小売価格と呼ぶこともあります。値崩れを防止するため、オープン価格として定価を設定していない製品もあります。

 

物品購入契約では、予定価格を作成するときに過去の値引率を調査します。定価に対して、いくら値引きできるのか確認するための基礎資料になります。定価が設定してある製品を購入するときは、予定価格作成の根拠資料です。

 

定価表の価格設定は、製造メーカーが商品を開発した際に、適正な利益を加算して設定しています。製造原価と管理費、利益を含めて定価を設定します。ただ民間企業の製品はライバルが多く、日数の経過とともに価値が減少していきます。ライバル製品が次々に発売されたり、企業努力によって製造コストを引き下げるよう常に経営努力しているので、商品開発時と比べて、日数の経過によって値引額が大きくなるのが一般的です。新商品が開発される直前になると、3割引や4割引が当たり前になってきます。

 

定価表を保存し忘れてしまうと、予定価格自体に疑義を持たれてしまいます。値引率を一生懸命調べたとしても、定価が間違えていれば全く役に立ちません。定価の設定してある予定価格では、定価と値引率の二つの裏付け資料がなければ、適正な予定価格といえないのです。

 

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見積書の役割

 

見積書は、契約金額の妥当性を検討するための書類です。通常の取引価格に比べて高くないかを確認する書類なので、定価と値引額、見積金額の内訳などを記載してもらいます。人件費を含む場合には、一人一日あたりの単価や諸経費なども必要です。見積金額の積算内訳がわかるように提出してもらいます。見積金額と内訳を検討して判断するわけです。

 

また見積書は、「契約の申込み」という法的な役割を持っています。日本の民法では、第五百二十二条によって、「契約の申込み」に対して「承諾」することで契約が成立します。この「契約の申込み」を見積書によって証明することになります。

 

民法
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

 

民間企業から提出された見積書の内容を確認して、官公庁側の契約担当者が依頼すると契約が成立します。「この見積書でお願いします。」と伝えた段階で正式な契約が締結されます。

 

もし見積書を取り寄せるのを忘れてしまった場合、次の点で問題になります。

 

契約金額を検討したことの証明になる

金額を十分に確認せずに、業者側の言い値だけで契約したとなれば、国民の税金を適正に使うという観点から、ずさんな契約手続きと見做されます。業者との癒着も疑われてしまいます。

 

契約手続きが適正に進められていることを証明できる

見積書は、上で述べたように「契約の申込み」という法的な役割があります。見積書を取っていないと、実際に、いつ契約が成立したのかわかりません。見積書がないと、でたらめな契約手続きと思われてしまうのです。

見積書は、随意契約に必要な書類です。一般競争入札の入札書と同じです。一般競争入札や指名競争入札では、見積書を使いません。

 

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請書(うけしょ)の役割

 

請書は、契約書の作成を省略した場合に取り寄せる書類です。一方的に提出してもらう誓約書なので、契約書のように相手方を強制する力はありません。そのため契約金額が小さく、かつ契約不履行になっても支障がないような「重要でない契約」の場合に請書を使います。

 

契約金額が小さくても、例えば、契約内容の中で現金を扱うような場合には、請書ではなく契約書を締結すべきです。現金は、1円でも紛失すれば大変です。集金業務などの現金を扱う契約は、重要な契約になります。

 

請書の目的は、契約を安全に履行するためです。日本の民法では、口頭だけで契約が成立しますが、より安全に契約を行うために請書を取り寄せています。

 

請書を取り寄せてないと「言った、言わない」のトラブルになります。例えば、「◯日までに欲しい」と納入期限を伝えたのに、相手方が忘れてしまうことがあるのです。請書を取り寄せるのを忘れてしまうと、契約の履行が不安定になり、契約が履行されないリスクが生じます。

 

組織によって請書を取り寄せる基準額が異なります。多くの場合、契約金額 50万円以上から請書を取り寄せています。小さな組織では20万円以上が多いです。予算規模、契約担当者の配置人数によって、請書を取り寄せる基準額が設定されています。

