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会計法令の解説

支出負担行為入門:単価契約の負担行為日が請求後になる理由

支出負担行為入門 会計法令の解説
支出負担行為入門
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官公庁は、税金などの公金で運営されているため、適切な予算管理無しには成り立ちません。

 

そのため「支出負担行為」という制度が設けられており、予算の正確な管理と公金の適正な使用を確保する上で中心的な役割を果たしています。

 

この記事を通じて、支出負担行為の基本的な理解から、その手続きの流れ、根拠法令、さらには単価契約における支出負担行為の整理時期に至るまで、幅広く解説します。

 

公務員だけでなく、予算の適正な管理に関心がある方にとって、この複雑なプロセスを理解することは、効率的な資金管理に役立つ知識となります。

 

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支出負担行為って何?初心者でもわかる基礎知識

 

官公庁で働き始めたら耳にすることが多くなる「支出負担行為」。

 

この言葉を聞いても、多くの人はピンとこないかもしれません。学校では習いませんし、官公庁の中でも、ごく一部の人だけが使う言葉です。官公庁の会計に関する用語なので、知らなくて当然です。

 

しかし、官公庁のお金の管理には欠かせない重要な仕組みの一つです。この記事では、支出負担行為が何か、そしてなぜ必要なのかを、初心者にもわかりやすく解説します。

 

支出負担行為とは?

 

簡単に言うと、「支出負担行為」とは、官公庁が将来にわたって支払いを約束することを正式に記録する手続きのことです。

 

例えば、何かを購入するとき、納品が確認された際に、その支払いが今後の予算から行われる場合、事前にこの支出負担行為の手続きを行います。これによって、「今後支払わなければならないお金があるよ」ということを、しっかりと記録に残し会計関係者が管理するわけです。

 

なぜ支出負担行為が必要なの?

 

官公庁では、税金をはじめとする公金を使って様々な事業を行います。

 

ここで改めて「公金」を確認しておきましょう。公金とは、所得税や住民税、消費税などの税金、健康保険料や国民年金・厚生年金などの社会保険料など、強制的に徴収されているお金です。本人の意思に関係なく、法律に基づいて集められるお金すべてが公金です。つまり公金の中に税金が含まれています。税金よりも広い意味が公金です。

 

これらのお金は、すべて国民から預かっているものなので、(強制的に取られているお金なので)とても慎重に扱わなければなりません。支出負担行為制度の目的は、予算の範囲内でお金が使われるようにし、無駄遣いや不正な支出を防ぐことにあります。金額だけでなく、予算の目的や法令に合致しているかまで、様々な視点からチェックするのが支出負担行為制度です。

 

例えば、あるプロジェクトのために特定の機材を購入することになったとします。この機材の支払いが数ヶ月後になるとしたら、契約を締結したとしても記録がなければ、その支払いを忘れてしまうかもしれません。あるいは、他の部署の人と契約済みの情報が共有されず、まだ契約していないと思って余計な機材を買ってしまうかもしれません。

 

また万が一、この機材が、法令に定められている契約手続きに違反したものであれば、公金を使って支出することはできません。不正な随意契約を締結したり、癒着による贈収賄のために支払いはできないわけです。

 

そこで支出負担行為の手続きを行うことで、内容に問題がないことを確認し、「この金額は将来支払わなければならない」ということが記録されます。これにより、予算計画を立てる際に、すでに約束された支出が見落とされることなく、適切に管理できるのです。

 

参考に、支出負担行為の根拠法令を確認しましょう。

 

会計法

第十一条  支出負担行為は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

 

地方自治体は次のとおりです。

 

地方自治法

第二百三十二条の三 普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

 

支出負担行為制度は、しっかりと予算を管理し、実際に支払うときに「予算が不足して支払えない」という不適切な事態を防止するためのものです。昭和20年代に、予算が不足して支払いが大幅に遅れた事態が発生し、その反省から、支出負担行為と支出を分けることにしました。債務負担の段階で、厳格な統制を実施し、予算の適正かつ計画的な執行を図ることにしたのです。

 

支出負担行為の流れは?

