会計法で重要な5つの条文とは、支出負担行為担当官と契約担当官の違い

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会計法令の解説
国立競技場

会計法の中で契約実務に役立つ条文です。支出負担行為担当官と契約担当官の違い、官公庁の支払い方法の原則、契約方式の根拠法令です。会計法は国を対象とした法令ですが、地方自治体も同じように定められています。契約担当者に必須の知識です。

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支出負担行為 会計法 第 11 条

 

会計法は、財政法を受けてさらに細かく会計手続きを定めています。財政法は主に国の予算についての基本的な考え方が書かれています。会計法の中で実務に使う重要な条文の解説です。

会計法

第十一条  支出負担行為は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

 

支出負担行為は、簡単そうで奥が深いです。契約実務の経験が長くなると、いろいろな疑問点が湧いてきます。支出負担行為は全ての会計処理に関係しますが、ここでは契約実務を中心に解説します。

 

支出負担行為とは、わかりやすく説明すると、予算をオーバーして使わないように定めている制度です。債務を負担するときに予算を確認することです。債務とは、お金を支払う義務を負うことです。例えば官公庁側がパソコンを購入するとしましょう。官公庁側が発注して、パソコンが納品になり、代金を支払うまでの契約手続きの中で、正式に発注依頼しようとするときに支出負担行為を行います。支出負担行為書という書類で決裁承認を受けます。

 

発注することによって、その段階で将来的に物品が納品されれば代金を支払うという債務が自動的に発生するからです。発注しようとする時が支出負担行為の時期になります。実際には契約担当者は事前に予算額を把握しているので、予算の範囲内で発注してから決裁を受けることが多いです。

 

会計法 第十一条を簡単に表現すれば、お金を払う約束をするためには、法令で定められた手続きを守り、予算の範囲内で行わなければならない、ということです。

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支出負担行為担当官 会計法 第 13 条

 

支出負担行為担当官は、国の会計機関のひとつです。役職指定され、契約締結権限を持っています。会計機関とは、ある範囲の権限を持ち会計手続きを処理する機能を持っている組織です。

会計法

第十三条  各省各庁の長は、当該各省各庁所属の職員に、その所掌に係る支出負担行為に関する事務を委任することができる。

 

各省各庁の長とは、大臣や長官のことです。財務大臣とか、総務大臣、文部科学大臣などです。実際には、大臣が自ら会計事務を処理する余裕はありません。部下の職員へ事務を委任できる規定です。各省庁の規則で、支出負担行為担当官として官職を指定し権限を委任しています。

 

委任によって契約締結(決裁)権限が、会計課長などになります。財務省などは、財務省大臣官房会計課長が支出負担行為担当官として委任されています。

 

支出負担行為担当官が、物品の売買契約などの契約を締結する権限を持ちます。契約書の名義も、「支出負担行為担当官 財務省大臣官房会計課長◯◯◯◯」となります。各省庁の入札公告を見ると支出負担行為担当官の役職名が記載されています。

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前金払及び概算払 会計法 第 22 条

 

官公庁では、代金の支払方法は原則として後払い(あとばらい)です。例外として前金払(まえきんばらい)と概算払(がいさんばらい)が認められています

第二十二条  各省各庁の長は、運賃、傭船料、旅費その他経費の性質上前金又は概算を以て支払をしなければ事務に支障を及ぼすような経費で政令で定めるものについては、前金払又は概算払をすることができる。

 

契約を締結するときに、契約の相手方と、代金の支払条件などについて打合せすることがあります。まれなケースですが、輸入製品などは前金払いでないと契約できないことがあります。政令(予算決算及び会計令)で、この条文を適用できる範囲が定められています。

 

前金払については、予算決算及び会計令 第五十七条

概算払については、予算決算及び会計令 第五十八条

 

前金払と概算払ができる経費は限定列挙です。指定されている経費に限り適用できます。拡大解釈などは認められません。地方自治体の規則にも同様の内容がありますが、国に比べて緩やかに定められています。

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契約担当官 会計法 第 29 条

契約担当官は、支出負担行為担当官と同じように、国の会計機関のひとつです。支出負担行為担当官との違いを意識して理解しましょう。

会計法

第二十九条  各省各庁の長は、第十条の規定によるほか、その所掌に係る売買、貸借、請負その他の契約に関する事務を管理する。

 

会計法 第二十九条は、契約実務に直接関係し、かつ、一番難解な条文です。契約担当官は国の会計機関です。地方自治体では定められていません。

 

