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会計法令の解説

官公庁の概算払は支払方法の例外、国と地方自治体、前金払との違い

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パソコンで支払処理をしている 会計法令の解説
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官公庁の概算払(がいさんばらい)についての解説です。官公庁の支払いは、後払い(あとばらい)が原則です。例外として概算払が認められています。また国と異なり、地方自治体の概算払は広く運用できるようになっています。

 

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官公庁の概算払とは

 

官公庁がお金を支払うときは、法令に基づかなければなりません。官公庁の支払いは、後払い(あとばらい)が原則です。例外として概算払(がいさんばらい)が認められています。

 

後払いの読み方に注意しましょう。「ごばらい」ではありません。「ごばらい」と読むと、官公庁では「誤払い」を意味します。間違った金額を支払ったことになってしまいます。読み方を間違えると、間違った金額になってしまい、ややこしいです。

 

最初に概算払の根拠法令を確認します。国は予算決算及び会計令、地方自治体は地方自治法施行令(後述)です。

 

予算決算及び会計令

第五十八条  (略)概算払をすることができるのは、次に掲げる経費に限る。ただし、第三号から第六号までに掲げる経費について概算払をする場合においては、各省各庁の長は、財務大臣に協議することを要する。

一  旅費
二  官公署に対し支払う経費(略)
三  委託費
四  補助金、負担金及び交付金
(略)

 

概算払は、前金払と似ていますが、金額が確定していない点が異なります。つまり確定金額かどうかで区別することになります。詳細は後述します。

 

およその金額(概算)で支払い、後日、金額が確定した時点で過不足を精算するのが概算払です。精算手続きが義務付けられています。

 

身近な例として旅費をイメージしてください。出張へ行く前に概算払で旅費を受領し、出張を終えた後に、出張報告書の提出と併せて旅費を精算するケースです。概算払で旅費を受領したときは、後日、実際に搭乗した航空賃領収書と搭乗券の半券を提出し精算手続きを行います。出張前に旅費を受領する時点では、実際の交通費がいくらになるのか不明です。そのため出発前に旅費が必要なときは概算金額で受領し、出張を終えた後に確定額で精算します。

 

飛行機を使う出張では、航空賃の見積書で事前に金額を把握できます。しかし実際に、その飛行機に乗れるかわかりません。台風などで欠航する場合もあります。また、乗り遅れて違う飛行機になれば航空賃が変わります。もしかしたら飛行機ではなく鉄道など別の交通手段になるかもしれません。出張自体が中止になることもあります。そのため出張前に旅費を受領するときは、必ず、概算払とし、出張終了後に精算手続きを行うのです。

 

概算払は、金額が変わる可能性があるとして支払っているので、精算手続きで確定させなければなりません。

 

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地方自治体の概算払

 

上記の予算決算及び会計令は、国を対象としています。都道府県や市町村などの地方自治体は、地方自治法施行令で定めています。

 

地方自治法施行令

百六十二条 次の各号に掲げる経費については、概算払をすることができる。

一 旅費
二 官公署に対して支払う経費
三 補助金、負担金及び交付金
(略)
六 前各号に掲げるもののほか、経費の性質上概算をもつて支払をしなければ事務の取扱いに支障を及ぼすような経費で普通地方公共団体の規則で定めるもの

 

国とほぼ同じ内容です。しかし国の予算決算及び会計令では「次に掲げる経費に限る」として限定列挙なのに対し、地方自治法施行令の第六号では、各自治体でも定めることができ、広く解釈できるようになっています。

 

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概算払と前金払の違い

 

間違えやすい部分なので解説します。概算払(がいさんばらい)と前金払(まえきんばらい)は、「事前に支払う」という点では共通しています。違いは、確定金額かどうかです。金額が確定していない場合は概算払になります。

官公庁の支払原則は後払い(あとばらい)です。後払いとは、終わってから金額を精算して支払うことです。旅費であれば出張が終わった後に精算して支払います。後払いが原則になっている理由は、税金の過払い(かばらい)を防止するためです。概算払を自由に認めてしまうと、多く払い過ぎたのに精算しないケースが発生してしまいます。精算しない事例が多く発生すれば、結果的に税金が無駄に使われてしまうのです。そのため例外扱いとして、概算払できる範囲を限定しています。

 

前金払も概算払も支出の特例です。特に予算決算及び会計令では限定列挙です。本文に「・・・次に掲げる経費に限る。」と書いてあるので解釈は限定的になります。拡大解釈はできません。地方自治法施行令の方は「・・できる。」と定めているので、国の規定よりも緩やかです。

 

概算払の代表的なものは前述した旅費です。旅費に関係して実務上判断に悩むのが謝金です。謝金は、予決令第五十七条により前金払が可能です。しかし「財務大臣に協議することを要する。」とありますので、前金払するときは財務大臣からの事前承認が必要です。

 

謝金は、外部の有識者などへ講演や会議出席を依頼して、その謝礼として支払う場合が多いです。前金払するような事例は少ないです。また財務大臣協議に該当しています。数か月の協議期間を考えると、そこまで手間をかけるような謝金は稀です。

 

また国が支払う謝金は概算払できません。概算払として認められていないのは、そもそも謝礼金(お礼)なので、事前に金額を確定できるからです。

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