会計書類の日付は、官公庁の事務手続きにおいて重要です。
ただ、この重要性については、日々の業務で直接感じることは少ないです。毎日使っている会計システムでは、日付の重要性を十分に理解していなくても事務手続きを進めることができてしまいます。
この記事では、支出負担行為日、検収日、支出決定日という、会計書類に記載される3つの重要な日付の役割に焦点を当て、それぞれの日付がなぜ重要であり、どのように会計手続きに影響を与えるのかを解説します。
これらの日付を正確に理解することで、日常業務で扱う会計システムへ入力する日付を知ることができます。今まで何気なく入力していた日付が、意味のある日付に変わります。
今回の解説は、正確な会計処理の実現、不正の防止、国民の税金の適正な使用に直結します。この記事を通じて、会計書類の日付が持つ深い意味を理解し、官公庁の会計実務における自信と知識を深めることができるでしょう。
会計書類の日付の役割
まず最初に知っておきたいのが、官公庁の会計書類は、組織によって様々な様式の書類があるということです。国の組織、地方自治体の組織それぞれで異なりますし、同じ国の組織であっても、省庁が違えばもちろんのこと、同じ省庁内でも事務室が異なるだけで書類の様式も違います。当然ながら日付の呼び方もまちまちです。
会計検査院への提出が義務付けられている一部の計算書などは、法令で様式が定められていますが、日常の業務で使用する会計書類や、会計システムは統一されていません。
今回は、これらの会計書類の中でも、 「契約代金の支払い」に必要な会計書類の日付について解説します。
契約代金を支払うときに必要な「3つの日付」
契約代金の支出手続きを進めるときには、次の3つの日付が重要になります。
〇 支出負担行為日(契約日、注文日)
〇 検収日(給付の完了の確認日)
〇 支出決定日(請求書を受理した日)
2024年現在は、ほとんどの官公庁でパソコンによる会計システムでデータを入力し、決裁に必要な会計書類を印刷出力できるようになっています。これらの会計システムの名称も様々です。初めて会計事務を担当するときは、会計システムの操作方法を学ぶのが必須になります。マニュアルを見ながら、毎日、悪戦苦闘しながら入力することになります。ほとんどの職場では、会計システムを使えないと仕事にならないです。
毎日のシステムへの入力は、前任者から教わったり、マニュアルを見ながら、過去の書類を真似して行うことになります。しかし、会計書類の中でも、契約代金の支払手続きに関する入力については、日付を理解しながら入力することが重要になります。もし日付を間違えてしまうと、延滞金が発生したりして、修正ができなくなってしまうのです。
つまり システムへ入力する日付をしっかりと理解しておくことが重要になってくるのです。
今回解説する、上記の3つの日付がとても重要になります。システムへ入力する際に、どの入力項目が、どの日付になるのか、しっかりと確認しながら入力するようにしましょう。
言うまでもありませんが、官公庁の会計手続きは、すべて会計法令に基づいています。法律や政令、各地方自治体の条例や規則に基づいて 会計処理を進めなければなりません。会計法令に基づくという意味は、不正を防ぐためにも必須です。会計法令に基づく手続きのみが「適正な事務手続き」であり、国民の税金を正確に使うことができます。
それでは3つの日付について確認していきましょう。
ただ最初にも述べましたが、これらの3つの日付は、官公庁それぞれの組織によって呼び方が異なります。 書類の様式も、会計システムの入力項目名も、呼び方が異なります。しかし、会計法令で定めてある日付という点では共通しています。それぞれの根拠法令と、その日付がなぜ必要なのかを確認していきましょう。
支出負担行為日
「支出負担行為」という制度は、簡単にいえば、「予算をオーバーした契約はできない」ということです。実際には金額だけでなく使用目的や法令・規則に合致しているかなど、様々な視点から細かく内容をチェックします。
官公庁が事業を実施するためには、物品を購入したり、工事契約を依頼したり、何かの作業を外部の専門業者へ依頼する契約を締結します。契約を締結した後は、相手方が契約内容を履行した時点で、 「契約代金を支払う義務」が発生します。代金を支払うという債務を負担することになります。この債務を負担する行為が「支出負担行為」です。官公庁が民間企業などと契約を締結しようとする時点が、支出負担行為日になります。
発注日、契約日などということもあります。
この契約を締結する時に、官公庁で使える「予算を超えてはいけない」ということです。
普通に考えれば、官公庁の予算は莫大な金額です。大きい組織になれば100億円単位で予算を持っています。1つの契約だけなら、1,000万円や2,000万円の契約を締結しても、予算をオーバーすることはありません。
