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会計機関の基礎知識:代理、分任、代行、それぞれの違いを正しく知る

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会計機関の基礎知識
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官公庁で会計実務を担当すると、むずかしい専門用語で悩むことになります。

 

特に国の会計組織では、〇〇代理、分任〇〇、〇〇代行などという名称があり、それぞれで決裁者が変わってしまうため、違いを正しく理解しておかなければなりません。

 

以下の解説は、国の会計制度になります。(地方自治体では、それぞれで会計組織を定めています。組織の名称も様々で国の会計機関などの名称とは異なります。)

 

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そもそも会計機関とは

 

最初に、国の「会計機関」について確認しておきましょう。

 

そもそも会計機関とは、何を指すのでしょうか? どういうものなのでしょうか?

 

最初に根拠法令を見てみましょう。

 

「会計機関」を定義しているのは、予算決算及び会計令です。

予算決算及び会計令

第百三十九条の三 各省各庁の長は、会計法第四十六条の三第二項の規定により当該各省各庁所属の職員(略)に同条第一項各号に掲げる者(同項の規定によりこれらの者の事務を代理する職員を含む。以下この条において「会計機関」という。)の事務の一部を処理させる場合には、その処理させる事務の範囲を明らかにしなければならない。

 

会計法

第四十六条の三 各省各庁の長は、次に掲げる者に事故がある場合(略)において必要があるときは、政令で定めるところにより、当該各省各庁所属の職員(略)にその事務を代理させることができる。

一 歳入徴収官、支出負担行為担当官及び契約担当官並びにこれらの者の分任官

二 支出負担行為認証官及び支出官

② 各省各庁の長は、必要があるときは、政令で定めるところにより、当該各省各庁所属の職員(略)に、前項各号に掲げる者(同項の規定によりこれらの者の事務を代理する職員を含む。)の事務の一部を処理させることができる。

 

上記の予決令 第百三十九条の三で、「会計機関」を定義しています。本官だけでなく分任官と代理官も含むので、具体的には次のようになります。

 

 

法令に基づく会計機関(狭義)

 

歳入徴収官、歳入徴収官代理、分任歳入徴収官、分任歳入徴収官代理

支出負担行為担当官、支出負担行為担当官代理、分任支出負担行為担当官、分任支出負担行為担当官代理

契約担当官、契約担当官代理、分任契約担当官、分任契約担当官代理

支出負担行為認証官、支出負担行為認証官代理

支出官、支出官代理、分任支出官、分任支出官代理

 

 

「〇〇代理」という代理官については、上記の会計法 第四十六条の三 第一項で定めています。

 

「分任〇〇」という分任官については、会計法の中で、それぞれの会計機関ごとに定めています。参考に、分任支出負担行為担当官の例です。

 

会計法

第十三条 各省各庁の長は、当該各省各庁所属の職員に、その所掌に係る支出負担行為に関する事務を委任することができる。

③ 各省各庁の長は、必要があるときは、政令の定めるところにより、当該各省各庁所属の職員(略)に、支出負担行為担当官(略)の事務の一部を分掌させることができる。

⑤ 第三項の規定により支出負担行為担当官の事務の一部を分掌する職員は、分任支出負担行為担当官という。

 

次に「代行機関」を見てみましょう。

 

予算決算及び会計令

第百三十九条の三

⑤ 会計法第四十六条の三第二項の規定により会計機関の事務の一部を処理する職員(次項において「代行機関」という。)は、当該会計機関に所属して、かつ、当該会計機関の名において、その事務を処理するものとする。

 

上述の会計法 第四十六条の三 第二項の「・・事務の一部を処理させる・・」という部分が代行機関です。

 

ここは、かなりややこしい部分なので、じっくりと法令を見ましょう。

 

以上が、代理、分任、代行機関の根拠法令になります。

 

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代理、分任、代行、それぞれの違いを簡単に知る

 

では、国の会計組織における、代理、分任、代行機関は、それぞれどのように違うのでしょうか?

 

最初におおまかに理解しましょう。なお、本来の会計機関は「本官」といいます。「代理官」や「分任官」に対して「本官」という意味です。

 

代理」は、長期出張や急病などで不在になってしまったときに、代わりに事務を行う者のことです。代理という言葉は、社会一般でも、よく使うので理解しやすいと思います。内部規則などで代理官として官職指定していることが多いです。

 

ただ、この代理官は、民法上の代理とは微妙に違います。代理官は独立した会計機関です。本官や分任官の事務を行いますが、その責任は自ら負います。代理官が行った事務の責任は、代理官が負うわけです。民法上の代理では、代理人が行った行為の責任は、本人が負います。ここが代理官の特殊なところです。

 

分任」は、ひとつの会計機関では対応できない場合、例えば、大きい組織で離れた場所に事務組織があって直接目が届かない、決裁書類なども遠くて回せないようなときに、事務の内容を分けて、それぞれに分任官を置きます。分任官の事務の内容は、本官にはわからないので、当然ながら分任官の責任は、分任官が負います。

