「給付の完了の確認又は検査」は「検収」のこと、検収には期限がある

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会計法令の解説
2005年 グアム

官公庁が契約代金を支払うときは、事前に検収が必要です。そして検収には期限があります。契約書に記載する納入期限や完了期限は、検収日まで想定して設定しなければなりません。検収は、契約代金の支払期限にも影響します。

 

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「給付の完了の確認又は検査」の時期とは

 

政府契約の支払遅延防止等に関する法律(通称・・遅延防止法)は、官公庁が契約代金を支払うときのルールを定めた法律です。国だけでなく地方自治体にも適用されます。

 

例えば物品の購入契約であれば、契約代金を支払う期限を定めています。そして契約代金を支払う前には、「給付の完了の確認又は検査」を行なわなければなりません。「給付の完了の確認又は検査」という難解な表現ですが、簡単にいえば「検収」のことです。検収は、「検査収納」の略です。納品時に検査をして、契約どおりの物品であることを確認し、収納することです。検収の他に、納品検査、完了検査などといいます。また「検収」という表現は、本来、納品物品を検査して収納することですが、売買契約以外の工事契約や製造契約、役務契約のときにも、契約内容が履行されたことを確認する場面で「検収」と表現することが多いです。

 

政府契約の支払遅延防止等に関する法律

 

第五条  給付の完了の確認又は検査の時期は、国が相手方から給付を終了した旨の通知を受けた日から工事については十四日、その他の給付については十日以内の日としなければならない。

 

上記第五条では、「給付の完了の確認又は検査の時期」を定めています。代金の支払いが遅れることがないよう、検収の期限を義務付けているわけです。

 

「・・給付を終了した旨の通知・・」とは、契約の履行が完了した通知という意味です。納品書や完了通知書、竣功通知書のことです。ここでの「給付」は、契約内容のことです。

 

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納品書と受領書の違いを理解する

 

物品の売買契約であれば、納品されたときに、納品書と受領書が官公庁側へ提出されます。納品書は、販売会社から官公庁側へ提出されます。

 

受領書は、官公庁側が販売会社へ提出するものです。検収を終えた後に、受領書にサインして販売会社へ返します。通常、現物を見ながら検収するので、その場で手書きでサインして返します。官公庁側が品物を受け取ったことを示す証拠書類が受領書です。

 

官公庁側は、検収を終えたときに、納品書へ検収日を記載し署名します。この検収サインのある納品書は、消費税の税務調査に必須の重要書類なので、支払書類と一緒に保存します。

 

納品書への検収サインは、納品の事実を証明するものです。納品時期を示す重要な書類になります。200万円以上の契約では、納品書へのサインの他に検査調書も作成します。

 

工事契約であれば、納品書ではなく、竣工通知書や工事完了通知書が、官公庁側へ提出されます。

 

納品書や竣工通知書などが提出された場合には、遅延防止法第五条に基づいて、工事契約は14日以内、売買契約などは10日以内に、契約の相手方と一緒に検収しなければなりません。

 

納品から検収までの流れは次のようになります。

 

納品 → 納品書の提出 → 現物確認 → 検収完了

 

検収が完了した時点で所有権が官公庁側へ移転し、契約代金の支払義務が生じます。

 

もし期限までに検収を完了しないと、検収遅延(検査遅延)になります。代金の支払期限が、検収が遅れた分だけ早くなります。さらに検収が遅れている期間に、もし盗難や火事などが発生した場合、どちらが責任を持つかで大きなトラブルになります。検収前の所有権や管理責任は、かなり悩ましい問題です。民法上の危険負担となります。やっかいな問題になるので、可能な限り納品時に検収した方が良いです。

 

実務上は、納品予定日や工事の竣工予定日を早期に連絡してもらい、検収日時を双方で事前調整します。納品日(竣工日、完了日)に検収するのが、安全かつ適正な事務処理です。検収を遅らせることは、その分リスクが高くなります。地震などの災害は、いつ発生するかわかりません。

 

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検収期限の日数カウント方法

 

検収の期限は、遅延防止法第五条で、工事については14日、その他の給付については10日以内の日です。この日数の起算日については、明確に定めていません。「給付を終了した旨の通知を受けた日から」という抽象的な表現です。

 

例えば、契約担当者が長期出張しているときに、契約事務に関係ない職員が代理で受け取った場合も含むのか、あるいは、郵便の受付窓口に時間外に届いた場合、連休などの休日に届いた場合まで日数に含めるのかなど、いろいろと判断に迷ってしまいます。そこで統一的に解釈できるよう、次のとおり決められています。

 

政府契約の支払遅延防止等に関する法律の運用方針
昭和25年4月7日理国第140号

 

第五の一の抜粋

「通知を受けた日」とは、通知が国の支配圏内に到達した日であり、所定の執務時間内である限り一日として参入される。

 

つまり、受理した部署(担当以外の人)に関係なく、官公庁側の勤務時間内に到達したのであれば1日とカウントされます。そして、その日からカウントが始まります。年末年始やGWなど長期休暇のときもカウントされてしまいます。GW直前の夕方届いてもカウントが始まるのです。そのため、契約書の中で納入期限や完了期限を記載するときは、検収日まで想定して設定します。納品日、あるいは翌日には検収を終えるようにします。納入期限は、年末年始やGW、お盆休み直前には設定しません。検収が遅れてしまうリスクを回避するためです。

 

参考ですが、上記の「通知を受けた日」は、民法第百三十八条に規定する「法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合」に該当します。民法では第百四十条によって、「期間の初日は参入しない」のが原則ですが、遅延防止法第五条の期間は、例外扱いになっています。

 

民法

第百三十八条 期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。

第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

 

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