しかし 官公庁の事業はとても範囲が広く複雑で、日々継続的に行われています。契約代金も毎日多数支払われています。大きい組織になれば、毎日、10億円以上支払っています。また、予算の使い道(目的)は、国会や議会で用途が決められています。契約担当者一人の判断で目的以外に予算を使うことはできません。
そのため官公庁では、支出負担行為制度を設けチェックし、予算を無視した使い方(契約の締結)を禁止しています。
では、ここで国と地方自治体の支出負担行為に関する規定を見てみましょう。
会計法(国の場合)
第十一条 支出負担行為は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。
地方自治法
第二百三十二条の三 普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。
このように国も地方自治体も支出負担行為をしなければ支払いができないことが定められています。法律で支出負担行為が義務付けられているわけです。
そして、負担行為として整理する日も、細かく決められています。通常は、正式な発注日、つまり契約を締結した日になります。例外として、単価契約を締結しているものや、長期継続契約が認められている光熱水料金の支払いなどを定めています。月末で金額が把握できるものなどは、請求書が到達した時点、あるいは月末で負担行為できるようになっています。これらも全て法令で定められているのです。
負担行為日を具体的に定めている法令を確認しましょう。
支出負担行為等取扱規則(国の場合)
第十四条 支出負担行為担当官の行う支出負担行為について、支出負担行為として整理する時期(略)は、別表甲号に定める区分によるものとする。
別表甲号(抜粋)
物品費の類
支出負担行為として整理する時期・・購入契約を締結するとき(請求のあつたとき)
文具費、燃料費、消耗器材費、飼料費又は新聞、雑誌その他の定期刊行物の購入費であつて単価契約によるものは、括弧書によることができる。
地方自治体はそれぞれで定めています。参考に東京都の例です。自治体によっては財務規則の中で定めていることもあります。
東京都予算事務規則の施行について
六 支出負担行為の制限
(二) 支出負担行為の整理区分
支出負担行為として整理する時期及び支出負担行為の範囲は、別表一に定めるところによるものであること。
別表一
物品購入費
支出負担行為として整理する時期・・購入契約を締結するとき(請求のあつたとき)
単価契約によるものは( )による。
くどくなりますが、会計システムで日付を入力するときの項目名は、様々です。支出負担行為日の場合は、 発注日、契約日、注文日、負担行為日などという名称が使われています。自分の組織のシステムでどの部分が負担行為日になるのか確認しておきましょう。必ず定められています。
検収日(給付の完了の確認を検査した日)
次に重要な日付が「検収日」です。国の場合は給付の完了確認検査を行った日を意味します。この検収日がなぜ重要かというと、検収日によって官公庁側に契約代金の支払い義務が発生するからです。
例えば10万円のノートパソコンを購入したとしましょう。
見積もり合わせを行い、 A 社が最も安かったとします。A 社へ電話して正式発注することを伝えます。(電話やメールなどで、この見積もりでお願いします、と伝えると発注になります。 この時点が契約の成立日であり 上述した支出負担行為日になります。
6月1日が契約成立日、支出負担行為日とします。納品予定日は2週間後の6月14日です。
しばらくして、予定よりも早く 6月12日の夕方に宅配便で届いたとします。ちょうど帰る時間帯だったので 段ボール箱は開けずに、そのままにして自宅へ帰ります。
翌日 6月13日の朝、A 社の営業担当者へ電話し、パソコンが届いたことを伝えると、「すぐに設置に参ります」と連絡がありました。1時間ほど待っていると営業担当者がやってきて、パソコンの入った段ボール箱を開け、設置作業を始めてくれました。
パソコンを机の上へ設置し、既設LANに接続し、営業担当者と一緒に動作確認を行いました。オプションで 依頼したオフィスソフトも正常に作動していることを確認できました。
これが検収になります。今回の例でいえば、購入したパソコンが正常に動くことを確認できた時点を指します。つまり納品日の6月13日ではなく、実際に設置して動作確認まで終えた6月14日が検収日になります。
そしてこの検収を終えたことによって、パソコンの所有権が官公庁側へ移転し、同時に代金の支払い義務が発生します。 動作確認を終えた段階で、営業担当者から製品の受領書にサインを求められます。契約内容が無事に履行され、動作が確認でき、製品を正式に受領した日が検収日になります。
ここで、なぜ納品日に代金の支払い義務が発生しないか、という点も考えてみましょう。
通常は不良品が納品されることはないですが、もし仮に搬送途中などに衝撃があって、本体内部が壊れたとします。6月13日に納品になった時点で支払い義務が発生したと考えた場合、翌日になってダンボールを開けて設置し、電源スイッチを入れても動かなかった場合どうでしょうか?