 

代行機関」は、代理と分任とは少し異なります。内部的に事務の一部を処理することを任されている者です。比較的に重要でない案件、例えば少額随意契約の範囲とか、一定金額以下の事務処理を担当するのが代行です。本官が担当する事務のうち、(高度な判断を必要としない簡単な内容の)事務について権限の一部を持ち処理する者です。

 

代理官や分任官は独立した会計機関であり、事務処理の権限と責任も、それぞれが自ら負います。対外的な、例えば契約書を作成するときの名義もそれぞれの名義になります。(例、支出負担行為担当官代理、分任支出負担行為担当官などです。)

 

しかし代行機関は、組織内部の補助的な事務処理機関です。会計機関ではありません。それぞれの会計機関の補助的な機関です。対外的には所属する会計機関の名前で行うことになります。

 

例えば、「支出負担行為担当官代行」として、155万円の少額随意契約を締結した場合、契約書の名義は本官である「支出負担行為担当官」になります。

 

代行機関は、組織内部の委任で一部の権限が与えられています。

代行機関が設置される目的は、業務の効率化のためです。本官がすべての事務処理を判断していたら、到底間に合わないような場合です。大きな組織で、事務処理件数が多すぎて決裁手続きができないような場合に、比較的軽微な案件の事務処理を代行機関の判断に委ねるものです。

 

対外的には代行機関ではなく、会計機関(本官)の名において事務処理が行われるので、代行機関の責任についても、対外的には会計機関(本官)が負うことになります。ただ予算執行職員等の責任に関する法律第二条で、代行機関も「予算執行職員」として会計事務の責任を負います。内部的には、代行機関として処理した責任は、会計機関(本官)は免れます。

 

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会計機関を間違えて決裁してしまったときの対応

 

上述したように、会計機関はさまざまであり、代理や分任、さらには会計機関ではない代行があります。ものすごくややこしいです。

 

会計機関名を厳格に使い分けなければならないのは、それぞれで権限と責任が違ってくるからです。これらの名称を使い分けて決裁などの書類を作らなければならないので、実務担当者は大変です。

 

このように複雑な事務処理のため、ときどき決裁を間違えてしまうことがあります。間違えやすいのは次の場合です。

 

支出負担行為担当官と契約担当官を間違えて決裁してしまった。

本官で決裁すべき内容のものを、代行機関で決裁してしまった。

 

実務担当者としては、間違えて決裁すると、かなり焦ると思います。重大なミスをしてしまったと落ち込むでしょう。

 

しかし実務担当者には責任はありません。上司の決裁を受けた段階で、責任は上司にあります。つまり、会計機関を間違えてしまっても、最終決裁者も間違えた判断をしているわけです。実務担当者としては気にすることはありません。(ただ、自分で間違えておいて、上司を批判してはいけませんよ。なんて無責任な奴だと嫌われます。)

 

もしミスがわかったら、まず、上司へ相談しましょう。ほとんどの場合、決裁書類の修正だけで簡単に対応できます。全く違う関係ない会計機関の決裁を受けてしまったら、決裁を廃案にしてから、再び決裁することになります。

 

決裁書類のミスは、誰でも経験するもので恥ずかしいことではありません。むしろミスだとわかったのに、何もしないで隠す方がまずいです。

 

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広義の会計機関とは

 

上述した会計機関は、法令で明確に定められています。ただ実際の事務処理では、会計機関自らが事務処理することはありません。部下の職員である担当係員が書類を作成します。

 

多くの職場では、担当係員が自ら判断し、決裁書類を作成して会計機関の決裁(最終承認)を受けます。

 

会計事務を担当する部下の職員たち(係員、係主任、係長、課長補佐、課長など)は、会計機関から事務を命じられた「補助者」という立場です。

 

補助者について根拠法令を確認しましょう。

 

予算執行職員等の責任に関する法律

第二条 この法律において「予算執行職員」とは、次に掲げる職員をいう。
一 (略)支出負担行為担当官
二 (略)支出負担行為認証官
三 (略)支出官
(略)
六 (略)契約担当官
七 前各号に掲げる者の分任官
八 前各号に掲げる者の代理官
九 (略)第一号から第三号まで又は前三号に掲げる者の事務の一部を処理する職員
(略)
十二 前各号に掲げる者から、(略)補助者としてその事務の一部を処理することを命ぜられた職員

 

会計機関は、本官だけでなく、これらの補助者まで含めることがあります。会計事務を処理する組織すべてを指して会計機関(広義)ということの方が多いです。

 

当サイトでも、広義の会計機関という意味で使っています。

 

なお、会計機関の「機関」という意味は、法令などに基づいて、一定の事務処理を系統的に実施する組織を意味しています。何かの処理をキチンと行うことです。

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