一般競争入札への参加資格についての解説です。国も地方自治体も、最低限の参加資格を法令で定めています。通常は誰でも参加できますが、契約の履行が不安定になる者は参加できません。入札公告の参加資格は、決まり文句のようですが正確に理解しましょう。
入札へ参加できない者
一般競争入札は、入札公告を公開し不特定多数の者が入札へ参加します。しかし無条件に誰でも参加できるわけではありません。信頼できる相手方で、契約内容を確実に履行できることが必須です。そのため入札へ参加する者の資格を定めています。入札参加資格は、次のように予算決算及び会計令(予決令)で定めています。
〇入札へ参加させることができない者(予決令 第七十条)
〇入札へ参加させないことができる者(予決令 第七十一条)
少し紛らわしいですが、第七十条は、絶対に入札へ参加させない者です。第七十一条は、任意に参加させないことができる者です。実務上は、安全のために両方とも参加させないのが一般的です。
ここでは、予決令第七十条の入札へ参加できないケースを解説します。
予算決算及び会計令
第七十条 契約担当官等は、売買、貸借、請負その他の契約につき(略 一般競争入札)に付するときは、特別の理由がある場合を除くほか、次の各号のいずれかに該当する者を参加させることができない。
一 当該契約を締結する能力を有しない者
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号)第三十二条第一項 各号に掲げる者
地方自治体も同様に定めています。
地方自治法施行令
第百六十七条の四
普通地方公共団体は、特別の理由がある場合を除くほか、一般競争入札に次の各号のいずれかに該当する者を参加させることができない。一 当該入札に係る契約を締結する能力を有しない者
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第三十二条第一項各号に掲げる者
入札公告へ記載する参加資格
予決令第七十条は、「~できる」ではなく、「~できない」という表現になっています。つまり義務規定なので、判断の余地はなく、該当すれば絶対に参加できません。入札公告への記載方法は、「予算決算及び会計令第70条の規定に該当しない者であること。」になります。
上記第七十条の、「・・特別の理由がある場合・・」とは、未成年者、被保佐人又は被補助人であって、契約締結のために必要な同意を得ている者です。
第七十条第一号の「当該契約を締結する能力を有しない者」は次のとおりです。
〇成年被後見人・・家庭裁判所から審判を受けた者で、意思判断能力を欠く人、およそ7歳未満の判断能力と言われている。
〇被保佐人・・家庭裁判所から審判を受けたもので、一定の行為については、保佐人の同意を要する。やや成長した未成年者くらい。
〇被補助人・・特定の法律行為には、補助人の同意が必要。
〇未成年者・・営業許可を有しない未成年者など
参考 予決令の改正 平成25年4月1日
上記の予決令第七十条は改正され、2013(平成25)年4月1日から施行されています。改正前の条文は次のとおりでした。
改正前の予決令第七十条
契約担当官等は、売買、貸借、請負その他の契約につき一般競争に付するときは、特別の理由がある場合を除くほか、当該契約を締結する能力を有しない者及び破産者で復権を得ない者を参加させることが出来ない。
改正前は、暴力団員のことが入ってません。暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律を含めるため、第三号を追加し、従前のものが一号と二号に区分されました。そして一号から三号までの箇条書きに整理されました。官報による公布が平成25年3月29日、施行が平成25年4月1日です。
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