不良品に対して代金の支払い義務があるとすると、国民の税金が無駄に使われてしまいます。稀なケースになりますが、悪徳業者であれば最初から不良品を送りつけて、契約代金を騙し取ることもできてしまいます。
そのため、万が一、動作不良があればその時点で会社側へ不具合を指摘して返品し、正常な製品と交換して納品するように指示しなければなりません。これらの納品検査業務が検収になります。検収は、「検査収納」を省略した言葉です。
文房具など契約金額が小さい場合を除き、この検収作業は、契約の相手方営業担当者と一緒に行なうのが原則です。両者が立ち会わないと 検収は行うことができません。お互いに現物を目で見て確認する必要があります。
もし見ていないのに、不良品だった、契約内容と違った、と言われても、それが真実なのかわからないからです。例えば100個購入するはずだったのに、 99個しかなかったとしても、検収に立ち会っていなければ、不足したその1個が官公庁側の職員が既に使ってしまったのかどうか不明だからです。
検収を終えることによって、代金の支払い義務・・債務が官公庁側に発生します。そしてこの代金の支払い義務について定めているのが「遅延防止法」です。遅延防止法では、納品があった後、一定の期限内に検収を行わなければならない旨を定めています。
政府契約の支払遅延防止等に関する法律
第五条 (契約の目的たる給付の完了の確認又は検査の時期)は、国が相手方から給付を終了した旨の通知を受けた日から工事については十四日、その他の給付については十日以内の日としなければならない。
つまり、検収について10日以内(工事契約は14日以内)に行うことが義務付けられています。遅延防止法という法律で検収日が義務付けられています。
この遅延防止法は、第十四条で、「この法律の規定は、地方公共団体のなす契約に準用する。」と定められていますので、国も地方自治体も適用されます。つまり、遅延防止法は官公庁すべてに適用されている法律です。
遅延防止法自体は、契約代金の支払いを迅速に行うことを目的にしています。代金の支払いが遅れると、民間企業の資金繰りが苦しくなり、最悪の場合、不渡りを出して倒産することになってしまいます。そのため、契約の履行が確認できたら、すぐに契約代金を支払わなければなりません。
そして、この後に説明する請求書の到達日から支払うまでの期限も遅延防止法で定めています。
支出決定日(支出発議)
支出発議、支出年月日ということもあります。請求書を受理して支払手続きを始めようとする日です。通常は請求書の日付と同じです。
まず、遅延防止法を確認しましょう。
政府契約の支払遅延防止等に関する法律
第六条 対価の支払の時期は、国が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求を受けた日から工事代金については四十日、その他の給付に対する対価については三十日(略)以内の日としなければならない。
検収完了後に、請求書を受理してから30日以内(工事は40日以内)に代金を支払うことが義務付けられています。
もし支払いが遅れれば、延滞金を支払うことになり、それこそ税金の無駄遣いになってしまいます。
政府契約の支払遅延防止等に関する法律
(支払遅延に対する遅延利息の額)
第八条 国が約定の支払時期までに対価を支払わない場合の遅延利息の額は、約定の支払時期到来の日の翌日から支払をする日までの日数に応じ、当該未支払金額に対し財務大臣が銀行の一般貸付利率を勘案して決定する率を乗じて計算した金額を下るものであつてはならない。
そのため、会計システム上にも明確に支出決定日(適法な請求書を受理した日)を明記しておく必要があります。
適法な請求書が到達した日から支払期限の日数がカウントされます。「請求書が到達した日」という意味は 会計担当者に届いた日ではありません。官公庁内部に届いた日です。多くの職場では、郵便の受付業務は庶務係が行っています。つまり郵送の請求書であれば、庶務係で郵便を受け取った日が請求書の到達日になります。
契約代金の支払に必要な日付の具体例
では、まとめとして、それぞれの日付を再度確認してみましょう。
ここでは支出負担行為日、検収日、支出決定日として解説します。主な例を記載しますが、日常業務でも当てはめてみましょう。
消耗品事務用 ノートを購入した場合
6月1日に発注、6月5日に納品、検収完了、検収完了と同時に請求書を受理
支出負担行為日 6月1日
検収日 6月5日
支出決定日6月5日
20万円のパソコンを購入した場合
6月1日に発注、6月13日に納品、翌日6月14日検収完了、6月16日請求書を受理
