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会計法令の解説

会計機関と補助者は、委任の具体例、補助者の責任とは

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会計法令の解説
2007年 シンガポール
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会計機関と補助者についての解説です。会計関係の参考書類を読んでいると、ときどき会計機関と補助者という用語があります。日常業務の中では、知らなくても特に困りません。しかし理解しておくと仕事が覚えやすくなります。

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権限の委任、会計機関の官職指定とは

 

支出負担行為は、官公庁の業界用語です。法令に基づきながら、予算の範囲内で事業を実施するための制度です。赤字にならないようコントロールすることを目的にしています。国と地方自治体、両方に支出負担行為制度があります。今回の解説は、国の支出負担行為です。地方自治体の支出負担行為とは微妙に異なります。

 

国の支出負担行為は、国会で議決された歳出予算の範囲内で、契約などの債務を負担する行為です。法令上の予算執行権限は、各省各庁の長が持っています。しかし各省庁の大臣が、自分ひとりで全ての予算を使うことは物理的に不可能です。そのため部下の職員に対して委任する規定が設けられています。

 

会計法

第十三条  各省各庁の長は、当該各省各庁所属の職員に、その所掌に係る支出負担行為に関する事務を委任することができる

 

各省各庁の長とは、大臣や長官のことです。財務大臣とか文部科学大臣などです。そして各省庁の大臣から部下の職員に対して、支出負担行為担当官などが委任されています。支出負担行為担当官は会計機関のひとつです。他にも支出官や契約担当官など様々な会計機関があり、それぞれの内部規則で権限が委任されています。

 

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会計機関の委任例

 

例えば、厚生労働省の事務取扱規程では、次のように定めています。

厚生労働省所管会計事務取扱規程

第4条 支出負担行為担当官、支出負担行為担当官代理、分任支出負担行為担当官及び分任支出負担行為担当官代理の官職並びにその所掌事務の範囲は、別表第2に定めるところによる。

 

別表第2(一部分のみ抜粋)

本省 大臣官房会計課長

事務の範囲
一般会計歳出予算及び国庫債務負担行為並びに東日本大震災復興特別会計歳出予算及び国庫債務負担行為のうち、他の支出負担行為担当官及び分任支出負担行為担当官の所掌に属するもの以外の経費の支出負担行為に関する事務

 

厚生労働省では、大臣官房会計課長以外に、大臣官房地方課長、大臣官房国際課長、医政局長など多数の人が、支出負担行為担当官として官職指定されています。事務の所掌範囲ごとに各課長クラスが指定されてます。事務の対象範囲を分けて権限を委任しています。

 

事務取扱規程などの内部規則に基づく委任によって、大臣から会計課長などへ契約締結権限などが任されています。支出負担行為担当官として委任された者であれば、売買契約などの契約締結権限を持ちます。契約書の名義も、支出負担行為担当官 厚生労働省大臣官房会計課長◯◯◯◯です。この委任された者が狭義の会計機関です。広義の会計機関は、内閣や会計検査院まで含むことがあります。会計機関は、判断したり承認したりする権限を任された官職です。部長や課長クラスが多いです。

 

しかし実務を担当するのは、部下の係長や係員です。規模の大きな組織であれば支出負担行為担当官として指定されている会計機関は、局長や課長クラスなど、かなり上位の人です。支出負担行為担当官が自ら事務手続きを行うことはありません。

 

では、支出負担行為担当官などの会計機関と、実務担当者の関係はどのようになるのでしょうか。係員などに責任も発生するのでしょうか。

 

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会計機関と補助者とは

 

国の会計機関は、法令で定められたものとして、支出負担行為担当官、契約担当官、支出官などがあります。そして、これらの会計機関は、決められた業務の範囲について権限と責任を持っています。実際に実務を担当する部下の課長補佐、係長、係員などは、会計機関の補助者として位置付けられています。

 

補助者について定めた会計法令は次のとおりです。

 

予算執行職員等の責任に関する法律

 

第二条 この法律において「予算執行職員」とは、次に掲げる職員をいう。

一 会計法(略)に規定する支出負担行為担当官
(略)

 

十二 前各号に掲げる者から、政令で定めるところにより、補助者としてその事務の一部を処理することを命ぜられた職員

 

政令は次のとおりです。

予算執行職員等の責任に関する法律施行令

予算執行職員等の責任に関する法律第二条第一項第十二号に掲げる職員は、同項第一号から第十一号までに掲げる者(以下「予算執行機関」という。)からその処理すべき事務の範囲を明らかにした書面によりその補助者として当該事務を処理することを命ぜられた職員(略)とする。

 

各省庁の組織では、事務所掌が内部規則で定められています。局や課が置かれ、その下に係が配置されています。そしてそれぞれの事務の範囲が明確になっています。どの係が、どの仕事をするか決められています。採用されたときや人事異動のときは、配属先が通知されます。

 

つまり課長補佐、係長、係員などは、支出負担行為担当官などの会計機関の部下です。そして補助者として、事務の一部を処理するよう命じられているわけです。

 

なお、補助者にも責任が発生します。ただし通常の業務で責任を負うことはありません。横領や詐欺などの不正行為を行ったときだけ責任を負います。仕事中の判断ミスにより責任問題になったときは、管理職手当をもらっている幹部職員が責任を負います。通常業務では、必ず決裁処理を行うので、課長補佐以下が責任を負うことはありません。

 

参考に、主な会計機関です。

 

(契約・支出関係)
契約担当官
支出負担行為担当官
支出負担行為認証官
支出官

 

(歳入関係)
歳入徴収官
出納官吏

 

また、それぞれの会計機関には、代理や分任制度が定められています。

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