印紙は必要?請書や契約書に貼る印紙、非課税範囲や契約の効力との関係

スポンサーリンク
会計法令の解説
2014年 奈良

契約書や請書に貼る印紙についての解説です。官公庁と民間企業が作成する契約書や請書には、印紙が必要になることがあります。印紙税法の別表第二で官公庁は非課税法人です。民間企業側が印紙を貼ります。印紙を貼る文書は別表第一に記載されています。

スポンサーリンク

印紙税を忘れると契約も無効?

官公庁で契約実務を担当していると、契約書を取り交わしたり、請書を取り寄せることがあります。すると時々、民間企業の営業担当者から、印紙について質問を受けます。

 

印紙を貼る必要がありますか?

 

印紙はいくらですか?

 

(・・よくわからないです。)と回答するのは、少し恥ずかしいです。官公庁の契約担当者としては、行政の一端を担っているので、印紙税法を理解して正確に答えたいものです。

 

そもそも印紙税法は、税金についての法律です。締結する契約の効力自体には全く影響しません。印紙を貼り忘れても、印紙の金額を間違えても、後日実施される(かもしれない)税務署の調査でミスを指摘されるだけです。契約の効力には関係なく、ただ税金を加算(過怠税は3倍)して払うだけです。

 

つまり印紙は、契約の効力とは関係ありません。

 

そして官公庁は非課税です。民間企業側が印紙を貼り忘れても、官公庁側に負担はありません。

 

しかし、万が一大きなトラブルになり、証拠として裁判所へ契約書類を提出するような場面では、不利になる可能性があります。あまりに法律を無視した書類手続きでは、裁判官の心証は良くないかも知れません。ずさんな契約手続きを行なっていたと思われてしまうでしょう。もちろん判決内容に影響することはないと信じますが。

 

そう考えると印紙税についても、正確に理解したいものです。

 

税金関係で迷ったときは、必ず、最寄りの税務署へ確認する方が安全です。税務署の人は丁寧に教えてくれます。

スポンサーリンク

官公庁は非課税なので印紙は不要

契約実務を担当するときは、時間を作って印紙税法を読んでおきましょう。条文を覚える必要はありません。印紙税法には、どんなことが書いてあるのか、さっと目を通し概略を知るだけで十分です。実際に条文を使う場面になったときに、印紙税法をじっくり読んで理解することが大切です。

 

印紙税法は、課税対象となる文書と作成者を理解するのがコツです。

印紙税法

第五条  別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、次に掲げるものには、印紙税を課さない。

一  別表第一の非課税物件の欄に掲げる文書

二  国、地方公共団体又は別表第二に掲げる者が作成した文書

三  別表第三の上欄に掲げる文書で、同表の下欄に掲げる者が作成したもの

 

まず、印紙税法 第五条 第一号の別表第一で、課税物件と非課税物件の一覧が定められています。印紙が必要な文書と、不要な文書が記載されてます。表の右欄、非課税物件に該当する文書なら印紙税は不要です。

印紙税法 非課税物件

印紙税法 非課税物件

 

次に印紙税法 第五条第二号で印紙が不要な非課税法人を定めています。国と地方公共団体が作成した文書は非課税です。さらに別表第二で、独立行政法人、国立大学法人も非課税法人に指定されています。自分の組織が該当するのか、最初に確認しておきましょう。

 

印紙税を納める義務を負う納税義務者は、文書の作成者です。

 

印紙税法

第三条  別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。

スポンサーリンク

官公庁側が保存する契約書等の納税義務者とは

契約書を2通作成し、官公庁側と民間企業側で各1通ずつ保存する場合は、官公庁側が保存する契約書1通のみに印紙を貼ります。民間企業側が保存する契約書は、官公庁側(非課税法人)が作成した契約書とみなされ、非課税なので印紙は不要です。つまり印紙代は、民間企業が支払うことになります。

 

印紙税法 第四条
5 国、地方公共団体又は別表第二に掲げる者(以下この条において「国等」という。)と国等以外の者とが共同して作成した文書については、国等(略)が保存するものは国等以外の者が作成したものとみなし、国等以外の者(略)が保存するものは国等が作成したものとみなす。

 

わかりやすく整理すると次のとおりです。

官公庁が保存する契約書や請書の作成者は、民間企業

 

民間企業が保存する契約書の作成者は、官公庁(ただし非課税法人)

 

官公庁と民間企業が取り交わす2通の契約書は、民間企業の負担で契約書1通に印紙を貼り、印紙を貼った契約書を官公庁側が保存します。請書は一方的に提出する誓約書なので、民間会社が1通のみ作成し、印紙を貼って官公庁側へ提出します。

 

国税庁の説明ページ
課税文書の作成時期及び作成者

課税文書の作成時期及び作成者|国税庁

 

請書などの一方的に提出する書類も、印紙税の対象です。課税物件表の適用に関する通則 5 では、「・・念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書(略)を含むものとする。」と記載されています。

 

なお電子的に契約書を取り交わすときは印紙税は不要です。紙に印刷して交付するものでないので文書ではないという考え方です。ここは微妙なので税務署へ確認した方が良いです。

 

請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について

国税庁の見解

請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について|国税庁

 

スポンサーリンク

印紙税が必要な契約の種類

印紙税が必要になる契約の種類は、印紙税法の別表第一に記載されています。簡単にまとめると次のとおりです。

印紙税が必要になる契約、主なもの(抜粋)

 

運送に関する契約書(金額別に印紙が必要)

請負に関する契約書(金額別に印紙が必要)

代金受取時の領収書(金額別に印紙が必要)

売買に関する契約書(別表第一に記載されていないので印紙は不要、不課税文書)

 

売買契約(物品の譲渡契約)については、平成元年3月まで印紙が必要でした。物品の譲渡に関する契約書(旧第19号文書)として課税の対象でした。しかし現在(2018年)は除外されました。売買契約は不課税文書なので印紙は不要です。民間企業側も印紙は不要です。

 

変更契約の場合は、金額の差額分(増額の金額)が印紙税の対象です。契約金額の減額は、金額の記載がない契約になります。(別表第一、課税物件表の適用に関する通則 4の二)

 

印紙税は契約の効力とは関係ありません。しかし脱税目的で印紙を貼付しないと罰則(3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金)があります。契約書を取り交わすときは注意しましょう。官公庁側には印紙税納付の義務はありませんが、官公庁の実務担当者としては、法律を遵守するよう指導する責務があります。

コメント