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「前金払」ができる範囲は限定されている、予決令第五十七条の解説

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国の支払手続き「前金払」の解説です。契約代金の支払いは、「後払い」が原則です。例外的な支払手続きとして予決令第五十七条で「前金払」が定められています。注意が必要な点は、限定列挙されているところです。根拠法令を解説します。

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「前金払」は、限定列挙

 

国が契約代金等を支払うときは、原則として「後払い」です。売買契約であれば納品検査完了後に、役務契約であれば業務完了後に支払うのが原則です。これは税金で支払う以上、安全性を担保するためです。もし先に代金を支払ってしまい、その後、納品されなかったら、税金を無駄に使ったことになってしまいます。そのため「後払い」を原則としています。

 

しかし、「後払い」の例外的な取扱いとして「前金払い」があります。「商慣習」として前払いが一般的なものです。根拠法令を確認します。

予算決算及び会計令

第五十七条  (略)前金払をすることができるのは、次に掲げる経費に限る。ただし、第八号から第十五号までに掲げる経費について前金払をする場合においては、各省各庁の長は、財務大臣に協議することを要する。

一  外国から購入する機械、機械部品、航空機、航空機部品、航空機専用工具、図書、標本又は実験用材料の代価(略)

二  定期刊行物の代価、定額制供給に係る電灯電力料及び日本放送協会に対し支払う受信料
三  土地又は家屋の借料
四  運賃
五 国の買収又は収用に係る土地の上に存する物件の移転料
六 官公署に対し支払う経費(略)
七 外国で研究又は調査に従事する者に支給する学資金その他の給与
七の二 職員のために研修又は講習を実施する者に対し支払う経費(略)
八 委託費
九 交通至難の場所に勤務する者又は船舶に乗り組む者に支給する給与
十 補助金(略)、負担金及び交付金
十一 諸謝金
十二 (以下 略)

 

この「前金払」の条文は、支出の特例として「限定列挙」されています。

 

第五十七条の本文で、「・・次に掲げる経費に限る。」と記載されています。拡大解釈や類推解釈が不可能な規定になっています。つまり、この第五十七条に記載されているものしか「前金払」は認められません。

 

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地方公共団体の「前金払」

 

参考として、地方公共団体の「前金払」の根拠法令を確認します。上記の国の予決令とほぼ同様です。しかし、予決令よりも広く規定してます。限定列挙ではありません。

地方自治法施行令

第百六十三条 次の各号に掲げる経費については、前金払をすることができる。

一 官公署に対して支払う経費
二 補助金、負担金、交付金及び委託費
三 前金で支払をしなければ契約しがたい請負、買入れ又は借入れに要する経費
四 土地又は家屋の買収又は収用によりその移転を必要とすることとなつた家屋又は物件の移転料
五 定期刊行物の代価、定額制供給に係る電灯電力料及び日本放送協会に対し支払う受信料
六 外国で研究又は調査に従事する者に支払う経費
七 運賃
八 前各号に掲げるもののほか、経費の性質上前金をもつて支払をしなければ事務の取扱いに支障を及ぼすような経費で普通地方公共団体の規則で定めるもの

 

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「財務大臣協議」が必要な「前金払」

そして、もうひとつ重要な点が、上記の予決令第五十七条では、「第八号から第十五号までに掲げる経費について前金払をする場合においては、各省各庁の長は、財務大臣に協議することを要する。」という部分です。財務大臣協議ですので、事前に協議を終えないと「前金払」できません。

 

実務的には、第一号から第七号のみ「前金払」可能と考えて処理します。財務大臣協議が必要なものとして第十五号で、「外国で支払う経費」が規定されてます。

 

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「前金払」の注意点

前金払いの多い例としては、輸入品の売買契約です。外国では、「商慣習」として、前金払いが一般的です。実際の契約手続きでは、日本国内の輸入代理店と契約することが多いです。輸入品の契約では、最初に代金の支払条件、支払の時期(後払いが可能か)について交渉し、後払いが可能であれば、この「前金払」の条文は適用しない方が安全です。

 

前金払いは、支出の特例です。実際の契約実務としては、最初に後払い(納品完了後に代金支払)が可能かどうか交渉し、どうしても無理であるなら、その理由をメモとして残してから、前金払いを行なうことになります。

 

なお輸入品でも、日本国内の輸入代理店が、定期的に製品を輸入して代金を支払っており、在庫を多数有しているときは、この条文は適用されません。海外メーカーへの支払いを終えている「在庫品を購入」するなら、日本製品を購入するのと同じです。予決令第五十七条が適用されるのは、発注の都度、海外メーカーへ代金を支払い、輸入するケースのみです。

 

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