予定価格を教えてと言われたときの正しい対応方法、秘密にする理由

イギリスのロンドン 会計法令の解説
イギリスのロンドン

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開札場所に置く予定価格

入札した後に行う開札では、落札の基準価格として予定価格が必要になります。予定価格の範囲内で落札決定となります。

 

手続きの流れは次のとおりです。

 

入札公告(仕様書等)→ 入札 → 開札 → 落札決定

 

予算決算及び会計令

第七十九条  契約担当官等は、その競争入札に付する事項の価格を当該事項に関する仕様書、設計書等によつて予定し、その予定価格を記載し、又は記録した書面をその内容が認知できない方法により、開札の際これを開札場所に置かなければならない。

 

開札するときは、仕様書等によって作成した予定価格(調書)を、外部から見えないように、開札場所に置くことを義務付けています。

秘密扱いの予定価格

「内容が認知できない方法」とは、外部から見えないように秘密にするという意味です。厚手の封筒に入れ、密封し、漏洩を防ぐため、封筒の糊付け部分に割印(封印)するのが一般的です。

 

入札者が立ち合いの上で開札しますので、入札後の結果発表で、落札しているかどうかを判断する際に、予定価格の入った封筒を開封します。

 

予定価格を開封するときは、公正さを示すため、開封前に予定価格の入った封筒を入札参加者へ見せて(中身は隠したまま)、「それでは、当方で作成しました予定価格を開封させて頂きます。」と宣言し、はさみで開封するのが一般的です。

予定価格を秘密にする理由

 

実質的な競争性の確保と適正価格での契約締結を考えれば、落札の基準価格である予定価格を公表しない方が、効果があります。

 

もし、予定価格を事前に知っていれば、無理な競争を行なうことなく、最大限に利益を確保した予定価格ギリギリの入札が可能です。

また、予定価格を事前に知ることによって談合も容易になってしまいます。

 

競争性と適正価格という観点からすれば、予定価格を秘密にした方が有利です。

 

一方、高額な入札になるほど、予定価格を事前に知ろうとする不正行為のリスクが高まります。予定価格漏洩による贈収賄事件や、必要悪とまで言われている談合事件は、頻繁に発生しています。

 

現在、官公庁の入札は、事後の契約において、予定価格を類推されるおそれがないと認められる場合は、公表も可能となっています。

 

公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針の一部変更について(平成26年9月30日閣議決定)

 

・・・入札及び契約に係る情報については、事後の契約において予定価格を類推させるおそれがないと認められる場合又は各省各庁の長等の事務若しくは事業に支障を生じるおそれがないと認められる場合ににおいては、公表することとする

 

予定価格の公表を求められたら

国の会計法令では、予決令第七十九条のとおり、原則として、予定価格は秘密扱いですから、落札決定後も公表しません。

 

1回目の入札で、予定価格の範囲内に達せず、2回目、3回目と再度入札を繰り返すとき、入札参加者から「予定価格以下の入札をしたいので、予定価格を教えて欲しい。」という要望が稀にありますが、教えることはできませんので、次のように説明することが多いです。

 

競争性を十分に確保できなくなるので、予定価格は公表していません。入札金額は、予定価格を目安にするのではなく、可能な限りの(安い)思い切った金額で入札をお願いします。

 

予定価格事前公表の弊害

 

地方公共団体の入札は、予定価格を事前に公表するケースがあります。

 

東京都契約事務規則

第十二条 契約担当者等は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、その競争入札に付する事項の価格を、当該事項に関する仕様書、設計書等によつて予定し、その予定価格を記載した書面を封書にし、開札の際これを開札場所に置かなければならない。ただし、財務局長が別に定める契約においては、当該入札執行前にその予定価格を公表することができる。

 

予定価格の事前公表の目的は、入札参加者が発注者から予定価格を聞き出そうとする贈収賄事件などの不正行為を防止するためです。
入札に参加しようとする営業担当者へ予定価格を漏らし、その見返りに現金を受け取る贈収賄事件が後を絶ちません。

 

しかし、事前公表は、次のようなデメリットが指摘されています。

 

予定価格が目安となり、競争が制限されてしまう。

経費積算のできない、履行能力のない会社が参入してしまう。

談合が容易に行なわれる。

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