 

実際に支出負担行為を行う際は、まず対象となる支出が予算内に収まるかを確認します。次に、認められた予算の目的に合致しているか法令で認められているものか確認します。

 

ここでいう「法令」という意味は、法令で定められている事業だけでなく、例えば入札対象の契約であれば、会計法令で定められている手続きを経たものであるかチェックするという意味です。目的や手続き、支出負担行為しようとする内容全体が法令に違反していないか確認するという広い意味です。

 

そして、支出負担行為書を作成し、上層部(係長、課長補佐、課長、部長など)の承認を経て、正式に記録されます。この過程を踏むことで、将来の支払いに向けた準備が整い、予算管理がより厳密に行われるわけです。

 

なぜ上層部の決裁が必要になるかというと、内部的な相互牽制という目的と、実際にも役職が上になるほど有している情報が多くなるので、様々な角度からチェックするという目的があります。

 

支出負担行為は、官公庁のお金の使い方をきちんと管理するための大切な仕組みです。予算を超える支出や、不正使用を防ぎ、公金の透明性を高める役割を持っています。初めて聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実は私たちの税金が適切に使われていることを確認するための、非常に重要なプロセスです。公務員として、また一般市民としても、この制度を理解しておくことは大切です。

 

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支出負担行為の範囲ってどこまで?実例でわかりやすく解説

 

支出負担行為の話をすると、「それって結局どんなときに必要なの?」と思われるかもしれません。

 

実は、官公庁が行うさまざまな支出には、この制度が密接に関わっています。ここでは、その適用範囲と具体的な事例を挙げながら、支出負担行為の世界をもっと身近に感じてもらえるように解説します。

 

主な支出負担行為の適用範囲

 

支出負担行為が適用されるのは、主に以下のような場合です。

 

1. 給与の支払い・・公務員など、官公庁で働く人への給料や賞与。

 

2. 旅費の支出・・出張で発生する交通費や宿泊費。

 

3. 契約代金の支払い・・業者に依頼したサービスや商品購入等にかかる費用。

 

以上が主なものですが、これ以外にも多数あります。詳細は「支出負担行為等取扱規則」別表甲号で表形式に記載されています。

 

このように、日々の業務から大きなプロジェクトに至るまで、公金を使う多くの場面で支出負担行為の手続きが求められます。

 

支出負担行為の整理時期と注意点

 

「支出負担行為の整理」とは、将来的に支払う金額を帳簿に記帳することです。

 

予算がいくら残っているか確認するための整理手続きになります。コンピュータが普及する前(1995年以前)は、紙の帳簿に記帳し、予算の残額を記録していました。現在は会計システムへ入力することで「支出負担行為の整理」が行われます。

 

おおまかに次のような内容を「支出負担行為差引簿」へ記録します。

 

支出負担行為日 2024年4月10日
支出負担行為の内容(件名) ノートパソコン購入 1台
負担行為金額(契約金額、支出予定金額) 120,000円
予算残額 987,567,325円

 

支出負担行為は、支出が発生する前段階、つまり契約を結ぶときや、給与を支払う前に行う必要があります。これにより、予算の範囲内で計画的に支出が行われるようになります。金額の大きい契約を結ぶ際には、特に記録の漏れがないように注意が必要です。支出が予算を超えないように、事前にしっかりと計画を立て、支出負担行為の手続きを適切に行うことが大切です。

 

支出負担行為は、官公庁での様々な支出に関わる重要なプロセスです。給与や旅費、業者への支払いなど、日常的に発生する支出から、特定のプロジェクトにかかる費用まで、予算内で管理するための大切な手続きなのです。この制度を通じて、公金の適正な使用と、透明性の高い予算執行が実現されています。

 

