これでわかる「契約方式」の判断、わかりやすい「随意契約」解説

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会計法令の解説
2005年 グアム
会計法令の解説

「随意契約」の解説、「契約方式」を判断する方法の解説です。競争入札の例外として「随意契約」が存在する理由や根拠法令を、簡単にわかりやすく説明します。契約実務担当者、官公庁向けの営業担当者にとって基礎的な必須の知識です。

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最も多い「少額随意契約」

 

官公庁の契約方式は、一般競争契約(一般競争入札)が原則です。「契約方式」とは、官公庁が民間会社と契約を締結するときに、相手方を選ぶ手続きのことです。「契約の相手方」を選定する方法は、会計法令等でルールとして定められています。

 

しかし、すべての契約手続について、入札手続きを実施するのは、現実的に不可能です。入札手続きは、通常、2ヵ月ほど時間が必要です。例えば、物品を購入する契約を考えてみましょう。パソコン1台(10万円)を買うのに、2ヶ月も労力を費やして入札手続きを行なっていたら、莫大な人件費が必要です。すべての契約を入札とするなら、現在の公務員の定員を100倍に増やさなければなりません。10万円のパソコンを購入するために、人件費40万円(20万円×2ヵ月)をかけることになります。税金を節約するという「公務員としての基本姿勢」にも反します。

 

そこで、事務簡素化の観点から、金額の小さい契約なら、電話1本で、すぐに購入できる規定が必要になります。いわゆる「少額随意契約」です。根拠規定を確認します。

予算決算及び会計令

第九十九条  会計法第二十九条の三第五項 の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。

(略)

三  予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。

(略)

 

会計法

第二十九条の三 契約担当官等は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項(指名競争)及び第四項(競争性のない随意契約)に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。

5 契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては、(略)政令の定めるところにより、随意契約によることができる。

 

上記の会計法第二十九条の三第一項「・・公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。」が、原則は一般競争入札と規定している部分です。そして第五項で「・・予定価格が少額である場合・・随意契約によることができる。」と規定し、金額の小さい契約は、随意契約できることを明記しています。

予決令第九十九条の中には、この他にも、いろいろなケースの随意契約が列挙されています。しかし、随意契約の中で一番多いのは、この「少額随意契約」です。(○○万円を超えない・・と記載されている条文です。)

 

金額が小さい随意契約を「少額随意契約」と呼びます。

 

予決令第九十九条第三号の「予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。」とは、160万円以下の契約なら、入札手続を経ることなく「随意契約」として契約手続きが可能という意味です。予定価格の金額は、消費税など全ての経費を含む総額で判断します。

 

超えない」という表現は、「踏み超えない」という意味です。つまり、線(金額の制限)を踏み超える(足で跨ぐイメージ)のはダメということです。160万円ぴったりの金額なら「超えない」に含まれます。

 

もちろん、予決令第九十九条の規定は「義務」ではありません。あくまで「随意契約によることができる場合」です。この規定を適用して随意契約できる契約金額だけれども、あえて、一般競争入札を実施することも可能です。

 

「少額随意契約」は、事務の簡素化を目的に規定されたものです。実際の契約実務では、「契約方式」を判断するときは、最初に、この予決令第九十九条を適用して、少額随意契約できるかどうかを判断します。

 

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「秘密」に基づく随意契約

 

例外中の例外として「秘密に基づく随意契約」があります。予決令第九十九条第一号です。

一  国の行為を秘密にする必要があるとき。

 

国の政策上、秘密にしなければならない場合です。

 

外交上の機密事項を含む契約や、全国的に実施されるセンター試験の問題冊子の印刷製造など、仕様(契約内容)を公開できないものだけが該当します。通常の官公庁では該当はありません。人命に関わること、情報が漏洩すると実施できない大きな事業の場合だけです。

 

庁舎の警備業務などで「巡回経路を公開できない」という理由だけでは適用できません。巡回経路は、契約締結後に発注者側の指示に基づくという条件で入札可能です。随意契約の対象ではありません。

 

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「契約方式」の判断手順

 

