検査職員が行う給付の完了の確認、実際の検査方法と根拠法令

イギリスのロンドン塔 2015年
イギリスのロンドン塔 2015年

検査の実施

契約事務取扱規則

(検査職員の一般的職務)

第二十条 契約担当官等から検査を命ぜられた職員(以下「検査職員」という。)は、請負契約についての給付の完了の確認につき、契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づき、かつ、必要に応じ当該契約に係る監督職員の立会いを求め、当該給付の内容について検査を行なわなければならない。

2  検査職員は、請負契約以外の契約についての給付の完了の確認につき、契約書その他の関係書類に基づき、当該給付の内容及び数量について検査を行なわなければならない。

4  検査職員は、前三項の検査を行なつた結果、その給付が当該契約の内容に適合しないものであるときは、その旨及びその措置についての意見を検査調書に記載して関係の契約担当官等に提出するものとする。

この検査の規定は、会計法第29条の11第2項、予決令第101条の4が根拠法令です。

会計法第29条の11第2項

契約担当官等は、前項に規定する請負契約又は物件の買入れその他の契約については、政令の定めるところにより、自ら又は補助者に命じて、その受ける給付の完了の確認をするため必要な検査をしなければならない。

予決令第101条の4

会計法第二十九条の十一第二項 に規定する工事若しくは製造その他についての請負契約又は物件の買入れその他の契約についての給付の完了の確認をするため必要な検査は、契約担当官等が、自ら又は補助者に命じて、契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて行なうものとする。

会計法令の原則として、代金の後払いがあります。契約内容を確認して、問題がなければ、代金を支払うという原則です。

検査は、代金を支払うための確認行為ですから、契約実務では極めて重要となります。もし、検査をせずに代金を支払ってしまった場合、その後、不具合など契約内容に不備が見つかれば、損害を被ってしまいます。

代金の支払条件として、契約内容の検査を義務付けることによって、確実な契約の履行が確保されます。

また、検査完了後に、通常の使用で故障等が発生した場合には、1年間の無償保証期間で対応してもらいます。



実際の検査方法

検査の方法は、契約書、仕様書、図面などの契約関係書類に基づいて、現物を見ながら、契約の相手方の営業担当者に説明してもらいます。

検査のときは、必ず、関係書類のコピーを持参し、現物を見ながら、赤ペンなどで検査した箇所をチェックします。検査を終えた段階で、受領書に日付とサインを書き相手方へ渡し、後日、検査調書を作成します。

事前に、契約の相手方と、検査を実施する日時(通常は納品日)を電話かメールで日程調整し、併せて、「当日の検査は、契約書、仕様書(図面)に基づいて実施するので、現場で説明できる営業担当の人の立会いをお願いします。」と依頼しておきます。

検査当日は、発注者側の検査担当者と営業担当者が揃ったところで、名刺交換と挨拶を行い、「それでは、検査を始めますので、書類に基づき説明をお願いします。」と宣言し検査を開始します。

営業担当者の説明を聞きながら、不明な点などの質問を行い、書類の内容と照合し、確認します。特に型式と数量のチェックが重要です。

最初の名刺交換も重要です。後日、契約内容についてトラブルになったときの証拠(誰が検査に立ち会ったかなど。)になりますから、必ず、名刺は保存します。(後日、名刺の端などに○月○日検査などとメモしておきます。)

検査の手法として、破壊検査もありますが、よほど契約内容に疑義がある(明らかに手抜きの契約など)とき以外は実施しません。

契約は、お互いに相手を信頼して行うのが原則ですから、最初から相手方を疑うような検査手法は極力避けるべきです。

昔は、会計検査院が、実地検査のときに破壊検査を行っていましたが、今は、理由もなく破壊検査を行えば、社会的に批判されてしまうでしょう。



給付の完了の確認とは

上述の法令(契約事務取扱規則 第二十条)の中に、「給付の完了の確認」という、ややこしい言葉があります。

給付とは、債務者(何かをしなければならない義務のある人、売買契約であれば、契約締結後、物品を納品しなければならないという義務がある、契約の相手方)の行為です。

簡単に言うと、「給付」とは「契約内容」と同じ意味です。

「給付の完了の確認」は、「契約内容が完了したことの確認」と読み替えると、理解しやすいです。