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基礎知識

一般競争入札では適正な利益が確保できない、価格競争とデフレ経済

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基礎知識
国立競技場
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1990年頃から始まった経済成長率が 0 %というデフレ経済の中で、利益を無視した価格競争は、中小企業を倒産に追い込むものです。大企業だけが勝ち残り、経済格差が拡大します。過度の価格競争は、健全な経済の発展を阻害するものです。中小企業も契約できるよう公平にすべきです。

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競争社会と経済成長

 

日本は、明治時代に導入した資本主義経済によって発展し、すでに社会が成熟しています。民主主義に基づいて利益を追求する、自由な競争社会です。

 

しかし競争社会が、経済の発展に効果を発揮するのは、発展途上の段階です。戦後(1956年~1973年、1970年~1980年)の高度経済成長期のように、需要と経済の成長率が右肩あがりの時代は、ほとんどの民間会社が成長を続けていました。ライバル企業と競争するために、自社の利益を多少犠牲にしても問題ありませんでした。社会全体の需要が増え続けていたために、必ず売上が増加し、会社が成長できる時代だったのです。

 

日本の経済成長率は、 1991 年から 2017 年まで平均 1.0 %です。中国は 2010 年に 10 %台の成長率でした。 1956 年から 1973 年の高度経済成長期はで、平均すると 9 %の経済成長率です。それ以前には1969 年に 12 %台の経済成長率を記録してます。

 

2008 年以降、日本の経済成長率は 0 %前後です。もはや成長できない時代です。アベノミクスにより明るい兆しもありますが、明らかに経済の停滞期です。すでに上り詰めて成熟してしまった社会です。

 

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経済停滞期に政府が果たす役割

 

本来、政府の果たす役割は、民間企業の健全な競争環境を守ることです。社会に悪影響を及ぼすような競争に対して、政府が積極的に介入することです。過度な競争によって利益が奪い取られ、企業が疲弊し倒産するのを防ぐのが政府の役割です。ところが、デフレ経済下でも、マスコミなどの財政赤字報道によって競争が奨励されています。

 

2022年現在の日本社会は、過度の競争を奨励することで、中小企業を倒産に追い込んでいます。大企業だけが勝つような政策を平然と実施しています。そのため、力の強いものが勝つ格差社会が広がっています。

 

健全な社会を目指すには、適正な利益を確保した公正な競争によって、持続的な経済成長を促す政策が最重要です。経済の停滞期には、大企業による過度な競争は認めず、適正な利益を確保した契約を優先し、中小企業を守るべきです。

 

特に、官公庁における契約を競争原理のみで実施すれば、一部の大企業のみが儲かります。中小企業がどんどん契約の機会を逃し倒産してしまいます。

官公庁の契約手続きを競争原理のみで実施することは極めて危険です。健全な競争環境を破壊します。公平で公正な契約を目指し、中小企業にも利益が届く、社会全体の成長を目指すものでなければなりません。

 

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「見積もり合わせ」こそが公平な契約を実現できる

 

2020年頃から、官公庁における電子入札や電子調達が広がってきました。新型コロナウィルスの感染も影響し、対面での契約手続きを省略する政策が推進されています。

 

Web上における入札は、会社から入札などへ参加できるので、とても便利です。 Web上やメールだけで手続きが完結するので効率が良いと感じるかもしれません。

 

しかし、困った事態にもなっています。それは一般競争入札の対象でない小さい契約まで、多数の者による価格競争をしてしまっているのです。「オープンカウンター方式」や「公開見積もり合わせ」という方法で、官公庁が Web 上へ調達情報を掲載し、参加を希望する誰でもが申し込みできるものです。不特定多数を対象とするので、一般競争入札と同じです。価格競争に勝てば契約できるということです。つまり安い価格さえ提示できれば、契約を獲得し続けることができます。まさに弱肉強食の世界です。強いものだけが勝てば良いというシステムになっているのです。

 

価格競争は、もちろん悪いことではありません。しかし大手企業のみが契約を獲得し続けること、国民の税金が特定の企業のみへ流れるということは、けして良いことではありません。

 

国民の税金を公平に使うために、会計法令によって契約方式が定められているのです。一定金額以上の高額な契約では完全な価格競争を行い、それ以下の小さな契約は、公平に契約を締結できる「見積もり合わせ」という方式を定めているのです。見積もり合わせであれば、官公庁側の契約担当者が3社へ見積書の提出を依頼し、その3社の中から契約の相手方を決定できるのです。3社を選ぶときに、過去の落札情報、契約獲得状況を検討します。特定の企業が独り勝ちしないよう、国民の税金を公平・公正に使うため、偏りのない契約の相手方選定が実現できるのです。

 

公平・公正な契約手続きは、価格競争だけで実施するものではありません。また電子入札や電子調達は、官公庁側と民間企業側の考え方が、ますます乖離していくように感じます。WEB上の文字だけを見て、相手の考えを理解できるのか疑問です。

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