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出張旅費

旅費のポイントを正しく理解、正しい旅費請求に必須の知識

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出張旅費
イギリス ロンドン
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出張旅費を理解するためのポイントです。出張と旅行の違い、公務かどうか判断する方法などをわかりやすく解説します。出張者本人だけでなく、旅費担当者にも必須の知識です。旅費の不正受給を疑われないためにも、基本的な旅費のポイントを理解しましょう。

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旅費の積算内訳とは

 

公務員の出張に必要な旅費請求手続きの解説です。出張するときに必要な経費が旅費です。しかし旅費の事務手続きは、法令や内部規則などのルールが複雑です。この解説では国家公務員等の旅費に関する法律(旅費法)に基づく旅費請求手続きを対象としています。地方自治体や独立行政法人なども旅費法をベースに規則などが制定されているので参考になる情報です。

 

交通手段として電車あるいは飛行機を利用することを想定してください。旅費を計算するときの積算内訳は次のとおりです。

 

旅費 = 交通費(電車代や飛行機代) + 日当(昼食代) + 宿泊料

 

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出張と旅行の違い

 

最初に、出張と旅行の違いを確認します。

 

旅行は広い概念です。ある場所から、他の場所へ移動することです。プライベートな旅も旅行です。旅行のうち、公務を目的としたものが出張です。概念的には次のようになります。

 

旅行 > 出張(公務目的)

 

公務とは、官公庁の仕事を目的としたものです。出張の定義を旅費法第二条で確認しましょう。

 

国家公務員等の旅費に関する法律

第二条
六  出張 職員が公務のため一時その在勤官署を離れて旅行し、又は職員以外の者が公務のため一時その住所又は居所を離れて旅行することをいう。

 

出張は、旅行命令に基づいて行ないます。所属長からの命令行為によって公務となります。一番多い出張目的は視察や調査です。組織の用務(やるべき仕事)として、何かの政策を計画するときに、その情報収集のために現地へ行きます。事業を実施するための情報収集という目的が多いです。研究者の場合は、現地調査や研究会への参加、研究打合せが多いです。

 

よく使う単語がわかりにくいので、簡単にまとめました。

用務 = やるべき仕事、課せられた仕事

公務 = 官公庁の用務

旅行 = どこかへ行くこと

出張 = 公務を目的とした旅行

 

そして旅行命令を発することができるのは、旅費予算が確保されている場合のみです。つまり出張へ行く前に、旅費予算の範囲内で旅行命令が発せられて公務の出張になります。自費での出張は認められません。組織として必要な出張であれば、旅費予算が確保されているはずだからです。旅費予算がないものは、そもそも公務ではないという考え方です。自費であれば、遊びの旅行と同じです。

 

国家公務員等の旅費に関する法律

第四条
2  旅行命令権者は、電信、電話、郵便等の通信による連絡手段によつては公務の円滑な遂行を図ることができない場合で、且つ、予算上旅費の支出が可能である場合に限り、旅行命令等を発することができる。

 

旅行命令権者は組織の長です。組織としての用務で旅行するため、旅行命令の権限を持つのは組織の長(雇用主)になります。勤務命令として、通常の勤務場所を離れて、現地で勤務することを命令するわけです。

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公務かどうか判断する方法

 

次に、公務かどうかを判断する方法です。

 

事務系職員は、上司からの命令によって出張するケースが多いので理解しやすいです。上司の命令であれば組織の仕事です。しかし教員や研究者については、公務なのか、判断に迷うことがあります。

 

国立大学に所属する教員(教授、准教授、講師、助教など)や研究者の多くは、裁量労働制による勤務形態です。そして研究者は、自分の研究を実施するために出張します。研究者の研究内容は、公的なものか私的なものか、区別が困難なことが多いです。

 

