検査の具体的な方法、検査が必要な理由と根拠法令、代金支払の条件

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

給付の完了の確認検査についての解説です。官公庁が締結する契約では、代金を支払う前に検査が必要です。検査を義務付けている理由、根拠法令の解説、実際に検査を行うための具体的な方法を説明します。検査は契約実務担当者に必須の知識です。

検査に関する根拠法令

官公庁が締結する契約については、検査が必要です。締結した内容どおりに契約が履行されたか検査を行ってから代金を支払います。検査についての根拠法令を確認します。財政法には「検査」について定めた条文は存在せず、会計法が最上位の法律です。

会計法 第二十九条の十一第二項

2 契約担当官等は、(工事又は製造その他についての)請負契約又は物件の買入れその他の契約については、政令の定めるところにより、自ら又は補助者に命じて、その受ける給付の完了の確認(略)をするため必要な検査をしなければならない。

会計法を受けて、予算決算及び会計令があります。ほぼ同じ内容の規定です。

予算決算及び会計令第百一条の四

会計法第二十九条の十一第二項 に規定する工事若しくは製造その他についての請負契約又は物件の買入れその他の契約についての給付の完了の確認をするため必要な検査は、契約担当官等が、自ら又は補助者に命じて、契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて行なうものとする。

そして、会計法と予算決算及び会計令を受けて、契約事務取扱規則(大蔵省令)でさらに規定があります。

契約事務取扱規則

(検査職員の一般的職務)

第二十条 契約担当官等、契約担当官等から検査を命ぜられた補助者又は各省各庁の長若しくはその委任を受けた職員から検査を命ぜられた職員(以下「検査職員」という。)は、請負契約についての給付の完了の確認につき、契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づき、かつ、必要に応じ当該契約に係る監督職員の立会いを求め、当該給付の内容について検査を行なわなければならない。

2 検査職員は、請負契約以外の契約についての給付の完了の確認につき、契約書その他の関係書類に基づき、当該給付の内容及び数量について検査を行なわなければならない。

3 前二項の場合において必要があるときは、破壊若しくは分解又は試験して検査を行なうものとする。

4 検査職員は、前三項の検査を行なつた結果、その給付が当該契約の内容に適合しないものであるときは、その旨及びその措置についての意見を検査調書に記載して関係の契約担当官等に提出するものとする。

会計手続きの一般原則として、代金の「後払い」があります。契約内容を検査して確認した後で、問題がなければ代金を支払うという原則です。検査は、代金を支払うための確認行為ですから、契約実務の中では極めて重要です。もし、検査をせずに代金を支払ってしまった場合、その後になって、数量が間違っていたり、性能が不十分あるいは不具合などが発見されれば損害を被ってしまいます。そのため、代金の支払条件として、事前検査を義務付けることで確実な契約の履行が確保されるのです。



実際の検査の具体的な方法

会計法令では、検査の具体的な方法を詳しく説明した条文はありません。唯一、例示している部分は「契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて行なうもの」程度です。そこで実際の検査方法を解説します。

検査の方法は、契約書、仕様書、図面などの契約関係書類と現物を見ながら、契約の相手方である営業担当者に説明してもらいます。営業担当者へ検査日時を伝えるときに関係書類のコピーを検査関係職員の人数分用意してもらうと効率的です。そして検査当日は書類に基づいて説明するよう依頼しておきます。

検査を実施しているときは、必ず、関係書類のコピー該当部分と現物を見ながら、赤ペンなどで検査した箇所をチェックします。検査を終えた段階で、受領書に日付とサインを書き相手方へ渡します。そして後日、検査調書を作成します。

検査前に、契約の相手方と検査を実施する日時(通常は納品日)を電話かメールで日程調整します。そして「当日の検査は、契約書、仕様書(図面)等に基づいて実施するので、現場で説明できる担当者の出席をお願いします。」と依頼しておきます。

検査当日は、発注者側の検査担当者と営業担当者が揃ったところで、名刺交換と挨拶を行い、「それでは、検査を始めますので、書類に基づき説明をお願いします。」と宣言し検査を開始します。営業担当者の説明を聞きながら、不明な点などの質問を行い、書類の内容と照合して確認します。特に型式と数量のチェックが重要です。仕様書などで性能を求めているときは、その性能を実際に確認します。機器を動作させて性能を実際に見ることが大切です。

最初の名刺交換も重要です。後日、契約内容についてトラブルになったときの証拠(誰が検査に立ち会ったかなど。)になります。必ず、検査に出席した人の名刺は保存します。(後日、名刺の端などに○月○日検査などとメモしておきます。)検査の手法として、破壊検査もありますが、よほど契約内容に疑義がある(明らかに手抜きが疑われる製造物など)とき以外は実施しません。

契約は、お互いに相手を信頼して行うのが原則ですから、最初から相手方を疑うような検査手法は極力避けるべきです。昔は、会計検査院の実地検査のときに、平然と破壊検査を行う調査官が存在しましたが、今は、理由もなく破壊検査を行えば、社会的に批判されてしまうでしょう。



給付の完了の確認とは

上述の契約事務取扱規則第二十条の中に、「給付の完了の確認」という、ややこしい言葉があります。

給付とは、債務者(何かをしなければならない義務のある人、売買契約であれば、物品を納品しなければならないという義務がある契約の相手方)が行うべき行為(納品)です。簡単に言うと、「給付」とは「契約内容」と同じ意味です。「給付の完了の確認」は、「契約内容が完了したことの確認」と読み替えると、理解しやすいです。