会計法は契約方式の判断に必要な根拠法令、契約手続きの重要ポイント

国立競技場 会計法令の解説
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支出負担行為とは

 

会計法は、財政法(法律)を受けて定められた法律です。財政法よりも詳しく官公庁の会計手続きを定めています。

 

会計法の中で、会計実務や契約実務に関係する主要な部分を解説します。

 

会計法

第十一条  支出負担行為は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

 

「支出負担行為」は、簡単そうで奥が深いです。契約実務の経験が長くなると、いろいろな疑問点が生じてきます。

 

「支出負担行為」とは、わかりやすく説明すると、歳出予算に基づく「債務負担」を行うことです。

 

債務とは、お金を支払う義務を負うことです。

 

例えば、売買契約を締結して、官公庁側がパソコンを購入することを想定します。官公庁側が発注して、パソコンが納品になり、代金を支払うまでの契約手続き全体の中で、発注(正式な発注依頼、契約が成立するとき)が「支出負担行為」です。

 

発注することによって、その段階で、将来的に物品が納品されれば、自動的に代金を支払わなくてはいけないという義務、つまり債務が発生するからです。

 

発注(契約の成立)時が支出負担行為の時期となります。

 

会計法第十一条を簡単に表現すれば、「お金を払う(約束をする)義務を負うためには、法令や歳出予算の範囲内で行わなければならない。」ということです。

 

支出負担行為担当官

第十三条  各省各庁の長は、当該各省各庁所属の職員に、その所掌に係る支出負担行為に関する事務を委任することができる。

 

各省各庁の長とは、大臣のことです。財務大臣とか、総務大臣、文部科学大臣などです。実際には、大臣が自ら会計事務を処理する余裕はありませんから、部下の職員などへ事務を委任できる規定になっています。各省庁の規則で「支出負担行為担当官」として官職を指定し委任しています。

 

委任によって契約締結(決裁)権限が、会計課長などになります。財務省などは、財務省大臣官房会計課長が支出負担行為担当官として委任されています。

 

支出負担行為担当官が、物品の売買契約などの契約を締結する権限を持つことになります。契約書の名義(契約締結の当事者)も「支出負担行為担当官 財務省大臣官房会計課長○○」となります。

 

前金払及び概算払

第二十二条  各省各庁の長は、運賃、傭船料、旅費その他経費の性質上前金又は概算を以て支払をしなければ事務に支障を及ぼすような経費で政令で定めるものについては、前金払又は概算払をすることができる。

 

契約手続きを行うときは、契約の相手方と代金の支払条件について打合せすることがあります。まれなケースですが、前金払いでないと契約できない場合もあります。政令(予算決算及び会計令)で具体的に定められています。

 

前金払いについては、予算決算及び会計令第57条

概算払いについては、予算決算及び会計令第58条

 

この前金払いと概算払いができる経費の指定は、限定列挙です。ここで指定されている経費に限り適用となり、拡大解釈などは認められていません。ここは注意が必要です。

 

契約担当官

第二十九条  各省各庁の長は、第十条の規定によるほか、その所掌に係る売買、貸借、請負その他の契約に関する事務を管理する。

 

この条文は、契約実務に直接関係し、かつ、一番難解な条文ですので、詳しく説明します。

 

「第十条の規定によるほか」というところが理解する上でポイントになります。第十条を確認します。

 

第十条  各省各庁の長は、その所掌に係る支出負担行為及び支出に関する事務を管理する。

 

と規定されています。そして第二十九条は、「第十条の規定によるほか」と定めています。

 

次のように読みます。

 

まず、第十条は、支出負担行為担当官の所掌する事務を定めています。そして、第二十九条は、支出負担行為担当官の所掌する事務でないものを定めています。

 

第十条の事務は「支出負担行為担当官」

第二十九条の事務は「契約担当官」

 

支出負担行為担当官と契約担当官の違い

 

「支出負担行為担当官」と「契約担当官」の違いは、具体的に何でしょうか。ここが難解なところです。

 

支出負担行為担当官とは、支出を負担する行為、つまり代金の支払義務を負うような行為です。前半で説明してますが、パソコンを購入して代金を支払う場合の契約(発注)行為が、支出負担行為担当官の所掌する事務です。

 

一方、「契約担当官」は、「支出負担行為担当官」の所掌に含まれない契約事務です。

 

典型的な例は、国の物品等の売払い契約や、財産の貸付契約です。これらは代金を支払うのではなくて、代金を受け取る(もらう)契約です。支出ではなく収入になるので「契約担当官」の所掌となります。

 

覚え方としては次のようになります。

 

支出負担行為担当官は、歳出予算を使って代金を支払うような契約事務を所掌する。(例、物品購入契約)

 

契約担当官は、売払い契約など歳入になるような契約で、支出負担行為担当官が所掌しないものを所掌する。(例、物品売払契約)

 

ここは、相当ややこしいので、法令を読み返すなどの慣れが必要です。

 

契約の方式

第二十九条の三  契約担当官及び支出負担行為担当官(以下「契約担当官等」という。)は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項及び第四項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。

 

最初に注意したいのが、「契約担当官等」の定義です。

 

会計法令で頻繁に使用されますが、ここでは、上記で説明した「支出負担行為担当官」と「契約担当官」の両方を指していますので、すべての契約になります。

 

仮に「契約担当官等」でなく、「契約担当官」(等の1文字がない場合)であれば、売払い契約などの、支払ではない契約だけを意味することになります。

 

第二十九条の三の条文は、契約方式の原則は、競争契約、つまり「入札」ということを明確に定めています。官公庁の契約方式は、原則として、競争契約(入札)です。

 

例外として第三項の指名競争があります。

 

3 契約の性質又は目的により競争に加わるべき者が少数で第一項の競争に付する必要がない場合及び同項の競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、指名競争に付するものとする。

 

政令とは「予算決算及び会計令」で、具体的に記載されています。ここは別途詳しく説明します。第三項は、指名競争契約の根拠となる条文です。

 

同様に第四項があります。随意契約の根拠となる条文です。

 

4 契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。

 

さらに第五項を確認します。

 

5 契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては、第一項及び第三項の規定にかかわらず、政令の定めるところにより、指名競争に付し又は随意契約によることができる。

 

いずれも、「予算決算及び会計令」で細かく規定されていますので、別の記事で詳しく説明します。

 

会計法第二十九条の三は、契約方式の根拠法令となる条文です。契約実務担当者は、十分に理解しておく必要があります。暗記できるほど繰り返し、日常業務で参照することになります。

 

簡単な覚え方は次のとおりです。

会計法

第二十九条の三 第一項 競争契約(入札)の原則

第二十九条の三 第二項 競争参加資格の定め

第二十九条の三 第三項 指名競争契約

第二十九条の三 第四項 随意契約

第二十九条の三 第五項 少額随意契約

 

なお、第五項の少額随意契約は、事務の簡素化を目的としています。見積もり合わせによる契約が、少額随意契約です。

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