契約書の取り交わしと契約成立日、民法とは異なる契約成立日に注意

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会計法令の解説
2007年 シンガポール

官公庁が取り交わす契約書についての解説です。民法では書面を必要とせずに契約が成立します。しかし官公庁との契約では、契約書へ記名押印しなければ契約が確定しません。また契約書の省略は一定金額以下のときです。複雑な契約では契約書を作成します。

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民法と会計法で異なる契約の成立日

 

日本の民法では、当事者の合意のみで契約が成立します。購入契約であれば、これをください、と販売店へ伝えれば契約が成立します。また契約の成立には書面を必要としません。

 

しかし国を当事者とする契約では、会計法により契約書の取り交わしが義務付けられています。そして契約書へ記名押印しなければ契約は確定しません。

 

民法では契約書などの書面を必要としませんが、会計法では契約書を義務付けています。これは税金を扱う官公庁は、より安全に契約する必要があるために設けられた条文です。

 

会計法

第二十九条の八 契約担当官等は、競争により落札者を決定したとき、又は随意契約の相手方を決定したときは、政令の定めるところにより、契約の目的、契約金額、履行期限、契約保証金に関する事項その他必要な事項を記載した契約書を作成しなければならない。ただし、政令で定める場合においては、これを省略することができる。

 

② 前項の規定により契約書を作成する場合においては、契約担当官等が契約の相手方とともに契約書に記名押印しなければ、当該契約は、確定しないものとする。

 

地方自治体にも同様の法律があります。

 

地方自治法

第二百三十四条

5 普通地方公共団体が契約につき契約書(略)を作成する場合においては、当該普通地方公共団体の長又はその委任を受けた者が契約の相手方とともに、契約書に記名押印し、(略)なければ、当該契約は、確定しないものとする。

 

官公庁との契約では、契約書を作成するときは、当事者が記名押印するまでは契約が確定しません。ここは民法と異なる考え方です。例えば一般競争入札で落札したときは、まだ契約書に記名押印していません。数日後に記名押印して契約書を取り交わすことになります。この場合には、落札した時点で契約が部分的に成立したと考えます。そして記名押印によって確定したことになります。

 

また民法では契約書を必要としていないこともあり、契約書を取り交わすときは、事前に相手方へ知らせておかなければなりません。

 

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契約書の作成要否についての明示義務

 

契約を締結するときは、契約書の取り交わしが必要か、あらかじめ明示することを義務付けています。契約事務取扱規則は国を対象としています。

契約事務取扱規則

第十一条  契約担当官等は、一般競争若しくは指名競争に付そうとする場合における公告若しくは通知又は随意契約の相手方の決定に当たつては、当該契約の締結につき、契約書の作成を要するものであるかどうかを明らかにしなければならない。

 

国民の税金を扱う国が損害を被ることがないように契約書の取り交わしを原則としています。例外として契約書を省略できます。

 

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契約書の省略は150万円以下、自治体は独自の基準

 

契約書の省略は、予決令第百条の二により契約金額が150万円以下と定められています。地方自治体は、それぞれの自治体で定めています。

 

予算決算及び会計令

第百条の二  会計法第二十九条の八第一項 ただし書の規定により契約書の作成を省略することができる場合は、次に掲げる場合とする。

 

一 (略)一般競争契約又は指名競争契約若しくは随意契約で、契約金額が百五十万円(外国で契約するときは、二百万円)を超えないものをするとき。

 

国の場合は、150万円以下なら契約書の作成が省略可能です。150万円を超えれば契約書の取り交わしが必要です。

 

地方自治体は、契約書を省略する基準額をそれぞれで定めています。東京都は150万円で国と同じです。長野県は100万円です。

 

契約書の作成が必要な場合は、入札公告や指名通知、仕様書などで明記します。

 

なお、契約書を省略できる金額の契約でも、内容が複雑なものや、代金の支払条件が複雑なものは契約書を作成する方が安全です。例えば製造請負契約や役務契約などは、後日トラブルにならないよう契約金額に関係なく契約書を取り交わすケースが多いです。契約書を省略できるという条文は義務ではありません。心配であれば契約書を取り交わすのが適正な契約手続きです。

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契約書の記載事項

 

契約書の記載内容は、予決令第百条により次のように定められています。地方自治体もそれぞれの規則で定めています。

 

予算決算及び会計令

第百条  会計法第二十九条の八第一項 本文の規定により契約担当官等が作成すべき契約書には、契約の目的、契約金額、履行期限及び契約保証金に関する事項のほか、次に掲げる事項を記載しなければならない。ただし、契約の性質又は目的により該当のない事項については、この限りでない。

一  契約履行の場所
二  契約代金の支払又は受領の時期及び方法
三  監督及び検査
四  履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
五  危険負担
六  かし担保責任
七  契約に関する紛争の解決方法
八  その他必要な事項

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