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支出負担行為の手続きを一からていねいに

 

官公庁で働く皆さん、あるいはこれから働くかもしれない方々にとって、支出負担行為の手続きは、いざ自分で行うとなると意外と複雑に感じられるかもしれません。

 

でも、大丈夫です。ここでは、支出負担行為を行う際の流れと、その過程で必要となる書類、さらには注意点について、わかりやすく説明していきます。

 

支出負担行為の基本的な手続きの流れ

 

1. 支出の必要性の確認:まず、支出が必要であることを確認します。何のために、どれだけの金額が必要なのかを明確にしましょう。法令に基づいているか、問題のない支出なのか検討します。

 

2. 予算の確認:次に、その支出が予算の目的に合致しており、想定している予算内で行えるかを確認します。最終的に(年間の予算を考えて)予算を超えそうな場合は、他の支出予定部分を削るなど調整が必要になります。

 

3. 支出負担行為書の作成:支出の内容、金額、支払いの時期などを記載した支出負担行為書を作成します。契約代金の支出であれば、会計法令に基づいた契約関係書類を添付して支出負担行為書を作成します。

 

4. 承認のための決裁:作成した支出負担行為書を上司へ提出し、決裁手続きを経て承認を得ます。

 

5. 正式な記録としての登録:承認された後、正式な記録として支出負担行為書を登録します。現在は財務会計システム(契約システム)などコンピュータ上へ登録され、自動的に予算管理されます。承認後の登録は、課長補佐や課長など、上司が行うことが多いです。組織内の決裁権限に基づいて最終承認します。

 

支出負担行為に必要な書類

 

支出負担行為書:支出の詳細を記載した書類。これが最も重要です。

 

支出負担行為の関係書類:支出が法令に則っており、予算内であることを示す書類です。給与であれば勤務実績をまとめた給与簿や支給調書、旅費であれば出張命令書や航空賃の領収書、契約代金であれば、 入札関係書類、契約書または請書、見積書などが必要になります。

 

関係書類は、内容によって変わります。添付する目的は、法令に則っており、予算の範囲内であることを確認するためです。支出負担行為しても問題ない、と関係者が判断できるだけの根拠資料を添付し、決裁で承認を得ます。

 

当然ながら、公金を支出する際には、関係書類の添付省略は認められません。もし書類を見ないで中身を確認せずに、電子決裁などで支出してしまえば、官公庁として公金を扱える組織ではなくなります。

 

「デタラメに公金を使ってしまう」悪魔のような恐ろしい組織になってしまいます。

 

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実務で直面する可能性のある複雑さと注意点

 

予算の調整:予算を超えそうな支出が必要になった場合、どのようにして調整するかが問題になります。予算の再配分や優先順位の再検討が必要になることもあります。

 

複数部署の関与:特定の支出には、複数の部署の承認が必要になる場合があります。各部署とのコミュニケーションを密にとり、スムーズな手続きを心がけましょう。

 

締切の厳守:支出負担行為の手続きは期限内に完了させる必要があります。特に会計年度末は忙しくなるので、余裕をもって手続きを進めましょう。単年度予算では、法律で支払期限が定められています。国は翌年度の4月30日まで、地方自治体は翌年度の5月31日までです。

 

(出納整理期間)

予算決算及び会計令

第四条 支出官において毎会計年度に属する経費を精算して支出するのは、翌年度の四月三十日限りとする。

 

地方自治法

第二百三十五条の五
普通地方公共団体の出納は、翌年度の五月三十一日をもつて閉鎖する。

 

これらの最終支出期限(支払期限)を考慮して、支出負担行為を行わなければなりません。

 

支出負担行為の手続きは、官公庁の予算管理における重要なプロセスです。手続きが複雑に感じられるかもしれませんが、一つ一つのステップを丁寧に進めなければなりません。大きな組織の会計担当者になると、毎日、10件から30件の支出負担行為を処理することになります。

 

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支出負担行為担当官の大切な役割とは?