 

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納品書の役割

 

物品を納品するときに、民間企業側が提出する書類です。供給者が発注者宛に提出します。官公庁の契約では、契約書の中で納品書の提出を義務付けています。納品書に基づいて官公庁側が検収を行います。検収が完了すると、無事に物品が官公庁側へ引き渡され、所有権も同時に移転します。

 

納品書は、受注者である民間企業側が作成し、納入物品と一緒に提出します。納品書の他に受領書も作成します。官公庁側の検収が完了した時点で、官公庁側の契約担当者が受領書へサインして民間企業側へ返します。民間企業側は、サインのある受領書によって、官公庁側へ物品を引き渡した証拠書類とします。

 

納品時の書類

納品書  民間企業(受注者) → 官公庁(発注者)

受領書  官公庁(発注者) → 民間企業(受注者)

 

納品書には、品名・型式・数量が記載されています。どの物品を納品したのかを示す書類です。もし納品書がないと、現物がわからなくなってしまいます。大きな組織になると、毎日、多数の物品が納品されます。納品書によって、どの物品が、どの会社から納品されたのか確認することができます。納品書は、納品物を特定するために必要な書類です。

 

官公庁側は、納品書に基づいて納品物の検収を行います。民間企業側は、納品書と受領書によって売上を確認できるのです。

 

物品購入契約以外の役務契約などでは、納品書ではなく、完了通知書が提出されます。契約内容を履行したことを示すための書類です。完了通知書に基づいて、官公庁側が検収を行います。納品書も完了通知書も、契約を履行したことを発注者へ知らせる書類です。

 

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請求書の役割

 

請求書は、契約代金を請求する書類です。官公庁は請求書に基づいて契約代金を支払います。正当な請求権限を持つ人からの請求か、請求金額は正しいか、請求書の内容を確認してから契約代金を支払います。支払いの基本的な考え方が、会計法に定められています。また政府契約の支払遅延防止等に関する法律では、請求書を受けてから支払うことを明確にしています。

 

会計法
第十六条 各省各庁の長は、債権者のためでなければ小切手を振り出すことはできない。

 

政府契約の支払遅延防止等に関する法律
第六条 (略)国が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求を受けた日から(略)三十日(略)以内の日としなければならない。

会計法第十六条の「債権者のためでなければ」という部分が重要です。債権者とは、正当な請求権限を持つ人のことを指します。契約代金の支払いでは、契約を履行した相手方です。物品供給契約であれば納品した会社、役務契約であれば作業を行ってくれた会社に対して支払います。契約の相手方が正当な債権者であり、契約代金の請求権限を持っています。通常は会社の代表者が請求書を発行します。

 

上記の会計法第十六条では、「小切手を振り出すことはできない」と記載されていますが、これは「支払うことができない」という意味です。国が支払うお金は、日本銀行が管理しています。それぞれの官公庁が金庫の中に現金を入れているわけではありません。そのため契約代金を支払うには、日本銀行へ小切手を発行し、日本銀行の預金から債権者の銀行口座へ振り込むわけです。

 

もし請求書がないと次の点で問題が生じます

 

正当な請求権限を持つ債権者か確認

例えば、いきなり初めて見る営業課長が現れて、「契約代金は、◯◯銀行の◯◯口座へ支払ってください」と依頼されても、怪しすぎて支払えないでしょう。詐欺かもしれませんし。

 

どの契約に対する契約代金の請求なのか確認

稀なケースではありますが、同じ契約金額で、中身の違う契約もあります。契約金額が同じだと、どの請求なのかわからなくなってしまいます。請求書には、どの契約の代金請求なのか明記されていなければなりません。

 

つまり請求書がないと、誰に、いくら払うべきなのか確認できないのです。国民の税金を扱う官公庁では、請求書がないと正しい支払いができないわけです。

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