「第十条の規定によるほか」という部分が、理解する上でポイントになります。第十条を確認します。

 

第十条  各省各庁の長は、その所掌に係る支出負担行為及び支出に関する事務を管理する。

 

と規定されています。そして第二十九条は、「第十条の規定によるほか」と定めています。

 

次のように読みます。

 

まず第十条は、支出負担行為担当官の所掌する事務を定めています。そして、第二十九条は、支出負担行為担当官が所掌しない契約事務を定めています。官職名は次のとおりです。(国独自の官職名です。地方自治体には、このような定めはありません。)

 

第十条の契約事務は支出負担行為担当官

第二十九条の契約事務は契約担当官

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支出負担行為担当官と契約担当官の違い

支出負担行為担当官と契約担当官の違いは、具体的に何でしょうか。ここが難解なところです。

 

支出負担行為とは、歳出予算を使用して将来的にお金を払う行為、つまり代金の支払義務を負うような行為です。上述したようにパソコンを購入して代金を支払う場合の発注行為が、支出負担行為担当官の所掌する契約事務です。

 

一方、契約担当官は、支出負担行為担当官の所掌に含まれない契約事務です。具体例としては、国の物品等の売払い契約や、財産の貸付契約です。これらは代金を支払うのではなくて、代金を受け取る契約です。歳出予算を使わない契約です。支出ではなく収入になるので契約担当官の所掌となります。この他に、歳出予算からすでに支出されている前渡資金で支払う契約などがあります。

 

覚え方としては次のようになります。

 

支出負担行為担当官は、歳出予算を使って代金を支払うような契約事務を所掌する。(例、物品購入契約)

 

契約担当官は、売払いなど歳入になるような契約、支出負担行為担当官が所掌しない契約事務を担当する。(例、物品売払契約)

 

ここは相当ややこしいです。実際に契約手続きを経験しないとスッキリしないかもしれません。例えば、一旦歳出予算から支出されたものは契約担当官の所掌になります。前渡資金で代金を支払う契約は、契約担当官の所掌です。難解な部分なので法令を読み返すなどの慣れが必要です。(支出官が支払手続きするものが支出負担行為担当官の範囲です。よけいわかりづらいですね。)

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契約方式 会計法 第 29 条の 3

契約担当者が日常的に使う一番重要な条文です。

会計法

第二十九条の三  契約担当官及び支出負担行為担当官(以下「契約担当官等」という。)は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項及び第四項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。

 

最初に注意したいのが、「契約担当官等」の定義です。会計法令で頻繁に使用されます。上記で説明した、支出負担行為担当官と契約担当官の両方を意味します。つまり、すべての契約が対象です。もし「契約担当官等」でなく、契約担当官(等の1文字がない場合)であれば、売払い契約や、歳出予算を使わない契約だけを意味することになります。

 

第二十九条の三は、第一項で、契約方式の原則が競争入札であることを明確にしています。契約方式とは、官公庁が契約の相手方を選ぶ方法のことです。

 

例外として第三項の指名競争入札が認められています

 

会計法 第二十九条の三

3 契約の性質又は目的により競争に加わるべき者が少数で第一項の競争に付する必要がない場合及び同項の競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、指名競争に付するものとする。

 

政令とは、予算決算及び会計令です。適用できる範囲を具体的に記載しています。ここは別記事で詳しく説明します。第三項は、指名競争契約の根拠となる条文です。

 

同様に第四項があります。随意契約の根拠となる条文です。

 

会計法 第二十九条の三

4 契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。

 

さらに第五項で、金額の少ない契約については、事務簡素化を目的にした指名競争入札と少額随意契約を認めています。

 

会計法 第二十九条の三

5 契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては、第一項及び第三項の規定にかかわらず、政令の定めるところにより、指名競争に付し又は随意契約によることができる。

 

会計法第二十九条の三は、契約方式の根拠法令となる条文です。契約担当者に必須の条文です。日常業務では、暗記できるほど繰り返し参照することになります。

 

会計法 第二十九条の三の簡単な覚え方は次のとおりです。

会計法 第 29 条の 3

第 1 項 一般競争入札が原則
第 2 項 競争参加資格について
第 3 項 指名競争入札
第 4 項 競争性のない随意契約
第 5 項 事務簡素化を目的とした少額随意契約と指名競争入札

 

なお、第五項の少額随意契約は、事務の簡素化を目的としています。見積もり合わせによる契約が、少額随意契約です。

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