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会計法令の解説

指名競争入札で不落随契は可能か?一般競争入札との違いは?

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会計法令の解説
2014年 奈良
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指名競争入札で不落随契は可能でしょうか?一般競争入札では不落随契が認められています。指名競争入札でも同じように不落随契が認められるのか解説します。一般競争入札と指名競争入札では違いがあります。特に入札者がいないときは注意が必要です。

 

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指名競争入札での不落随契には注意!

 

官公庁が契約の相手方を選ぶ契約方式は、一般競争入札が原則です。指名競争入札は例外手続きです。

 

一般競争入札は、入札公告をWEBサイトや官報へ掲載し、誰もが入札へ参加することができます。開札をして落札しなかった場合は随意契約が可能です。落札者がなかったときに価格交渉で随意契約することを不落随契(ふらく ずいけい)といいます。不落とは、落札者がいなかったこと、つまり予定価格以下の入札金額がなかったことを意味します。

 

一般競争入札を実施した結果、落札者がなく不落随契することは、会計法令で認められた正式な手続きです。しかし指名競争入札を実施したときの不落随契には注意が必要です。

 

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不落随契の根拠法令とは

 

最初に不落随契の根拠法令を確認します。

 

予算決算及び会計令

第九十九条の二  契約担当官等は、競争に付しても入札者がないとき、又は再度の入札をしても落札者がないときは、随意契約によることができる。この場合においては、契約保証金及び履行期限を除くほか、最初競争に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができない。

 

地方自治体は、次のとおりです。

 

地方自治法施行令

第百六十七条の二 (略)随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。

八 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。

 

これらの規定は、指名競争入札にも適用できるのでしょうか?

 

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不落随契が認められる場合とは

 

最初に準用規定を確認します。国の指名競争入札に関する条文で、一般競争入札の規定を準用する部分は、予算決算及び会計令(予決令)第九十八条で定めています。しかし不落随契の予決令第九十九条の二は含まれていません。

 

予算決算及び会計令

第九十八条

第七十条、第七十一条及び第七十六条から第九十一条までの規定は、指名競争の場合に準用する。

 

不落随契を認めている予決令第九十九条の二は、「・・競争に付しても・・」と定めています。つまり一般競争入札も指名競争入札も競争入札なので、両方を含むと解釈されています。指名競争入札でも、法令上は不落随契することが可能です。しかし、ここは注意が必要です。

 

予決令第九十九条の二、地方自治法施行令第百六十七条の二では、次の二つの場合に随意契約を可能としています。

 

不落随契が認められる場合

1.入札者がないとき

2.再度の入札をしても落札者がないとき

 

一般競争入札の場合は、入札公告を公開しているので、入札へ参加する機会が公平に確保されています。入札者がない場合も、落札者がない場合も随意契約が可能です。ところが指名競争入札の場合は問題があります。

 

指名競争入札は、官公庁側が事前に入札参加者を選んでいます。競争に参加する機会を公平に確保していないのです。

 

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指名競争入札で入札者がいない場合、不落随契はできない

 

入札者がいなかった場合を考えてみます。指名競争入札は、入札公告を公開するのではなく、指名通知により入札を実施します。官公庁側が任意に選んだ民間企業あてに、入札を実施するので参加してください、と通知します。一般競争入札と異なり、入札公告を公開していません。官公庁側の判断で選んだ民間企業のみに指名通知を送付しています。選ぶ基準も、指名基準として作成しています。

 

指名基準に基づいて、契約内容ごとに民間企業を選びます。選ぶ前提になる考え方は、その契約が履行可能で信頼できる相手方であることです。指名競争入札に参加して、他社と価格競争ができると判断して指名しているわけです。

 

相手方を信頼して、入札へ参加する前提で指名したはずです。それなのに、入札に誰も参加せず、入札者がいない状況に陥るとすれば、指名基準に基づく判断が間違っていたことになります。入札者がいなければ、指名するときに判断ミスがあったのです。指名競争入札を無効としなければなりません。最初から入札手続きをやり直し、通常は一般競争入札へ切り替えることになります。

 

結果的に、指名競争入札で入札者がいなかったときは、不落随契も行いません。法令上は可能かもしれませんが、そもそも指名基準が問題であり、適正な契約手続きになっていないからです。

 

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指名競争入札で落札者がないときの判断

 

指名競争入札で、再度の入札をしても落札者がないときはどうでしょうか?

 

例えば10社に指名通知を送り、入札に参加したのは1社だけであれば、上述と同じく競争性が十分に確保されていません。指名通知そのものが判断ミスしていることになります。指名競争入札を取りやめて一般競争入札へ切り替えるべきです。

 

では指名競争入札で、2社以上が入札に参加した場合はどうでしょうか?

 

指名競争入札を実施し、複数の会社により競争性が確保された状態であれば、競争した結果として落札者がない状態なので、不落随意契約は可能です。

 

つまり指名競争入札では、複数の参加者が価格競争を行った結果、落札者がなく不落随契するなら問題ありません。複数の参加者によって競争性が確保された状態が前提になります。

 

ただ指名競争入札の手続きは、一般競争入札と同じ労力が必要にもかかわらず、後になって指名基準が問題になるケースが多いです。指名競争入札を実施するメリットはないと考えられています。

 

指名競争入札ができる金額の範囲内であっても、あえて一般競争入札として、広く競争性を確保する方が適正な契約手続きです。

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コメント

  1. 道〇太郎 より:

    指名競争入札を実施し、2社のうち1社が辞退し、残る1者は最低制限価格を下回わったため、失格としましたが、この失格した会社と随意契約することは可能でしょうか?

    • 矢野雅彦 管理人 より:

      管理人です、コメントありがとうございました。

      最低制限価格を下回り失格となった者との随意契約については、法令上、禁止されていないので可能です。

      ただ、指名競争入札なので、次の点が問題になります。一般競争入札へ切り替えた方が良いです。そもそも指名競争入札は、信頼できる会社として指名するものです。適正な価格で、確実に契約を履行できるという前提で選んでいます。

      〇辞退するような会社を指名してしまった。

      〇適正な契約が可能として指名したのに、最低制限価格により失格となった。失格するような会社を指名してしまった。

      辞退や失格(入札の無効も含めて)になるような会社は、信頼できる会社とはいえないので、指名手続きそのものが問題になってしまいます。

      可能な限り指名競争入札は行わない方が安全です。一般競争入札なら、このような問題は起こりません。

  2. 名無し より:

    指名競争入札で不調となり、一度仕様書を見直して再度入札したところ、再び不調となりました。再々度仕様を見直し入札にかけようとしたところ契約担当課よりできないと言われました。上記の方法は不適切でしょうか。

    • 矢野雅彦 管理人 より:

      管理人です、コメントありがとうございます。

      契約内容と指名競争入札の理由が不明なので、正確な回答ではないかもしれません。

      今回の件は、指名競争入札を取り止めて、一般競争入札へ切り替えるべきです。そもそも、指名競争入札で不調になること自体が、契約手続きに問題があると思われてしまいます。契約内容を適正に履行できる会社として、指名しているはずです。手続き自体が矛盾しています。

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