契約方式の判断は、実際は、次の手順になります。最初に予決令第九十九条から行います。予定価格の金額で判断しますが、通常、業者側から参考見積書を提出してもらい、その金額で判断します。

 

購入契約の判断方法

(予決令99-3)
三  予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。

 

予決令第九十九条第三号の160万円以下に該当するかどうか

 

160万円以下で見積合せ可能なら第九十九条の「少額随意契約」

 

160万円以下だが、競争性がなく見積合せ不可能であれば、理由書を添付し予決令102-4-3の「競争性のない随意契約」

 

「予決令102-4-3の随意契約」とは、契約の相手方が1社に限定される、「競争性のない随意契約」です。契約できる会社が1社のみなので、「見積り合わせ」も不可能です。1社のみの会社を選んだ理由書が必要になります。

 

予算決算及び会計令 第百二条の四

三  契約の性質若しくは目的が競争を許さない場合又は緊急の必要により競争に付することができない場合において、随意契約によろうとするとき。

 

購入物品が160万円を超える場合は、会計法第二十九条の三、第一項による一般競争契約(入札)になります。

 

会計法

第二十九条の三  契約担当官等は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、・・・公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。

 

製造(工事)契約の判断方法

 

二  予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせるとき。

 

参考見積書の金額が、予決令第九十九条第二号の250万円以下かどうか

250万円以下で「見積り合わせ」可能なら第九十九条の少額随意契約

 

競争性がなく「見積り合わせ」不可能であれば、理由書を添付し予決令102-4-3の随意契約

 

250万円を超える場合、会計法第二十九条の三、第一項による一般競争契約(入札)になります。

 

役務契約の判断方法

役務契約とは、清掃契約や警備契約など、契約内容の主たる部分が人件費で構成されており、誰かに何かの作業を行ってもらう契約です。製造契約や工事契約と異なり「完成品」はありません。毎日、あるいは定期的に何かの業務を行ってもらう契約です。

 

七  工事又は製造の請負、財産の売買及び物件の貸借以外の契約でその予定価格が百万円を超えないものをするとき。

 

予決令第九十九条第七号の100万円以下かどうか

 

参考見積書の金額が100万円以下で「見積り合わせ」可能なら第九十九条の少額随意契約

 

競争性がなく「見積り合わせ」不可能であれば、理由書を添付し予決令102-4-3の随意契約

 

100万円を超える場合は、会計法予決令第二十九条の三、第一項による一般競争契約(入札)になります。

 

運送契約・保管契約の判断方法

八  運送又は保管をさせるとき。

 

運送又は保管をさせるときには、金額に関係なく、予決令第九十九条を適用させて随意契約が可能です。しかし、注意が必要です。

 

この条文でいう「運送」とは、公共交通輸送機関を主に利用するもので、運賃(料金)自体が、公的な統制を受けている場合です。出発地や目的地などが線路などで固定されていて、公的な料金が設定されている場合です。JRや地下鉄などで運ぶ場合を想定しています。つまり公共料金として「競争の意味がない」ときに随意契約できるものです。

 

例えば、鉄道などの公共交通機関を利用せず、運送業者が多数存在する「引越し作業」や「移転作業」は該当しません。多数の会社があり、価格競争ができるケースは、第八号は適用されません。引越し業者による契約は、第七号の「役務契約」の方が適用になります。ここは間違えやすいので注意が必要です。

 

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地方公共団体の根拠法令

 

上述の「会計法」と「予決令」は、各省庁などの国の組織を対象とした会計法令です。地方公共団体は、同様の法令が次のように定められています。

 

地方自治法

第二百三十四条 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。
2 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。

地方自治法施行令

第百六十七条の二 地方自治法第二百三十四条第二項の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。

一 売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(貸借の契約にあつては、予定賃貸借料の年額又は総額)が別表第五上欄に掲げる契約の種類に応じ同表下欄に定める額の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき。

二 不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。

 

少額随意契約が可能な範囲は、別表第五で定めてます。

参考に「物品購入」の場合です。

都道府県及び指定都市  百六十万円

市町村  八十万円

「都道府県及び指定都市」は、国の基準と同じです。市町村は、ほぼ半分の基準になってます。


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