官公庁の会計実務は、法令に基づいています。日常の書類作りのときも、法令を知っていた方が効率的です。法令を深く理解するためには、いろいろな法令の上下関係を把握しておく必要があります。法令の上下関係も留意しましょう。
法令の上下関係を意識する
法令には上下関係があります。上下関係を意識することで条文を探しやすくなります。会計手続きで判断に悩んだときは、根拠法令を確認しながら進めなければなりません。このときに、法令の上下関係を意識しておくと、簡単に条文を見つけることができるようになるのです。
官公庁の会計実務に関する法令では、主に次のような上下関係があります。左が上位、右が下位です。
〇国の会計法令
財政法 → 会計法 → 予算決算及び会計令 → 各種規則
〇地方自治体の会計法令
地方自治法 → 地方自治法施行令 → 各自治体の条例や規則
法律や政令など別々に制定されている理由
法令を探していると、「なぜ、こんなに探しづらいのか?」と思うことがあります。どの法律や政令を探せばよいのかわからなくなるのです。ひとつの法律の中で、もっと簡単にわかりやすく制定できないものかと思ってしまいます。
上位の法律ほど、基本的なことを定め、下位へいくほど具体的な内容になっています。これは制定のしやすさに関係します。どこで作るか、です。
法律・・・国会が制定します。国民は法律に従わなければなりません。
政令・・・内閣が制定します。法律を実施するためのルールです。
省令・・・各省の大臣が制定します。各省の所掌範囲に関するルールです。
地方自治体の場合は、さらに条例や規則があります。ただし国の法令に反することはできません。
条例・・・地方議会が制定します。その地方では法律と同じ効果があります。
規則・・・地方自治体が制定します。
つまり、上位の法律や条例ほど制定がむずかしくなります。国会や議会で審議して議決することになります。反対意見なども考慮しなければなりません。そこで上位の法律や条例では、必要最低限の基本的なことだけ定め、細かいところは下位の政令や省令、規則などで定めます。政策を進めていく中で変化する内容など、弾力的に運用しなければならない部分を下位の法令で定めているわけです。
なお、「会計法令」という用語は、法律の他に政令や省令、条例、規則、各種の運用通知などすべてを含みます。会計実務を行う上で必要になるルールすべてを指します。
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