支出負担行為日 6月1日
検収日 6月14日
支出決定日6月16日
コピー用紙を2箱(5,000円)購入した場合(総価契約、通常の契約)
6月1日に発注、6月6日に納品 検収完了、検収完了と同時に請求書を受理
支出負担行為日 6月1日
検収日 6月6日
支出決定日 6月6日
コピー用紙を2箱(5,000円)購入した場合(4月に単価契約締結済、6月分として支払う場合)
6月1日に発注、6月6日に納品 検収完了、6月分の請求書を7月3日に受理
支出負担行為日 7月3日
検収日 6月6日
支出決定日 7月3日
水道料金の支払い(すでに長期継続契約を締結済)
6月分の請求書が、7月15日に届いた場合。
支出負担行為日 7月15日
検収日 6月30日
支出決定日 7月15日
料金支払いのための検針日に、毎月メーターを読んで検収している場合は、検針日が検収日になります。
年間の清掃契約を締結し、毎月、契約代金を支払う場合
5月分の請求書が、6月10日に届いた場合。
支出負担行為日 6月10日
検収日 5月31日
支出決定日 6月10日
年間契約や単価契約を締結している場合は、請求書が届いた日が支出負担行為日になることに注意してください。これも会計法令で定めています。
日付の順番のおさらい
つまり日付の順番を、A → B → C とすると次のようになります。
通常の契約
支出負担行為日 A
検収日 B
支出決定日 C
単価契約や年間契約を締結している場合
支出負担行為日 C
検収日 B
支出決定日 C
単価契約や年間契約を締結している場合は、支出負担行為日が契約年月日にならないことを覚えておきましょう。
単価契約や年間契約を締結しているものは、最初の契約時に年間の予定額を計算し、すでに予算を確保しているので、「毎月の注文時の負担行為は必要ない」ということです。
また、光熱水料などは必須の契約(長期継続契約が認められている)であり、請求書が届いた後でないと契約金額が確定しないということもあります。光熱水費なども当然、長期契約継続契約として年間の予算額が確保されています。毎月の支払時に支出負担行為は必要ないわけです。
日常の会計システムへの日付入力の際に、これらを意識しながら業務を行うと、会計実務の基本を理解できるようになります。
本来「支出負担行為」と「支出決定」は別に決裁
毎日、会計システムへ入力していると、感覚的にわかりづらいのですが、本来、「支出負担行為」は「契約締結伺い」を指します。そして支出決定(支出決議)の前に決裁を受けます。
金額の大きな重要な契約では、支出負担行為で一度決裁を受け、検収完了後の支払時に支出決議の決裁を受けます。つまり「二度回り」という決裁手続きが原則です。一般競争入札に該当するような契約が典型です。
契約金額の小さいものは、業務効率化のために事務手続きを簡略化して、同時決裁(支出負担行為と支出決議を同時に決裁)することが多いです。同時決裁をどの範囲までとするかは、それぞれの組織によって異なります。少額随意契約を同時決裁とするケースが多いです。
コメント
ご丁寧な回答をありがとうございます。
追加の質問がございます。よろしくお願いいたします。
1.支出負担行為伝票の起票日とは支出負担行為の発生日(契約時)と同じ、この認識は正しいでしょうか。
2.支出負担行為兼支出命令票は同時に起こす票になりますが、起票日=負担行為日=請求受理日の認識で正しいでしょうか。
3.筆者様は分かり易いご説明をされていて、大変勉強になります。その根拠となる資料等はどのようなものを使い、ご理解されているのでしょうか。法律、法解釈(逐条解説)、行政実例など以外にあれば、自調自考により磨きをかけたく、ご教示いただけますと助かります。
コメントありがとうございます。
追加の質問にお答えします。
1.支出負担行為伝票の起票日とは支出負担行為の発生日(契約時)と同じ、この認識は正しいでしょうか。
答え
貴組織の内部規則や書類の様式などが不明なので、一般的な回答になります。「起票日」の定義がわからないのですが、通常は「起票日=支出負担行為日」です。
契約を締結するときに、支出負担行為として整理するので、「契約日=支出負担行為年月日」となります。ただ単価契約の場合は、「請求書到達日=支出負担行為年月日」になります。
2.支出負担行為兼支出命令票は同時に起こす票になりますが、起票日=負担行為日=請求受理日の認識で正しいでしょうか。
答え
これも、上記と同じ一般的な回答になります。
