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会計法令の解説

会計年度を超えて契約できる長期継続契約、電気、ガス、水道、電話

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会計法令の解説
イギリス ロンドン
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電気、ガス、水道、電話などは、日常の活動に欠かせません。長期継続契約として、会計年度を超えた契約が認められています。予算の単年度主義の例外的な扱いです。ただし支払うときは、使用期間に応じて年度ごとに区分して支払います。

 

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長期継続契約とは

 

長期継続契約の対象は、日常生活に不可欠な光熱水等の契約です。官公庁に限らず一般家庭でも、解約の申し出をしなければ、自動的に契約が更新されています。

 

単年度予算の官公庁では、契約できる期間は、予算が有効な会計年度内のみです。しかし毎日必要な契約で自動的に更新できるものを、わざわざ会計年度で区切って契約を締結するのは現実的ではありません。毎年、見積書を取ったり契約書を取り交わすのは、官公庁側にとっても大変ですし、供給会社側にとっても相当な負担になってしまいます。そのため長期継続契約として、会計年度を超えた契約を認めています。

 

電気、ガス、水道、電話は、官公庁が存続する限り必要な契約です。そのため長期継続契約として、年数を制限することなく契約できることにしたのです。長期継続契約の根拠法令を確認します。国の場合は予算決算及び会計令です。

 

予算決算及び会計令

第百二条の二  契約担当官等は、会計法第二十九条の十二 の規定により、翌年度以降にわたり、次に掲げる電気、ガス若しくは水又は電気通信役務について、その供給又は提供を受ける契約を締結することができる。

一 (略)電気事業者が供給する電気

二 (略)ガス事業者が供給するガス

三 (略)水道事業者又は (略)工業用水道事業者が供給する水

四 (略)電気通信事業者が提供する電気通信役務(財務大臣の定めるものを除く。)

 

この予決令第百二条の二第四号の「・・財務大臣の定めるもの・・」は、契約事務取扱規則第二十七条で、テレビジヨン放送中継と電報の取扱いの役務です。この2つは長期継続契約の対象外です。

 

参考に上位の会計法です。

会計法

第二十九条の十二  契約担当官等は、政令の定めるところにより、翌年度以降にわたり、電気、ガス若しくは水の供給又は電気通信役務の提供を受ける契約を締結することができる。この場合においては、各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならない。

 

地方自治体は、同様の法律が、地方自治法と地方自治法施行令で定められています。

地方自治法

第二百三十四条の三 普通地方公共団体は、(略)翌年度以降にわたり、電気、ガス若しくは水の供給若しくは電気通信役務の提供を受ける契約又は不動産を借りる契約その他政令で定める契約を締結することができる。この場合においては、各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならない。

 

地方自治法施行令

第百六十七条の十七 地方自治法第二百三十四条の三に規定する政令で定める契約は、翌年度以降にわたり物品を借り入れ又は役務の提供を受ける契約で、その契約の性質上翌年度以降にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る事務の取扱いに支障を及ぼすようなもののうち、条例で定めるものとする。

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単年度予算とは

 

官公庁の予算は、原則として単年度予算です。4月1日から翌年3月31日までの1年間に必要な経費に使うことができます。当然のことながら契約内容も、年度を超えることができません。予算が有効でない期間は、契約もできないのです。

 

なぜ単年度予算が原則なのかというと、国会や議会で予算の議決を行うのが単年度だからです。議決が必要になることは、憲法と財政法、地方自治法で定められています。(国の場合は国会、地方自治体の場合はそれぞれの地方議会です。)

 

国の場合は、憲法と財政法です。

憲法
第八十六条  内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

 

財政法
第二十七条  内閣は、毎会計年度の予算を、前年度の一月中に、国会に提出するのを常例とする。

 

地方自治体は、地方自治法です。国とほぼ同じ内容です。

地方自治法

第二百十一条 普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。

 

「・・毎会計年度・・」とは、会計年度ごとに、という意味です。つまり1年ごとに予算を審議・議決するということです。原則として1年ごとにしか、官公庁が活動する予算を認めないので単年度予算になっています。官公庁の活動を、毎年、国会や議会がコントロールできるようになっています。長期継続契約は、この原則に対して例外を認めたものです。

 

長期継続契約以外に、年度を超えて契約が可能なのは、継続費や国庫債務負担行為などがあります。特別に国会や議会で議決されたものだけです。

 

日常生活に不可欠な電気、ガス、水道、電話については、年度を超えて1年以上の契約を締結することが可能です。これは事務簡素化と一般社会の実情を考慮しています。

 

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年度を超えて契約は可能だが、支払いは単年度ごと

 

電気、ガス、水道、電話は、日常生活に必須です。そして年度を超えての長期継続契約が可能です。しかし支払いの際は注意が必要です。

 

年度を超えた契約は可能ですが、年度を超えた支払いは不可能です。

 

ややこしいですが、とても重要なところです。契約と支払いは別です。

 

支払いについては、「歳出の会計年度所属区分」が法令で定められています。光熱費などを支払うときは、定められた方法で年度を区分することになっています。

 

予算決算及び会計令

第二条  歳出の会計年度所属は、次の区分による。

四  使用料、保管料、電灯電力料の類はその支払の原因たる事実の存した期間の属する年度

 

地方自治体は次のとおりです。

地方自治法施行令

第百四十三条 歳出の会計年度所属は、次の区分による。

三 (略)賃借料、光熱水費、電信電話料の類は、その支出の原因である事実の存した期間の属する年度。ただし、(略)賃借料、光熱水費、電信電話料の類で、その支出の原因である事実の存した期間が二年度にわたるものについては、支払期限の属する年度

 

つまり国の場合(予決令第二条)は、使用期間に応じて、3月31日までの分は旧年度予算から支払い、4月1日からの分は新年度予算から支払います。

 

地方自治体は、会計年度をまたぐときは、支払期限の日で判断できるので、翌年度で支払うことができます。国の場合は会計年度をまたぐ規定はありませんので、使用期間に応じて区分して支払います。

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コメント

  1. 佐◯さん より:

    質問失礼します。
    長期継続契約により4月1日から役務が提供される契約の場合、随意契約により前年度の3月中に契約を締結することは可能でしょうか。
    様々なHP等で文献を探していますが、各自治体ごとに解釈が異なっており、悩んでおります。

    • 矢野雅彦 管理人 より:

      コメントありがとうございます、管理人です。

      長期継続契約は、会計年度を超えた契約を可能にするものです。そのため、最初に一度契約を締結すれば、年度毎に契約する必要はなく、次年度の契約が自動更新されます。契約書へ自動更新の条文を含めることになります。

      通常は、解約の申し出がない限り、契約期間が自動継続します。逆にいえば、会計年度毎に契約を締結するのであれば、長期継続契約に該当しません。

      さてご質問の件ですが、長期継続契約に該当するのであれば、次年度の契約を3月中に契約することが可能です。

      長期継続契約に該当しないのであれば、3月中には契約できません。新年度の契約は、予算が有効になる4月1日以後になります。

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