「検査調書」の作成を省略するときの注意点、検収サインの方法

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イギリスのロンドン塔 2015年会計法令の解説
イギリスのロンドン塔 2015年

「検査調書」について、わかりやすく解説します。200万円以下の契約であれば、「検査調書」の作成を省略できます。しかし「検査」そのものは省略できません。つまり「検査調書」と「検査」は違います。「検収サイン」の実例を解説します。

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検査調書の「省略」

 

「検査調書」は、契約内容どおりに履行されたかどうか「検査」した結果を書面として作成するものです。「検査」については会計法第二十九条の十一第二項で義務付けられています。

会計法
第二十九条の十一
○2 契約担当官等は、(略)請負契約又は物件の買入れその他の契約については、政令の定めるところにより、自ら又は補助者に命じて、その受ける給付の完了の確認(略)をするため必要な検査をしなければならない。

 

「給付の完了の確認」とは、相手方の履行が完了したことを確認することです。物件の買入れ契約(購入契約)であれば、納品時に、品名、型式、数量、性能などを検査します。役務契約であれば業務が完了したことを検査します。「検査」は、すべての契約について行う義務があります。そして「検査」した結果を「調書」という書式で作成する場合と、省略できる場合を次のように定めています。

契約事務取扱規則

第二十四条  令第百一条の九第一項 に規定する財務大臣の定める場合は、請負契約又は物件の買入れその他の契約に係る給付の完了の確認のための検査であつて、当該契約金額が二百万円を超えない契約に係るものである場合とする。

 

この規定の上位にあたる法令は、予決令第百一条の九です。契約担当官等本人、あるいは補助者に対して、検査調書の作成を義務付けてます。

予算決算及び会計令
(検査調書の作成)

第百一条の九  契約担当官等、契約担当官等から検査を命ぜられた補助者(略)は、検査を完了した場合においては、財務大臣の定める場合を除くほか、検査調書を作成しなければならない。

 

検査を行ったときは、原則として検査調書の作成が義務付けられています、例外として、上記の契約事務取扱規則では、契約金額が二百万円を超えない契約(200万円以下)であれば、検査調書の作成を省略できると定めています。

 

つまり、契約金額(税込み)が200万円以下であれば、「検査調書」を作成する必要はないのですが、注意が必要です。

 

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「検査調書」は省略できるが、「検査」は省略できない

 

間違えやすい点は、「検査調書」を省略する場合でも、「検査」は省略できない、ということです。

 

「検査」を完了しなければ、代金を支払うことはできません。

 

「検査調書は省略できるが、検査は省略できない」と考えて契約実務を行うことが大切です。厳密には「検査の一部省略」という規定もありますが、これは稀な例外規定です。通常、「検査が可能なものであれば検査は必要」と考えて契約実務を行います。

 

検査を終えた後でないと、代金が支払えない、という根拠法令は、次のとおりです。

政府契約の支払遅延防止等に関する法律
(支払の時期)
第六条  国が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求を受けた日から三十日以内の日としなければならない。

 

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「検査調書」と「検査」の違い

「検査調書」は、書面として検査内容を記載して、補助者指定された検査職員(通常は課長補佐などの役職)が、記名押印します。A4の用紙で作成します。

 

「検査」は、下記に解説するように、納品書などの余白に「実際に確認した者」が記名押印します。係長や係員が検査することが多いです。

 

検査の実施方法は、当初の契約書(請書)、関係書類などと現物を照合し確認します。「検査調書」は、重みのある(責任のある)検査とも言えます。

「検査調書」を作成する検査のときは、補助者指定された検査職員(課長補佐など)の日程調整を行い、契約の相手方である営業担当者、契約実務担当者と一緒に検査を行います。課長補佐などは多忙なときもあり日程調整に時間が必要です。「検査」だけであれば、契約を担当した係内のみで簡単にできます。「検査調書」を省略できるメリットは大きいです。特に大きな組織では、頻繁に会議や打合せに出席する課長補佐の日程調整はむずかしいです。

 

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「検査」の具体的な方法

200万円以下の契約で、「検査調書」の作成を省略するときの「検査」方法について解説します。

 

物品購入の例です。

検査は、発注時の「契約書(請書)」と「納品書」と「現物」の3つを確認します。

 

メーカー名、型式、数量などが、間違いないか確認し、納品書へサインします。品名や数量が多いときは、事前に「契約書の内訳」と納品書をコピーしておき、そのコピーに赤ボールペンでチェックします。確認日と確認者もメモします。

 

検査完了のサイン(検収サイン)は、納品書の余白に、次のように記載します。

 

2017年4月12日 検査完了 田中太郎 印

 

本人が検査したことを確認するため、手書きで自署します。ゴム印や印鑑は使用しません。検査を行なった人が、手書きするのが原則です。検査を終えたことのサイン(検収サイン)は、代理や形式上だけのサインは避けるべきです。後日、債務不履行などのトラブルが生じたときに問題になります。必ず、検収者本人がサインします。

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