随意契約は契約方式の例外的取扱い、一般競争契約(入札)が原則

イギリスのロンドン
イギリスのロンドン

少額随意契約

予算決算及び会計令

第九十九条  会計法第二十九条の三第五項 の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。
一  国の行為を秘密にする必要があるとき。
二  予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせるとき。
三  予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。

四  予定賃借料の年額又は総額が八十万円を超えない物件を借り入れるとき。
八  運送又は保管をさせるとき。

官公庁の契約方式の基本原則は、一般競争契約(入札)です。

しかし、全ての契約手続について入札を実施するのは、現実的に不可能です。例えば、物を買う契約、ボールペン1箱(800円)を買うのに、1ヶ月も労力を費やして入札手続きを行なっていたら、莫大な人件費が必要となります。公務員の定員を100倍に増やさなければなりません。

そこで、事務簡素化の観点から、契約金額の低い契約なら、電話1本で、すぐに購入できる規定が必要となります。

予決令第九十九条の随意契約で一番多い契約例は、この少額随意契約(○○万円を超えない・・と記載されている)です。

金額が少額な随意契約を「少額随意契約」と呼びます。

第三号の「予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。」とは、160万円以下の契約なら、入札手続を経ることなく随意契約で契約手続が可能という意味です。予定価格の金額は、消費税など全ての経費を含む総額で判断します。

「超えない」という表現は、「踏み超えない」つまり、線(金額の制限)を踏み超える(足で跨ぐイメージ)のはダメということです。160万円ぴったりの金額なら含まれます。

もちろん、予決令第九十九条は任意規定ですから、この規定を適用し随意契約できる契約金額だけれども、あえて、競争入札を実施することも可能です。

少額随意契約は、事務の簡素化を目的に規定されたものですから、契約実務では、最初に、この予決令第九十九条を適用して、少額随意契約できるかどうかを判断します。



秘密による随意契約

一  国の行為を秘密にする必要があるとき。

国の政策上、秘密にしなければならない場合です。

外交上の機密事項を含む契約や、試験問題などの印刷製造など、仕様(契約内容)を公開できないものだけが該当します。

警備業務などで巡回経路を公開できないという理由だけでは適用できません。巡回経路は契約締結後に発注者側の指示に従う条件で入札可能なので対象ではありません。



契約方式の判断

契約方式の判断は、実際は、次の手順で予決令第九十九条から行います。予定価格の金額で判断しますが、通常、業者側から参考見積書を提出してもらい、その金額で判断します。

売買契約の例

三  予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。

予決令第九十九条第三号の160万円以下に該当するかどうか

160万円以下で見積合せ可能なら第九十九条の少額随意契約

160万円以下だが、競争性がなく見積合せ不可能であれば、理由書を添付し予決令102-4-3の随意契約

「予決令102-4-3の随意契約」は、契約の相手方が1社に限定される、競争性のない随意契約です。

予算決算及び会計令 第百二条の四

三  契約の性質若しくは目的が競争を許さない場合又は緊急の必要により競争に付することができない場合において、随意契約によろうとするとき。

160万円を超える場合は、会計法第二十九条の三、第一項による一般競争契約(入札)

第二十九条の三  契約担当官等は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、・・・公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。

製造(工事)契約の例

二  予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせるとき。

予決令第九十九条第二号の250万円以下かどうか

250万円以下で見積合せ可能なら第九十九条の少額随意契約

競争性がなく見積合せ不可能であれば、理由書を添付し予決令102-4-3の随意契約

250万円を超える場合、会計法第二十九条の三、第一項による一般競争契約(入札)

役務契約の例

役務契約とは、清掃、警備など経費の主たる部分が人件費で、何かの作業を行ってもらう契約です。

七  工事又は製造の請負、財産の売買及び物件の貸借以外の契約でその予定価格が百万円を超えないものをするとき。

予決令第九十九条第七号の100万円以下かどうか

100万円以下で見積合せ可能なら第九十九条の少額随意契約
競争性なく見積合せ不可能であれば、理由書を添付し予決令102-4-3の随意契約

100万円を超える場合、会計法第二十九条の三、第一項による一般競争契約(入札)

運送契約、保管契約

八  運送又は保管をさせるとき。

運送又は保管をさせるときには、金額に関係なく、予決令第九十九条を適用させて随意契約が可能ですが、注意が必要です。

運送とは、公共交通輸送機関などで運賃(料金)について、公的な統制を受けている場合です。出発地や目的地などが線路などで固定されていて、料金についても公的な料金が設定されている場合です。JRや地下鉄などで運ぶ場合を想定しています。

しかし、鉄道などの公共交通機関を利用せず、引越しや移転などで運送業者が多数存在し、競争の余地のあるケースは第八号は適用されません。引越し業者による契約は、第七号の役務契約が適用になることに注意する必要があります。