同額の入札は「くじ引き」で落札者を決定、再度入札はできない

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会計法令の解説
イギリス ロンドン
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競争入札で開札したところ、予定価格の範囲内で同額の入札があったときは「くじ引き」で落札者を決定します。予定価格の範囲内であれば、再度入札はできません。くじ引きの具体的な方法を解説します。目の前で公平にくじを引くことが重要です。

 

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開札したときに実施する「くじ引き」の根拠法令

 

一般競争入札や指名競争入札を実施して、開札したところ、予定価格の範囲内に同価格の入札があったときは、くじ引きで落札者を決めます。ここで注意したいのは、予定価格以内であれば再度入札はできない、という点です。

 

もし無制限に再度入札を認めてしまうと、入札執行者が恣意的に落札者を決めることができてしまいます。予定価格は公開しないので、本当は落札しているのに、自分のお気に入りの会社でないために、落札していないことにして再度入札できてしまうのです。お気に入りの会社が落札するまで再度入札を繰り返すような不正を防止するためにも、予定価格の範囲内で入札があったときは、再度入札できません。

 

また、再度入札を無制限に繰り返すことは、適正な利益を認めないことになります。利益を無視した契約を繰り返せば、契約がいいかげんになり、結果的に品質の悪い契約が横行することになります。利益がなければ倒産することもあります。

 

くじ引きの根拠法令を確認します。

予算決算及び会計令

 

第八十三条  落札となるべき同価の入札をした者が二人以上あるときは、契約担当官等は、直ちに、当該入札者にくじを引かせて落札者を定めなければならない。

 

2  前項の場合において、当該入札者のうちくじを引かない者があるときは、これに代わつて入札事務に関係のない職員にくじを引かせることができる。

 

地方自治体は、地方自治法施行令です。ほぼ同じ内容です。

地方自治法施行令

第百六十七条の九 普通地方公共団体の長は、落札となるべき同価の入札をした者が二人以上あるときは、直ちに、当該入札者にくじを引かせて落札者を定めなければならない。この場合において、当該入札者のうちくじを引かない者があるときは、これに代えて、当該入札事務に関係のない職員にくじを引かせるものとする。

 

競争入札では、予定価格の範囲内で最も有利な金額を落札者とします。官公庁が購入する契約であれば最も安い金額です。しかし、まれに同額になる場合があります。予定価格の範囲内で同額の場合には、さらに入札を繰り返し再度入札を行うのではなく、くじ引きで落札者を決めます。

 

再度入札を行わない理由は、契約担当者の恣意的な判断を排除するためと、過度な競争を防止するためです。適正な利益を確保した契約手続きのためでもあります。

 

再度入札を実施するのは、予定価格を超えた場合のみです。(予決令82、地方自治法施行令167-8-4)

 

一番安い同価格の入札があった場合

予定価格の範囲外 → 再度入札(予決令82、地方自治法施行令167-8-4)

予定価格の範囲内 → くじ引き(予決令83、地方自治法施行令167-9)

 

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くじ引きの一般的な方法

 

くじ引きの方法は、具体的な規定がありません。公平性を確保できれば、どのような方法によっても問題ありません。ただし、特定の企業に有利になる方法や、入札参加者に見えない場所で決めてはいけません。

 

一般的なくじ引きの方法は、次のとおりです。

 

紙こより、あるいは割りばしのような棒の端に赤いマークをつけ、それを厚手の封筒などに入れて見えないようにし、入札者に引いてもらいます。赤いマークを引いた方を落札者とします。くじ引きを実施する前に、くじの現物を見せながら説明します。関係者全員が見えるように目の前で行います。もし割りばしを使うときは、奇麗に割れているか確認しましょう。紙こよりや丸い棒などが良いです。

 

紙こよりを人数分用意し、1本の端に赤マークをつけます。よく乾かしておかないと封筒に入れた時に、もう1本にインキが付着して2本とも赤くなってしまいます。そうなると、くじになりません。マジックで色をつけるときは、前日までに塗っておきましょう。事前に何セットか作っておくと効率的です。

 

厚手の封筒上部をはさみで切り落とし、紙こよりを入れるための封筒とします。薄い封筒で中が見えてしまうとまずいです。封筒部分をコピー紙などで厚く覆うのも良いです。

 

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くじ引きの具体例

 

予定価格の範囲内で、一番安い入札者が同価だった場合、くじ引きで落札者を決めることを伝えます。

 

