指名競争入札における不落随契の可否、一般競争入札の競争性との違い

奈良の公園、神社やお寺 会計法令の解説
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原則は一般競争契約(入札)

 

官公庁の契約手続きは、一般競争契約(開入札)が原則です。指名競争契約(指名入札)は例外手続きになります。

 

一般競争入札は、入札公告を官報や新聞、インターネットなどに掲示し、競争に参加する機会を広く確保して入札を行います。

 

開札を行った結果、落札しなかった場合は、随意契約(不落随契)が可能です。売買契約では、予定価格以内での入札金額がなかった場合です。

 

しかし、注意が必要なのは、指名競争入札の場合の不落随契(ふらくずいけい)です。

 

不落随契の根拠法令

 

最初に、不落随契の根拠法令である予決令第九十九条の二を確認します。

 

予算決算及び会計令

第九十九条の二  契約担当官等は、競争に付しても入札者がないとき、又は再度の入札をしても落札者がないときは、随意契約によることができる。この場合においては、契約保証金及び履行期限を除くほか、最初競争に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができない。

 

この第九十九条の二に規定する、「競争」には、指名競争契約も含まれるでしょうか。

 

指名競争で不落随契できるケースは限定されている

 

指名競争について、一般競争の規定を準用する部分は、予決令第九十八条で定めています。しかし、予決令第九十九条の二は対象でなく含まれていません。

 

予算決算及び会計令

第九十八条  第七十条、第七十一条及び第七十六条から第九十一条までの規定は、指名競争の場合に準用する。

 

不落随契(予決令第九十九条の二)の規定は、「競争」とだけ定義しているので、一般競争も指名競争も含むと解釈することも可能ですが、注意が必要です。

 

予決令第九十九条の二は、次の二つのケースの場合に随意契約が可能となっています。

 

1.「入札者がないとき」
2.「再度の入札をしても落札者がないとき」

 

一般競争入札の場合は、入札公告を掲示することによって、競争に参加する機会が公平に確保されていますので、上記2つのうち、どちらでも随意契約が適用可能です。ところが、指名競争の場合は異なります。

 

指名競争は、入札に参加する業者を、発注者側(官公庁側)が、指名基準によって恣意的に選んでいます。競争に参加する機会が公平に確保されていません。

 

指名競争で入札者がないとき

 

例えば、「入札者がないとき」を考えて見ましょう。

 

指名競争入札を実施するときは、入札公告を掲載するのではなく、指名基準に基づき、指名通知により入札を実施します。

 

指名通知で複数の民間会社に対して、入札を実施するので参加してください、と通知したとしましょう。

 

一般競争入札と異なり、入札公告を掲示していませんから、官公庁側で恣意的に民間会社を選んで、指名通知を送付しています。

 

指名基準に基づいて、契約内容(金額など)ごとに指名する民間会社を選びます。選ぶ前提として、その契約が履行可能で、指名競争入札に参加するであろう、競争が可能になるという判断で指名します。

 

入札に参加可能と判断して指名したはずなのに、入札(開札)当日に誰も参加せず、「入札者がないとき」という状況に陥るとすれば、それは、明らかに、最初の指名基準に基づく指名判断の誤りということになります。

 

当然のことながら、指名通知をリセットする(最初から入札手続をやり直す)のが正しい処理となります。

 

指名競争で落札者がないとき

 

次に、「再度の入札をしても落札者がないとき」はどうでしょうか。

 

例えば、10社に指名通知を送り、入札に参加したのは1社だけであれば、上述のとおり、競争性が確保されておらず、指名通知そのものが判断ミスしていることになります。

 

では、指名競争で2社が入札に参加した場合はどうでしょうか。

 

指名競争入札を実施し、複数の会社により競争性が確保された状態で入札(開札)ていれば、「競争の結果、落札者がない状態」なので、不落随意契約は可能です。

 

つまり、指名競争契約(入札)では、2社以上の入札書が提出され(競争が行なわれる状態で)、予定価格に達せず、再度入札を行い、その結果として不落随契になるなら、実質的に競争性が確保されたので問題ありません。

 

ただし、現在は、指名競争入札の手続きは、一般競争入札と同じ手続きが必要にもかかわらず、後日、指名基準が問題となるケースが多いので、指名競争入札を実施するメリットはないと考えられています。

 

指名競争入札ができる金額の範囲内であっても、あえて、一般競争入札として、広く競争性を確保するのが適正な契約実務です。

コメント

  1. 名無し より:

    指名競争入札で不調となり、一度仕様書を見直して再度入札したところ、再び不調となりました。再々度仕様を見直し入札にかけようとしたところ契約担当課よりできないと言われました。上記の方法は不適切でしょうか。

    • 管理人 より:

      管理人です、コメントありがとうございます。

      契約内容と指名競争入札の理由が不明なので、正確な回答ではないかもしれません。

      今回の件は、指名競争入札を取り止めて、一般競争入札へ切り替えるべきです。そもそも、指名競争入札で不調になること自体が、契約手続きに問題があると思われてしまいます。契約内容を適正に履行できる会社として、指名しているはずです。手続き自体が矛盾しています。