予定価格を作成するときは、市場価格方式あるいは原価計算方式

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会計法令の解説
イギリス ロンドン
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予定価格作成方法についての解説です。競争入札や随意契約を締結するときには、予定価格が必須です。ところが予定価格の作成方法は、具体的に定められていません。予定価格を作成するときは、市場価格方式と原価計算方式を用います。

 

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予定価格の作成方法

 

予定価格は、官公庁の契約手続きの中で重要な役割を持ちます。契約方式を判断するときや、競争入札で落札者を決定するときの上限価格として用いられます。また随意契約を締結するときにも、価格の妥当性を確認する基準になります。国の場合は予算決算及び会計令第八十条、地方自治体はそれぞれの規則で定めています。参考に東京都と京都府の例です。

 

予算決算及び会計令

第八十条
2 予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。

 

東京都契約事務規則

第十三条
2 予定価格は、契約の目的となる物件または役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。

 

京都府会計規則

第146条
2 予定価格を定める場合は、契約の目的となる物又は役務等について、当該物又は役務等の取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、契約数量の多寡、履行期間の長短等を考慮しなければならない。

 

しかし、これらの会計法令では、予定価格の作成方法を抽象的に定めているだけです。この条文だけ読んで予定価格を作成するのは不可能です。条文なので抽象的な表現になっているわけですが、はっきりした理由もあります。実際の作成方法は、それぞれの契約内容によって全く異なるからです。契約内容がすべて違うため一律に決めることができないのです。法令では基本的な考え方のみを定めています。

 

この予定価格を作成する手続きが、契約実務の中で一番大変です。

 

契約実務の経験を重ね、ベテランになると(もし予定価格を作成する必要がなかったら、どれほど仕事が楽になるだろう?)などと真剣に考えることさえあります。

 

予定価格の作成方法は、大きく分類すると、「市場価格方式」と「原価計算方式」の二つがあります。「市場価格方式」は、物品購入契約で用いられます。カタログ製品などを購入する場合です。メーカーが製品を大量に生産し、定価があるものを購入する契約です。「原価計算方式」は、製造契約や役務契約で用いられます。部品を仕入れて製造したり、何かの作業を行う契約です。工事契約も原価計算方式ですが、すでに積算基準が公開されているので、ここでは取り扱いません。

 

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物品購入契約は「市場価格方式」

 

物品購入契約は、市販されている製品を購入する契約です。メーカーが製品を製造するときに、販売する価格を「定価」として定めています。

 

通常の取り引きでは、定価で売買することはほとんどありません。値引きするのが普通です。そのため購入契約の予定価格は、「値引額」あるいは「値引率」をどのように設定するかを検討することになります。

 

購入契約の予定価格は、定価と値引額から求めます。

 

 市場価格方式

定価 - 値引額 = 予定価格

 

なお定価の設定がないオープン価格製品は、同一製品の取引価格を調べて、予定価格を設定します。

 

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製造契約と役務契約は「原価計算方式」

 

製造契約や役務契約は、原価計算方式で予定価格を作成します。

 

製造契約とは、仕様書や図面に基づいて何かを作り上げる契約です。材料を仕入れて加工し製品を作ります。売買契約は、すでにメーカーで製造された製品を買うのに対して、製造契約では、契約を締結してから作り始めます。市販していない特注品などが製造契約になります。

 

原価計算方式の予定価格は、外部から仕入れる材料費や部品代、技術者が加工する人件費、一般管理費などから構成されます。製造工程に沿って、それぞれの経費を積み上げて積算し予定価格とします。

 

実際の作成方法は、製造が可能な会社から参考見積書を提出してもらい、その積算内容を査定しながら作成することになります。使用する材料単価や人件費単価などを他の資料で比較検討します。通常は、製造会社としては高い金額で見積もりするので、ひとつひとつの項目の内容を聞き取りしながら減額して査定することになります。

 

人件費は、特殊な技術を必要とする場合には、製造会社から技術者の賃金台帳などを提出してもらい、実際に技術者へ支払われる給与から計算します。技術者の給与と、会社側が負担する法定福利費を積算します。

 

役務契約は、製品を購入したり、製造する契約ではなく、何かの業務(作業)を行ってもらう契約です。清掃契約や警備契約、修理契約、保守契約、運搬契約などが役務契約に該当します。

 

役務契約の予定価格は、仕様書から作業内容をイメージし、その作業を行うのに必要な人数を算出し積算します。

 

原価計算方式

 人件費 + 部品・消耗品 + 諸経費 = 予定価格

 

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