落札結果を読み上げた後、次のように案内します。

 

株式会社A様と、株式会社B様の入札金額◯◯円は同額です。いずれも当方で作成した予定価格の範囲内ですので、これより、くじ引きにより落札者を決定します。

 

くじ引きは、赤いマークのある紙こよりを引いた方を落札者とする旨を説明します。そして、紙こよりと封筒を入札者に見せ、細工がないことを確認してもらいます。

 

次に、くじを引く順番を、入札者たちで決めてもらいます。じゃんけんや話し合いで納得できる方法で決めてもらいます。くじ引きの順番は、官公庁側が指定してはいけません。後日、不正入札の疑惑を招く結果になります。じゃんけんの場合は、最初に練習をしてから本番を行なう方が安全です。(最初はグー、などのじゃんけんの方法もあるので)

 

くじを引く順番が決まったら、入札者の見ている前で紙こよりを封筒に入れ、後ろを向いて混ぜます。混ぜるときだけ入札者へ見せないようにします。そして順番どおりにくじを引いてもらいます。

 

もし、くじを引かない者がいる場合は、入札担当係とは全く関係ない他の係の人に協力してもらい、入札者の代理としてくじを引いてもらいます。

 

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くじ引きを実施するときのポイント

 

くじ引きは、細工がないことを入札者自身に確認してもらい、くじを引く順番も入札者同士で決めてもらうことが重要です。入札者の目の前で、公平に落札者を決定します。見えないところで落札者を決定すると、不信感や疑惑を招きます。(電子入札のくじ引きはブラックボックスで怪しいですし・・)

 

実施方法について説明不足だったり、くじの中身を事前に公開しないで実施すると、後日、官公庁側で何か細工をしたのではないか、官製談合の疑いがある、などのトラブルになってしまいます。

 

くじ引きの説明を十分に行うこと、くじ引きの順番は入札者たちに決めてもらうことが重要です。目の前で公平にくじ引きを行うのがコツです。

コメント

  1. 匿名希望 より:

    いつも参考にさせていただいております。
    予定価格調書について御教示願います。
    予定価格調書作成基準額未満であったため、当該調書の作成を省略して契約手続きを行い契約締結を行った後、仕様の変更等により、変更契約を行うこととなった。
    その結果、増額となり、最終的に予定価格調書作成基準額を超えることとなった。
    その場合、予定価格調書を作成するべきなのでしょうか。

    • 矢野雅彦管理人 より:

      管理人です、コメントありがとうございました。

      当初の契約では、予定価格調書作成基準額未満であっても、変更契約で増額になり、予定価格調書作成基準額を超える場合は、予定価格調書が必要です。

      変更契約を締結する前に、価格の妥当性を判断します。そのときに予定価格調書を作成することになります。通常、変更契約年月日の直前(同日も多いです。)の作成日付になります。

      ただ、増額の変更契約は、やむを得ない事情(不可抗力)の場合のみです。

  2. 匿名 より:

    某団体で契約事務をしています。
    いつも参考にしております。
    お伺いしたいのは、入札において同額が複数者あった場合はくじ引きによる。またその実施方法も理解できました。
    一方で、随意契約で複数者見積もりを取り寄せた結果、同額が複数者あった場合はどのようにするのが適切なのでしょうか?

    • 矢野雅彦管理人 より:

      管理人です、コメントありがとうございました。

      少額随意契約の「見積り合わせ」を実施した際に、見積書が同額の場合は、次のように対応します。

      同額の会社へ連絡し、さらに値引きが可能であれば、2回目の見積書を提出してもらう。2回目も同額の場合は、3回目の見積書を提出してもらうか、別途、くじ引きで決定します。2回目の値引きが困難であれば、その旨(2回目の見積書提出辞退、担当者名と日付)を記録しておきます。もしメールを使っていれば、メール本文で「これ以上の値引きは困難なため、見積書提出は辞退します。」と記載してもらいます。

      少額随意契約は、競争入札のように、「必ず、くじ引きで決定しなければならない」という制限はありません。競争入札の場合は、予決令第83条により「くじ引き」が義務付けられています。開札の結果、予定価格以内で同価であれば、くじ引きしないと法律違反です。

      ただ、「見積り合わせ」の結果、くじ引きを行うときは、不公平感がないように、当事者に集まってもらい、くじ引きすることになります。日程調整が大変なので、それよりも、2回目の見積書を提出してもらう方が効率的です。同額になるケースは稀です。ほとんど2回目で決定します。