一般競争入札に参加させないことができる、予決令第七十一条の解説

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競争入札に参加する資格についての解説です。参加資格の根拠法令は3つあります。予算決算及び会計令の第70条、第71条、第73条です。今回は第71条の「一般競争に参加させないことができる」具体例を説明します。契約実務担当者に必須の知識です。

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競争に参加させない任意規定

一般競争契約(入札)に参加する資格の解説です。国が実施する入札へ参加するための資格は、予決令(予算決算及び会計令)で、おおまかに次のとおり定めています。

予決令 第70条 参加させない者
予決令 第71条 任意に参加させないことができる者
予決令 第73条 さらに特別な資格を求める者

 

予決令第七十条は、入札へ参加させることが「できない者」を定めています。排除しなくてはならない者なので、もし、入札に参加しても「無効」扱いにします。一般的には、入札公告に記載する参加資格は、第70条も第71条も「該当しない者」と明記しています。

 

今回は、任意に参加させないこととする予決令第七十一条の解説です。最初に法令を確認します。

予算決算及び会計令

第七十一条  契約担当官等は、一般競争に参加しようとする者が次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、その者について三年以内の期間を定めて一般競争に参加させないことができる。その者を代理人、支配人その他の使用人として使用する者についても、また同様とする。
一  契約の履行に当たり故意に工事、製造その他の役務を粗雑に行い、又は物件の品質若しくは数量に関して不正の行為をしたとき。
二  公正な競争の執行を妨げたとき又は公正な価格を害し若しくは不正の利益を得るために連合したとき。

三  落札者が契約を結ぶこと又は契約者が契約を履行することを妨げたとき。
四  監督又は検査の実施に当たり職員の職務の執行を妨げたとき。
五  正当な理由がなくて契約を履行しなかつたとき。
六  契約により、契約の後に代価の額を確定する場合において、当該代価の請求を故意に虚偽の事実に基づき過大な額で行つたとき。
七  この項(この号を除く。)の規定により一般競争に参加できないこととされている者を契約の締結又は契約の履行に当たり、代理人、支配人その他の使用人として使用したとき。
2  契約担当官等は、前項の規定に該当する者を入札代理人として使用する者を一般競争に参加させないことができる。

 

この条文は、「任意に参加させないことを可能」とする規定です。

 

第七十条は「参加させることができない」です。絶対的に参加させないわけです。この第七十一条は、「参加させないことができる」と記載されています。判断する余地が残されている点に注意してください。任意に「できる」ものです。

 

上記の予決令第七十一条のうち、不正事件としてマスコミ等で報道される「談合」については第二号で定めています。

二  公正な競争の執行を妨げたとき又は公正な価格を害し若しくは不正の利益を得るために連合したとき。

 

刑法の競争入札妨害罪に該当しなくても、特定の者が有利になるような行為(悪い宣伝など)をした場合も該当します。また談合罪の判決を受けなくても、談合の事実が明らかであれば該当します。悪い事実があれば該当させることができます。

契約の締結や履行が妨害されたときに、ペナルティを課すのが第三号です。

予決令第七十一条第一項第三号

三  落札者が契約を結ぶこと又は契約者が契約を履行することを妨げたとき。

 

実際の事例は、私も知りません。ほんとに稀な珍しいケースです。第三者が正常な契約を妨害する行為です。落札できなかった者が腹いせに、落札者が契約を締結することを妨害したり、契約の履行に必要な材料の仕入れを妨害するなどの行為です。間接的な嫌がらせまで含みます。

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「正当な理由」とは

 

ときどき判断に迷う条文が、予決令第七十一条第一項第五号です。

予決令第七十一条第一項第五号

五  正当な理由がなくて契約を履行しなかつたとき。

 

実際の契約で問題になるのが、この第五号です。特に、契約の完了期限を定めて契約したのに、契約期限が守られない場合です。

 

物品の売買契約や製造契約などで、契約書を取り交わし、納入期限を定めているのに、守られない場合です。よくある相手方の言い訳は、当初の計画に比べ他からの受注が増えてしまい、期限までに納入できないというものです。経営的な判断から、他の契約相手を優先したいので、納入期限を延長したいとの申し出です。

 

正当な理由があれば、この第5号は適用されませんが、正当な理由がなくて納入期限を守らなければ、第5号が適用され、次回の入札に参加させないことができます。

 

ここで問題となるのが、「正当な理由」とは何かということです。

 

「正当な理由」とは、契約の相手方に責任がないことです。いくら努力しても無理な状況です。典型的なのは自然災害です。地震や風水害、火事などに被災し、回復困難な状況です。誰が考えても仕方のない状況を指し、それによって、契約の履行が困難になった場合です。

 

天災などの明確な理由であれば、契約の相手方から「納入期限の延長願い」を提出してもらいます。災害の起こった状況を時系列にまとめ、客観的な資料(天候の悪化を示す新聞記事など、第三者の資料)を提出してもらいます。相手方に責任がないことを確認します。正当な理由による納入期限の遅延であれば、この第5号は適用されません。

 

勘違いしやすいのが、いつも取引している契約の相手方などで、一時期に受注を多く受けてしまい、他の取引先との契約が重なり、他を優先する場合です。契約の相手方が、経営判断として、本来は納入期限を守れるのに、他の取引先を優先することは、「正当な理由」には該当しません。経営判断という責任が明確に存在するからです。

 

その他のケースとして、契約締結後、発注者である官公庁側の事情によって、納入期限が遅延する場合があります。当初想定できない仕様書の変更、納品場所の変更などが生じるケースです。この場合は、契約の相手方には責任はありません。「正当な理由」が存在します。

 

発注者側の事情により、納入期限を延長する場合には、発注者側が理由書を作成します。納入期限を延長することになった経緯を詳述した書面を保管する必要があります。発注者側に責任があり、契約の相手方には責任がないことを明確にしておかないと、この第5号の規定により後日紛争が生じることがあります。

 

「正当な理由」がない場合として、民間企業の経営悪化があります。経営や資産状態の悪化は、まさしく自己の責任です。自然災害のような不可抗力ではありません。

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