私事用務を含む出張は一部自己負担、旅費の公私混同を防ぐには必須!

スポンサーリンク
出張旅費
2014年 奈良
この記事は約7分で読めます。

私事用務を含む出張には注意が必要です。休日の旅行先から直接出張するときの解説です。プライベートな旅行先が出張の目的地に近いときは、旅行先から出張する方が便利です。公私混同を回避するためには、プライベートな旅行先までの交通費は自己負担です。

スポンサーリンク

私事用務を含む出張がなぜ認められるか

 

2020年10月現在、多くの官公庁では、私事用務を含む出張が認められています。

 

私事用務とは、遊び目的という意味です。公務員が出張するときに、公務の他に遊び目的も含むということです。

 

私は個人的に、私事用務を含む出張について、かなり違和感を持っています。なぜ、このような運用になってしまったのか疑問に思っています。行政改革を目的にした規制緩和や弾力的な運用が間違った方向で進められた結果です。

 

実は、旅費法の中に私事用務についての難解な条文があり、それを勘違いして運用しているようです。

 

最初に根拠法令を確認します。

旅費法

第十条 私事のために在勤地又は出張地以外の地に居住又は滞在する者が、その居住地又は滞在地から直ちに旅行する場合において、居住地又は滞在地から目的地に至る旅費額が在勤地又は出張地から目的地に至る旅費額より多いときは、当該旅行については、在勤地又は出張地から目的地に至る旅費を支給する。

 

簡単に整理すると次の2点です。

旅行先にいるときは、旅行先から出張できること、ただし事前承認が必要

 

旅行先からの出張旅費は、職場を起点とした旅費額を上限とすること

 

遊び目的などのプライベートな旅行で、遠くへ出かけているときに、その旅行先から出張することを認めた条文です。公務以外の遊び目的を私事用務といいます。

スポンサーリンク

勘違いしてしまう私事用務の具体例

 

週末の土日に遊びのために旅行へ出かけ、月曜日から出張するときに、自宅へ帰らずに旅行先から出張するケースです。旅行先が出張の目的地に近いときなど、自宅へ戻るより直行した方が効率的な場合です。

 

ここで注意したいポイントは、上記旅費法第十条の趣旨です。明確に表現されていませんが、職場から出張先までの旅費と、プライベートな旅行先から出張先までの旅費を比較して、安い方を旅費として支給するというのが趣旨です。

 

つまりプライベートな旅行をしているときに、旅行先から出張目的地までの旅費が安ければ、安い旅費しか支給できないのです。

 

この条文の意味を、次のように勘違いするとかなり困ったことになります。

旅費法第十条は、旅行先から出張するときに、旅費が多額になるときは、職場を起点とした旅費が支給される。

 

多額になるときだけ適用されるので、旅費が安くなるときは適用されない。旅行先からの旅費が安いなら、通常の職場からの旅費が支給される。つまり旅行先からの出張でも、職場を出発地とした普通の旅費が支給される。

この考え方は根本的に間違っています。完全な公私混同です。

 

例えば次のケースです。

 

職場が東京、 プライベートな旅行先が名古屋、 出張先が京都と仮定します。

普通の交通費 東京 ⇒ 京都 片道 14,170円

 

旅行先からの交通費 名古屋 ⇒ 京都 片道 5,910円

 

旅費法第十条の正しい読み方は、安い方(名古屋 ⇒ 京都)の 5,910円のみを旅費として支給する、という意味です。ところが、旅行先(名古屋)から出張先(京都)へ行った場合でも、職場(東京)からの旅費が支給されると勘違いしてしまうのです。

スポンサーリンク

旅費の原則は、必要ない交通費は支給しないこと

 

勘違いの主な原因は、公私混同についての判断が曖昧だからです。

 

旅費計算の原則は、出張の出発地を職場(上記の例では東京)としています。職場(東京)から出張先(京都)までの交通費を計算して旅費を支給します。

 

実際の出張では、出張当日は職場へ出勤せずに自宅から出張することが多いです。自宅から出発するのなら、出発地を自宅としないと交通費が変わってきます。しかし旅費計算の原則として職場を出発地(起点)にしています。実際の出発地に関係なく、旅費の中の交通費は職場を起点として支給されると誤解してしまう原因になっています。

 

職場を出発地として交通費を計算しても不都合はありません。なぜなら自宅から職場までの交通費は、通勤手当としてすでに給与から支給されているからです。また職場を出発地としている理由がもうひとつあります。それぞれの職員の自宅住所を出発地とせず、一律に職場を出発地とした方が、旅費計算が効率的だからです。

