「適法な請求書」とは? チェックポイントをわかりやすく解説

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会計法令の解説
2020年8月 豊島園
会計法令の解説

「適法な請求書」についての解説です。官公庁は、契約代金を支払うときに「請求書」に基づいて支払処理を行います。そして請求書の条件として「適法」であることが求められています。遅延防止法に定める「適法な請求書」の解説です。

 

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そもそも「遅延防止法」とは

 

官公庁(役所)が、代金を支払う際には「請求書」が必要です。会計法令(遅延防止法)によって、「請求書」に基づいて支払うことが定められています。

 

遅延防止法(政府契約の支払遅延防止等に関する法律)は、官公庁すべてに適用される法律です。遅延防止法第十四条に基づき、国の組織だけでなく、地方公共団体も適用されます。官公庁で働く人に必須の知識になります。今回は遅延防止法で定める「適法な請求書」について解説します。

 

遅延防止法の目的は、「支払いを速やかに行うこと」です。官公庁が締結した契約の代金は、一定期間内に支払うことが定められています。

政府契約の支払遅延防止等に関する法律

第一条 この法律は、政府契約の支払遅延防止等その公正化をはかるとともに、国の会計経理事務処理の能率化を促進し、もつて国民経済の健全な運行に資することを目的とする。

 

なぜ、このような当たり前の法律が必要かと言うと、支払手続きは、つい疎かにしてしまうことがあるのです。

 

実際に官公庁で契約実務を担当していると、物品が納入されたり、工事が完成したりすると、その段階で「やっと仕事を終えた」ような感覚になってしまいます。「大変だった契約手続きが完了した」と思ってしまうのです。そのため、代金の支払手続きを後回しにしてしまう傾向になります。

 

官公庁の担当者側からすると、欲しい物が手に入ると、目的が達成されたように感じてしまうのです。また、「官公庁は倒産しないから、心配しなくても、代金は必ず払う」と思い込み、支払い手続きの優先順位を低くしてしまいます。

 

ただ、遅延防止法が適用されるのは、物品購入契約、役務契約、工事請負契約、製造契約のみです。旅費や、謝金の支払いには適用されません。

 

第二条 この法律において「政府契約」とは、国を当事者の一方とする契約で、国以外の者のなす工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物件の納入に対し国が対価の支払をなすべきものをいう。

 

次のように第六条で、代金の支払い時期は、請求書を受け取った日から、工事代金は40日、その他は30日以内と定められています。そして、「適法な請求書」に基づい支払うことになっています。

第六条 (対価の支払の時期)は、国が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求を受けた日から工事代金については四十日、その他の給付に対する対価については三十日(略)以内の日としなければならない。

 

この第六条が、重要な条文です。

官公庁が検査を完了した後に、適法な請求書を受理した日から40日(工事以外は30日)以内に、代金を支払わなければなりません。この条文には「適法な支払請求」と記載されています。

 

では、「適法な請求書」とは、何を指すのか、どこをチェックすれば良いのでしょうか。

 

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「適法な請求書」とは

 

民間企業が、官公庁に対して代金を請求するときは、「請求書」を提出します。

 

例えば、物品購入契約(売買契約)であれば、民間企業側が物品を納品し、官公庁側で納品検査が完了した時点で、民間企業側に代金を請求する権利(債権)が発生します。債権を行使するために、官公庁側へ請求書を提出するわけです。

 

官公庁側から見ると、納品検査が完了した時点で、所有権が官公庁側に移転し、代金を支払うという義務(債務)が発生します。そして請求書の到着を待って、代金を支払うことになります。請求書は、代金を支払うための重要な書類です。

 

請求書を受け取ったときに確認するチェックポイントは、次のとおりです。

作成年月日

作成者

請求内容、請求金額、消費税

振込先の口座名

 

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請求書の「作成年月日」

 

契約代金の支払いは、遅延防止法によって支払期限が定められています。支払期限は、工事契約が40日、それ以外は30日以内です。いずれも請求書を受理した日からカウントします。

 

官公庁側で請求書を受理したときは、請求書の余白に「受理日」を記載します。受理日は、支払期限の起算日になるので、かなり重要です。受理日を明確にするよう、次の運用方針で細かく定めています。