 

国における「支出負担行為担当官」は、耳慣れない職名かもしれませんが、公金を扱う上で非常に重要な役割を担っています。

 

ここでは、支出負担行為担当官が一体何をする人なのか、そしてその大切な役割と責任について、初心者でも理解しやすいように解説します。

 

なお地方自治体では「支出負担行為担当官」という会計機関はありません。会計管理者など、それぞれの自治体で官職名が異なります。国と地方自治体の支出負担行為制度で微妙に異なる部分ですが、予算を適正に管理するという目的は同じです。

 

広義の「会計機関」では、会計担当者、係長、課長補佐、課長、部長など、会計事務を法令に基づいて実施する組織体を指します。官職指定された「支出負担行為担当官」だけでなく部下(補助者)まで含めるのが一般的です。

 

支出負担行為担当官ってどんな仕事?

 

支出負担行為担当官は、予定される支出に関して、予算内で適切に管理・実行する最終責任を持つ職員です。支出負担行為の手続きを適切に行い、将来の支払いを予算内で計画的に管理する役割を担います。

つまり、公金を使って何かを購入したり、サービスを受けたりする際に、その支払いが法令や予算に基づいて正しく行われるようにするのが仕事です。(ただ書類上の決裁手続きでは、最終的に確認するのは支出官になります。)

 

主な役割と責任

 

支出負担行為担当官は、組織の内部規定で官職指定されています。部長や局長などの最終責任者が担当します。入札公告には必ず支出負担行為担当官の役職名と氏名が公開されています。ただ実際に書類を作成するのは部下の担当係員です。内部規定で補助者として指定されています。

 

担当職員が実務を担い、(必要に応じて上司に相談しながら)支出負担行為書を作成します。そして決裁を経て、支出負担行為担当官が最終責任を負います。

 

通常は、事務処理のミスで責任を問われることはありません。なぜなら、会計機関として担当者から直属の上司に至るまで、すべての人がチェックしているからです。もし事務処理を間違えても組織の責任になるので、担当者個人が責められたり、責任を負わされることはないです。

 

個人が責任を負うというケースは、故意に(わざと)書類を偽造して公金を横領したり、贈収賄などの犯罪になる場合だけです。真面目に働いていて、仕事上の事務処理ミスをしても個人には責任が及びません。

 

管理・監督の重要性

 

公金は国民から預かった貴重な資源です。そのため、支出負担行為担当官は、公金の使用に関して高い透明性と責任感を持って業務にあたる必要があります。不正や無駄遣いを防ぎ、予算の範囲内で最も効果的に資源を使用することが、彼らに求められる最大の責任です。

 

注意点

 

正確な記録と情報の共有:支出負担行為に関するすべての手続きと決定は、正確に記録され、いつでも会計関係者が見られる状態にしておく必要があります。

 

常に予算を意識する:予算を超える支出を防ぐため、日々の業務で常に予算を意識し、計画的に行動することが重要です。

 

支出負担行為担当官(会計機関)の役割は、官公庁における財務管理の中心を担うものです。彼らの責任感と努力によって、公金は適切に管理され、社会に役立つ形で使用されます。この重要な役割を理解することは、官公庁で働く全ての人にとって有益なことでしょう。

 

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支出負担行為を支える法律と規則の世界

 

なぜ法律と規則が重要なのか

 

官公庁の業務は、税金などの公金を使って公共の利益のために行われます。そのため、お金を使うときには高い倫理観による透明性と責任が求められます。

 

法律や規則に基づいて厳格に管理し、適正な使用を保証し、不正や無駄遣いを防ぐための重要なフレームワークが支出負担行為です。

 

実務における注意点

 

法令の遵守:支出負担行為の手続きにおいては、常に関連する法律や規則を遵守することが必須です。

 