支出負担行為と支出決定を同時に決裁する「支出負担行為兼支出命令票」は、通常、業務効率化を目的に決裁手続きを簡略化するときに用います。契約金額が小さいものを対象に、契約内容の審査を省略するときの決裁方法です。(決裁を1回で終えることができるので、「一度回し」と呼ぶことも多いです。)
つまり、「支出負担行為兼支出命令票」を用いる契約は、決裁方法を1回だけに省略しているだけなので、記載する日付は、本来の契約手続きの「実際の日付」を記入します。
一般的な契約では次のとおりになります。
負担行為日=契約年月日 (例 5月20日)
請求受理日=実際に請求書が届いた日 (例 5月30日)
つまり「支出負担行為兼支出命令票」に記載する日付は、次のようになります。
負担行為日 5月20日(契約年月日、正式注文日)
検収日 5月28日
支出命令日 5月30日(請求書到着日)
なお単価契約を締結している場合は、次のようになります。
負担行為日 5月30日(請求書到着日)
検収日 5月28日
支出命令日 5月30日(請求書到着日)
3.筆者様は分かり易いご説明をされていて、大変勉強になります。その根拠となる資料等はどのようなものを使い、ご理解されているのでしょうか。法律、法解釈(逐条解説)、行政実例など以外にあれば、自調自考により磨きをかけたく、ご教示いただけますと助かります。
答え
私の場合、すべて、過去の実務経験から解説しています。書類を作るときに、自分で学んだ備忘録を根拠にしています。つまり実務経験40年のノウハウです。多くの人が困っているのではないかと思い、その経験を基にサイトを構築しました。
会計法令を深く理解するには、繰り返し勉強するしかありません。
また、市販の参考書などは、実務へあてはめるのは困難だと思います。そもそも実務経験のない人が執筆した参考書ばかりなので。
当サイトが販売している書籍であれば、私が過去の経験を基に執筆しているので、実務にすぐ使えます。
以上になります。
いつも拝見しております。大変勉強になります。
単価契約について、質問がございます。
この記事に「年間の清掃契約を締結し、毎月、契約代金を支払う場合(単価契約)」
支出負担行為日 C
検収日 B
支出決定日 C
と記載があります。
また、別記事『歳出の会計年度所属区分、3月から4月にかけての支払いは要注意』によると、請求書が4月以降に届いても、検収日や請求書受理日は4月以降でも旧予算で支払いますととあります。
そこで、この2つの記事を前提にした時に
支出負担行為日 4/5
検収日 4/3
支出決定日 4/5
これは正しいでしょうか。
疑問点
①単年度主義により、支出負担行為日は3/31迄ではないのでしょうか。
②支出負担行為兼支出命令票を作成する場合も、請求を受けたときが負担行為日となりますが、3/31に強引に合すべきなのでしょうか。※支出負担行為等取扱規則(国の場合)
③物品の購入(単価契約かつ兼伝票は条例により可)の場合、予算決算及び会計令第二条第5項によると、3/31迄に検収済が必要と解釈できますが、請求を受けたときが4月の時は兼伝票の負担行為及び支出決定日は4月以降でも可能ということでしょうか。
当方では、支出負担行為日はその年度の3/31迄との認識です。
拙い文章ですが、何卒宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます。
単年度予算を使って、年間清掃契約の3月分を支払うときは、検収日を3月31日に設定することで旧年度予算で支払うことができます。例えば、請求書が4月5日に到着したときは、次のようになります。
支出負担行為日 4/5
検収日 3/31
支出決定日 4/5
次に、疑問点にお答えします。
疑問点
①単年度主義により、支出負担行為日は3/31迄ではないのでしょうか。
答
単価契約を締結していない場合は、そのとおりです。単価契約を締結していれば支出負担行為日は請求のあった時点(3月分であれば4月の日付)になります。
②支出負担行為兼支出命令票を作成する場合も、請求を受けたときが負担行為日となりますが、3/31に強引に合すべきなのでしょうか。※支出負担行為等取扱規則(国の場合)
答
3月分の負担行為日は、最初の例のように4月の日付になります。3/31に強引に合すのは、検収日だけです。
③物品の購入(単価契約かつ兼伝票は条例により可)の場合、予算決算及び会計令第二条第5項によると、3/31迄に検収済が必要と解釈できますが、請求を受けたときが4月の時は兼伝票の負担行為及び支出決定日は4月以降でも可能ということでしょうか。
答
はい、そのとおりです。最初の例のようになります。再掲します。
支出負担行為日 4/5
検収日 3/31
支出決定日 4/5
以上です。