政府契約の支払遅延防止等に関する法律の運用方針
昭和25年4月7日 理国第 140 号

二 「受理」とは、単なる到達を指すものではなく相手方の支払請求書が到達し国において、これを処理し得る状態におくことをいうのであるが、この到達が所定の執務時間内であれば当然受理すべきであり、その日は、計算上一日に参入される。

 

(略)なお、支払請求書受理の日時は、将来事故発生の場合の紛争点となり、これが立証を要することも予想せられるにつき予め請求書送付箇所を約定するとともに、当該機関における請求書受理者を定め、受理簿を設け又は受理請求書に受理日附印を押捺する等請求書受理後の経過を明瞭ならしめるよう措置すべきである。

 

受理日は、請求書の作成日と同じ日か、それ以後の日です。この確認のためにも請求書の作成年月日が必要になります。また作成日によっては、会社の代表者が変わってしまうこともあります。作成日によって、次に説明する契約権限が変わってしまうのです。作成者の確認のためにも作成日が重要です。

 

金額の大きい契約では、営業担当者が直接持参することが多いです。持参の場合は、請求書の作成日と受理日が同日になります。郵送の場合は、請求書作成日の4日~7日程度後に受理日になることが多いです。

 

作成年月日は、西暦でも和暦でも問題ありません。会社がいつも表示している方法で良いです。

 

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請求書の「作成者」

 

請求書を作成することができるのは、「契約権限」を持つ者だけです。通常は、会社の代表者です。「代表取締役社長」が一般的に多い役職名です。部長や課長は、委任されなければ契約権限を持っていません。会社が持つ契約権限は、「代表者一人だけ」です。多くの請求書では、作成者として次のように記載されています。

(住所)

株式会社 日本商事
代表取締役社長 日本 太郎

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請求内容、請求金額、消費税

 

請求書の内容は、通常、見積書と同じになります。

 

請求書は、契約内容をわかりやすく表示することが大切です。物品の売買契約であれば、品名、メーカー名、型式、数量、単価、合計金額を記載します。

 

注意したい点は、役務契約や工事契約で、「一式」表示のときです。なるべく「一式」表示の請求書を受理するのは避けましょう。例えば、次のような一式表示では、内容が適正なのか判断できません。

運搬・据え付け費用 一式 25万円

 

運搬に必要な経費が25万円だとすれば、その内訳があるはずです。クレーン付きトラックを1台使用し、作業員7名が1日作業したのであれば、適正な費用です。しかし、3人くらいの作業費であれば、ひとり当たり1日8万円です。これでは高すぎて適正とは言えません。

 

金額の高い「一式」表示の場合は、積算内訳を記載してもらう必要があります。上記の例であれば、次のように記載してないと内容をチェックできません。もし内訳が記載してないときは、受理せずに、内訳を記載して再提出するよう依頼しましょう。

運搬・据え付け費用 一式 25万円
(内訳 トラック 1台 4万円、作業員 7名×3万円)

 

請求金額は、必ず、検算をします。ときどき表計算ソフトの計算式を間違えていることがあります。おそらくコピペなどでミスするのでしょう。まれに計算ミスがあるので注意しましょう。面倒でも、電卓でタテとヨコを計算します。

 

また、消費税の記載があるか確認します。もし消費税が含まれるのか不明のときは、必ず、相手方へ電話して確認します。もし合計金額が変わるようであれば、再作成を依頼しましょう。請求書の合計金額を修正するのはリスクが高いです。

 

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振込先の口座名

 

官公庁の支払いは、原則として銀行振込です。現金払いも不可能ではありませんが、事前に手続きが必要になり、かなり大変です。通常は銀行振込で契約代金を支払います。

 

そのため、銀行振込に必要な、銀行名、預金種別、口座番号が記載してあるか確認します。

 

なお、請求書の支払条件の中に「現金払い」という記載が、稀にあります。念のため営業担当者へ確認することをお薦めしますが、通常は、「手形払いでない」ことを指します。銀行振込は、現金払いと同じ意味です。

 

民間企業では、一般的に手形取引(イメージとしては、3ヵ月後など、後日支払いすること)が行われています。


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