継続的な学習:法律や規則は改正されることがあります。最新の情報に常にアップデートし、適切な手続きが行えるように心がけましょう。ほぼ毎年、支出負担行為に関係する何かの法律が改正されます。それらをいち早くキャッチし、勉強して対応しなければなりません。

 

支出負担行為に関連する法律や規則を理解し、それに従って行動することは、官公庁の職員にとって非常に重要です。公金の適正な管理と使用は、法的枠組みに基づいた責任ある行動によってのみ実現可能です。このような法的知識は、信頼される公務員としての基盤を築く上で欠かせないものと言えるでしょう。

 

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単価契約における「支出負担行為として整理する時期」が特別な理由

 

単価契約では、支出負担行為として整理する時期が、「請求のあったとき」に行われることが一般的です。予算が不足しないように、事前に債務負担額を登録するという原則に対する例外になっています。

 

請求書が届いてから支出負担行為するのでは遅いのではないか、と疑問に思うかもしれません。しかし、この例外的なタイミングには、実務上重要な理由があります。ここでは、その理由を掘り下げてみましょう。

 

単価契約とは?

 

まず官公庁における単価契約が、どのようなものかを簡単に説明します。

 

単価契約は、特定の商品やサービスの単価(価格)だけは事前に決まっていますが、実際にどれだけの量や回数が必要になるかは契約時には不明で、実際の利用量に応じて支払いが決定される契約形態です。

 

公用車に使うガソリン代や、毎日の事務処理に使うコピー用紙などの契約が該当します。年間を通じて繰り返し必要になるものが該当します。年度当初に単価だけ契約し、必要な都度注文して、月ごとに集計し、まとめて支払います。

 

単価契約の「支出負担行為として整理する時期」

 

単価契約においては、契約締結時に支出額を確定することができません。実際の利用量や発生するサービスの回数に基づいて最終的な支出額が決まるからです。このため、支出負担行為の整理時期は、月末に締めて数量を集計し、実際にどれだけの量を発注したかを示す請求書が提出された後に行われます。

 

請求書が届いた後で、支出額を確認し、支出負担行為として整理する(決裁を回す)わけです。

 

「支出負担行為の整理時期」が請求後でも問題ない理由

 

支出負担行為制度の趣旨からすれば、発注前に支出負担行為として整理するのではないか、と疑問に思うでしょう。

 

しかし単価契約の場合には、「単価契約締結伺い」を決裁処理するときに、すでに年間の使用見込み金額を予定して決裁しています。

 

年間の支出予定額 = 契約単価 × 見込み数量

 

として、単価契約締結時におよその予算額をすでに確保してあるのです。そのため、支出負担行為を後で(請求書が届いて金額が確定したときに)行って問題ないわけです。

 

会計システムによっては、契約当初の登録時に、年間の見込み額も入力し、常に予算をオーバーしないか確認できるようになっています。

 

つまり、単価契約の場合、負担行為とは別に「単価契約締結伺い」の中で年間の予算額を確保しているので、改めて負担行為として予算を確保する必要がないわけです。

 

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「支出負担行為書」と「支出負担行為兼支出命令票」の違い

 

支出負担行為制度については、上述したとおり、将来的に支払わなければならない「お金」を確保しておくものです。予算を超えた無計画な支出がないよう統制するための制度です。

 

支出負担行為を行うためには、関係書類を添付して、上層部まで決裁が必要になります。通常は、担当係員が書類を作成し、係長、課長補佐、課長、部長、局長までの承認を受けます。この決裁手続きは「支出負担行為書」という原議書によって行います。

 

しかし、官公庁の事業は多岐に渡り、すべての会計書類について支出負担行為書の決裁を受けるのは現実的に無理です。

 

なぜなら支出負担行為書の確認には、かなりの時間を要するからです。例えば、大きな契約(3千万円の契約と仮定しましょう。)になると、支出負担行為書へ添付する契約関係書類が5cm以上の厚さという膨大な量になることがあります。予定価格の積算から、入札や落札の実施状況を確認するのに3日ほどかかります。ひとりで3日なので、決裁者の分だけ時間がかかります。