 

職場までの交通費はすでに給与の中で支給されていますし、一律に職場を出発地とした方が事務簡素化になるからです。ただ旅費を計算するときに、通勤経路を含んでいれば定期券で乗車できる部分は減額します。(旅費法 第四十六条)

 

もし例外的に、自宅を出発地とするときは事前承認が必要です。そして自宅からの出発する交通費が安ければ、旅費法第四十六条に基づき安い交通費しか支給されません。

 

簡単にいえば、必要のない旅費は支給しない、というのが旅費法の基本的な考え方です。

 

また旅費の基本原則は実費弁償主義です。出張に必要な費用は、旅費として支給しますが、不必要な旅費は支給できません。これは旅費法第四十六条によって明確に定められています。

国家公務員等の旅費に関する法律

第四十六条 各庁の長は、旅行者が(略)不当に旅行の実費をこえた旅費又は通常必要としない旅費を支給することとなる場合においては、その実費をこえることとなる部分の旅費又はその必要としない部分の旅費を支給しないことができる。

 

プライベートな旅行先から、出張の目的地へ向かう時に、職場から出張先へ行く旅費よりも安く済むことがあります。プライベートな旅行で、出張先近くに滞在しているときは、旅行先から出張先までの安い旅費しか支給されません。実費弁償という趣旨からすれば当然のことです。

 

もし、プライベートな旅行先までの交通費部分を旅費として支給するなら公私混同になります。プライベートな旅行に対して旅費を支給すべきではありません。

スポンサーリンク

私事用務を含む出張の基本的な考え方

 

簡単に整理すると、次のようになります。
プライベートな旅行先から直接出張する場合です。

職場からプライベートな旅行先までの交通費・・自己負担

 

プライベートな旅行先から、出張先までの旅費交通費・・公費で旅費として支給可能
ただし上限額は、職場から計算した旅費額

 

この基本的な考え方を理解していないと、公私混同や旅費の不正使用、不適切な会計手続きなどと疑われてしまいます。

 

出張の前に有給休暇などを使いプライベートで旅行するときは、注意が必要です。

スポンサーリンク

出張が終わった後に、私事用務で旅行

 

では出張が終わった後、そのままプライベートな旅行へ出かける場合はどうでしょうか?

 

有給休暇を取得して、出張終了後に帰らず、そのままプライベートな旅行にでかける場合です。事前に有給休暇の承認手続きが終わっており、帰庁報告についてもプライベートな旅行後に行う承諾が得られている場合です。

 

旅費の負担方法は次のとおりです。

出張先から、プライベートな旅行先までの旅費交通費・・自己負担

 

プライベートな旅行先から、自宅へ帰るまでの旅費交通費・・自己負担

 

つまり出張を終えた後に、続けてプライベートな旅行をするときは、出張を終えた後の交通費は、すべて自己負担です。出張先から旅行先へ行くまでの交通費、旅行先から自宅へ帰る交通費は、すべて自己負担です。もし帰りの旅費を公費から支給してしまうと、公私混同や不正な旅費支給になります。

 

旅費は、本来、往復の交通費を支給すべきものという考え方もありますが、これはプライベートな旅行が含まれない場合の考え方です。出張途中にプライベートな旅行が含まれた時点で、公私混同を避けるために自己負担せざるを得なくなります。

 

もし自己負担したくないのであれば、そもそも私事用務を含めないことです。公私混同を疑われないようにすることです。

 

昔は、プライベートな旅行と公務の出張は、公私混同を避ける意味でも完全に分けていました。もし日程が一緒になりそうなときはプライベートな旅行の日程をずらしていました。出張の際に、家族や友人が一緒に同伴しているだけで公私混同を疑われます。公務員として行うことではありません。

 

ときどき、出張先でいろいろなところを観光すれば見聞を広めることができる。仕事にもいつか役立つから、私事用務を認めて旅費を支給しても良いと言う人もいます。しかし見聞を広めるのは自己研鑽であり、人として当然のことです。見聞を広める目的で税金は使えません。しかも今はインターネット社会なので、いくらでもWEB上で見聞は広められます。

 

最近(2020年)は、規制改革やら弾力的な執行などが求められ、本来の法律の趣旨を逸脱した手続きが増えています。公務員なら、税金を使う、法律を守るという意味をしっかり考えたいものです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました