入札手続きに潜む「名刺1枚」のリスクとは、公正・公平な手続きに必須

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入札手続きの解説です。入札説明書を渡すときは「名刺」と引き換えに渡すことが重要です。入札関係書類の修正、開札日の参加状況などを事前に確認し、公正・公平な手続きを実施しなければなりません。「名刺1枚」を忘れ、泥沼状態になることがあります。

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「公正」で「公平」な開札手続き

 

開札を実施するときは、公正・公平な手続きを担保するため、入札者の立会いが必要です。入札者が立ち会わない場合は、第三者を立ち合わせなければなりません。

 

予算決算及び会計令

第八十一条  契約担当官等は、公告に示した競争執行の場所及び日時に、入札者を立ち会わせて開札をしなければならない。この場合において、入札者が立ち会わないときは、入札事務に関係のない職員を立ち会わせなければならない。

 

開札を始める時刻は厳守します。また、開札結果は「読み上げ」て公表します。入札参加者に金額を公開するのが、公正性の観点から重要です。

 

入札手続きは、公正かつ公平に行う必要があります。

 

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「公正」と「公平」の違い

 

「公正」と「公平」は、似ているように感じますが、意味が違います。「何と比較するか」で異なります。

 

「公正」とは、比較の対象は必要でなく、あることに対して、誰もが「正しい」と納得することです。

 

開札手続きを例にすれば、手続き自体が、法律や規則、内部ルールに基づいており、第三者が見ても疑念を持たれない手続きのことです。国民の多くが「正しい」手続きと判断できることです。「公に(おおやけに、多くの人が)正しい」と思えることです。

 

「公平」とは、比較の対象が存在し、取扱いに「差がない」ことを意味します。

 

開札手続きであれば、入札に参加した全ての会社に対して平等に扱うことです。差別しないこと、「えこひいき」しないことです。

 

開札結果を発表するときに、最も安い入札金額だけを発表する開札方式も見受けられます。しかし、公平性の観点から考えれば問題が残ります。入札者全員の金額を発表できる状況であれば発表すべきです。入札者が50社とか多い場合は「最安値」のみで問題ありませんが、数社なら発表すべきです。ライバル会社の入札金額は知りたいものですし、その後の営業にも役立つ情報です。

 

入札に参加した会社の一部の入札金額が、「不明」というのは、「価格競争が正しく実施されたのか」疑念を生じるリスクがあります。

 

もし、入札者が多数であって、全員の入札金額を発表するのに時間がかかり、負担になる状況であれば、全員の了承を得て「最安値」の発表だけにします。結果を発表する前に、入札参加者全員に対して、今回の入札は20社と多数なので、皆さんの負担を軽減するために、最も安い金額だけを発表することとしたいのですが、よろしいでしょうか?」と事前了承を得るべきです。1社でも全員の入札金額を知りたい人がいれば、発表するべきです。

 

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開札前に「参加の有無」を事前確認

 

実際の開札手続きでは、開札日の前日に、入札に参加しようとする者へ、参加の有無を電話確認します。これは開札した結果、1回目の入札金額が予定価格を超えて、落札しない場合に、直ちに2回目の「再度入札」を行う必要があるからです。

 

一部の入札者が参加しないと、2回目の「再度入札」を実施することができません。改めて、入札参加者全員の日程を調整し、別の日に2回目以後の再度入札を実施することになります。これは、官公庁側の入札事務関係者だけでなく、入札に参加した会社の営業担当者にとっても相当な負担です。契約締結時期も遅れてしまい、極めて効率の悪い入札手続きになってしまいます。

 

入札公告を見て、その入札に参加したいと尋ねてきた会社の営業担当者に対しては、入札説明書の交付と引き換えに必ず「名刺」を受け取ります。営業担当者の「名刺」は、開札前の入札参加資格の事前確認、入札説明書等の修正の場合の連絡、開札当日の参加の事前確認などに必須です。

 

会社名や営業担当者を確認せずに、入札関係書類を渡してはいけません。入札担当係の人は、隣の係も含め、周りの人へ、入札関係書類を取りに来た会社の人がいたら、「必ず、名刺と交換で関係資料を渡すよう」徹底します。

 

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入札参加希望者の「連絡先」が不明で泥沼状態

 

万が一、「名刺」を受け取らずに、会社名や連絡先も確認せず、入札関係書類を渡してしまうと、次の例ように最悪の事態を招くリスクがあります。

 

入札説明書や仕様書を持ち帰った会社が、仕様書の中で矛盾した箇所を発見し、連絡してきました。官公庁側で仕様書の内容を再確認したところ、勘違いして仕様書の内容を記載しており、修正が必要なことがわかりました。

 

そして修正後の仕様内容であれば、当初の仕様書の内容に比較し、相当安い金額で入札できることが判明しました。

 

このような事態が発生すれば、入札金額を積算するための「前提条件」が変わっているので、公平な入札が成立しないリスクがあります。

 

一部の入札者だけに、修正後の仕様書の内容を伝え、有利な条件で入札を実施すれば、公平性が失われます。

 

入札前の仕様書修正であれば、入札に参加しようとする会社の営業担当者へ、メールあるいはFAXで「一斉に修正内容を伝え」なければなりません。修正内容を送信した後は、電話などで「相手方が修正内容を把握したか」確認しなければなりません。

 

公平性の原則からすれば、当然の手続きです。

 

もし、これらの手続きを怠った場合、連絡先が不明で連絡できなかった場合、どうなるでしょうか。

 

仕様書修正の連絡ができなかった会社が落札できず、落札した他社の安い金額を不信に思い、問い合わせしてきたとします。

 

民間会社「この仕様では、落札者の入札金額では実施不可能なはずです、癒着や出来レースではないですか?」

 

官公庁「いや、仕様書が変更になりましたので、可能です。」と契約担当者が答えたとします。

 

民間会社「え、私の方はそんな話は聞いていないし、その変更後の仕様なら、私の会社の方がもっと安く入札できました。仕様書変更の連絡もなく、掲示(変更公告)もなく、特定の会社に有利な仕様変更を行なうのは、公平とは言えず、無効な入札ではないですか

 

こうなると、もう、入札手続きの「公平性・公正性」が阻害されてしまいました。契約を中断し、関係者へ謝罪し、入札をやり直すしかありません。

 

さらに落札後、落札会社が発注手配を進めていれば、入札をやり直すことについて、今度は落札した会社の方から、もう契約を中断できないとクレームが入り、「損害賠償」として訴えられる可能性もあります。

 

もう、泥沼状態に陥ります。「名刺」1枚もらい損ねただけで、甚大な被害を被るリスクがあります。慎重に注意が必要です。

 

なお、入札説明書や仕様書などの関係書類を手渡しせず、インターネット上のWEBサイトに公開し、ダウンロードする方式で入札を実施するときは、「仕様変更」等も随時公開する旨を事前にアナウンスしておかないと、上記と同様なトラブルになります。

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