 

金額の大きい重要な契約になると、契約1件の決裁を受けるのに3週間くらい必要になるのです。一般的に役職が上になるほど会議や打ち合わせが多くなり、書類決裁が遅くなってしまうのです。

 

私も実際に経験していますが、午前と午後に会議がそれぞれ2回ずつ入ってしまうと、ほぼ1日決裁書類を見る時間がなくなってしまいます。会議の合間に書類を見ようと思っても、電話がかかってきたり、周囲の人から相談を受けたりして、書類を見られない状況になるのは珍しくありません。

 

重要な決裁を優先すべき契約でさえ、支出負担行為書を確認し決裁する時間が限られてしまうのです。

 

大きな物品購入契約などでは、支出負担行為書の決裁を終えた後に、契約の相手方の履行を確認し(検収を終えて)、その後、支出決議書を作成して決裁し、契約代金を支払うことになります。

 

支出負担行為書で1度決裁を行い、その後で、さらに支出決議書で決裁を行い支払います。つまり、大きな契約では、「決裁を2回受けて契約代金を支払う」のが支出負担行為制度です。債務を負担する段階と、支出を決定する段階の両方で決裁し確認するわけです。

 

金額の小さい契約などは決裁を1回だけに省略

 

支出負担行為制度の本来の手続きは、負担行為の段階で1度決裁し、その後の支出決議で再び決裁するという「2度回し」が原則です。書類の中身を十分に審査して支払うという、公金を適正に使用する目的からすれば当然のことです。

 

しかし例えば、2千円の電卓ひとつ買うのに、支出負担行為と支出決議で、局長までの決裁を2度受けていたらどうでしょうか?

局長の感覚からしても、「そんな小さな契約は担当者限りで支出の判断してよ」と思うでしょう。

 

小さな契約まで「2度回し」していたら、局長などの上層部は睡眠時間もなくなるでしょう。寝ずに書類決裁しても間に合わないです。そうなれば行政の事業ほとんどがストップし、ゴミの収集も行えなくなるでしょう。公立の小学校や中学校、高校や大学も運営できなくなってしまいます。

 

そのため、金額の小さい、それほど重要ではない契約などは決裁を2回行う原則に対して、業務を効率化させることを目的に、1回の決裁で支払いできるようにしています。それが「支出負担行為兼支出命令票」です。1回だけの決裁で、効率的に支払ができるようになっています。

 

「支出負担行為兼支出命令票」という書類の名称や様式は、組織によって異なります。ただ、いずれも目的は同じです。業務を効率化させるために1回の決裁だけで支出を行うことができるものです。「1度回し」と呼ぶことが多いです。

 

「2度回し」と、この「1度回し」の区分基準は、組織によって様々です。金額で区分していたり、支出負担行為の内容で区分しています。一番多い区分基準は次のとおりです。各組織の内部規則で明確にしておくと悩まなくて済みます。

 

支出負担行為と支出決議の2回に分けて決裁するもの「2度回し」

少額随意契約ではない、一般競争入札、指名競争入札、競争性のない随意契約

 

支出負担行為と支出決議を同時に決裁できる「1度回し」

少額随意契約に該当するもの

単価契約を締結しているもの(単価契約締結伺いで決裁を受けているもの)

人件費や賃金の支払い(歳出予算に明確に計上されているもの)

「2度回し」と「1度回し」の区分基準は、重要な内容であるかどうかです。上層部の判断が必要になる内容なのか、という考え方で判断します。迷った場合は上司の判断を仰ぐのが正しい組織のあり方になります。

 

部下から相談されたら、きちんと調べて回答するのが上司の役目です。もし「わからない」と答えるのなら上司の資格はありません。部下を持つ上司になったら、当サイトで勉強しましょう。

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