研究者は、職場でも自宅でも(24時間365日)研究を行なっています。特に、人文科学系や社会科学系などの研究は、一般の人が趣味としている文学や美術鑑賞なども広く研究対象になっています。コンサートを聴いたり、アイドルなどの芸能人まで全てが研究対象です。休日に美術館を訪問するときも公務(研究)になっていることがあります。

 

一例ですが、神戸大学経済経営研究所では、平成29年3月8日にAKB48チームのアイドルを招いてシンポジウムを実施しています。「AKB48の計算社会科学 ~かよよん(AKB48チームA)を迎えて」・・羨ましい限りです・・・

 

研究者は、自分自身のライフワークとしての研究が、結果的に組織の仕事になっています。多くの研究者は学生を教育するための講義も担当しています。自分の研究を深めれば、教育の質も向上します。教育研究のために自分の研究を行っているわけです。

 

教員や研究者の旅行が、公務かどうかは、次の点で判断します。

 

家族や友人と一緒に楽しむような旅行であれば公務ではない

 

それ以外で、研究者本人のみ、あるいは分野が同じ研究者のみで訪問し、研究テーマに関連していれば公務という判断です。

 

この他にも、自分の組織の公務でない旅行として、他の組織から依頼される用務(他の組織側から見れば公務ですが、自分の組織の仕事ではないケース)、兼業承認を受けた民間会社の用務、私的な研修(旅費は自己負担)等があります。

 

公務でない旅行のときは、事前に休暇の手続きが必要です。休暇手続きを忘れると、就業規則違反(職務専念義務違反)になってしまいます。いわゆる無断欠勤です。一般的に、裁量労働制の勤務形態であれば、勤務時間管理は不要です。1日のうち数時間だけ他の用務を行なうときは、休暇手続きは必要ありません。在室時間申告書、あるいは勤務状況等申告書に他の用務を行ったことを記載し、自分で管理しておけばOKです。

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旅費の請求手続きは、出張者本人が行う

 

出張の旅費請求手続きは、原則として出張者本人が行います。実際の交通手段や宿泊先は、出張者本人しかわかりません。事務手続きについて秘書へ依頼することは可能ですが、本人が細かく指示する必要があります。適当な事務処理を行ってしまうと、事実と異なる結果となり、旅費の不正受給として大問題になってしまいます。

 

出張者本人が、事務部門の旅費担当者へ旅費の請求書類を提出するのが原則です。

 

国家公務員等の旅費に関する法律

第十三条  旅費の支給を受けようとする旅行者は、所定の請求書に必要な資料を添えて、これを当該旅費の支出又は支払をする者に提出しなければならない。

 

旅費は原則として実費弁償です。しかし旅費法では、事務簡素化の観点から、定額支給としている項目があります。日当と宿泊料が定額支給です。定額支給であれば領収書の提出は不要です。

 

鉄道賃やバス賃は、時刻表やインターネットで、料金が公開されています。公共的な運賃です。誰が乗っても同じ料金で、簡単に計算できる交通費は、領収書の提出が不要です。しかし公開されてない運賃は、領収書の提出が必要になります。

 

日当は、昼食代と目的地を巡回する交通費や雑費です。もし日当を実費精算としてしまうと、食事のたびに領収書を集めたり、隣駅まで200円程度のチケット領収書まで取り寄せて提出しなければなりません。旅費の事務担当者も、領収書をチェックするだけで多くの手間がかかります。これらの煩雑さを避ける目的で定額支給としています。

 

また旅費法上の日当は、昼食代です。給与の手当と同じように考えてしまうと、大きなミスになります。例えば、昼食代が含まれた会議参加費を公費で支払い、日当を含んだ旅費を受領してしまうと、日当部分が重複支給になります。後日返納しなければなりません。日当は昼食代と理解しておくこと大切です。

 

宿泊料も定額支給です。事務簡素化の観点から、ホテルなどの領収書は不要です。チェックを省略しています。

 

一方、航空賃は実費支給です。

 

航空賃(飛行機代)は、航空会社によって料金がまちまちです。また割引料金でチケットを購入するのが一般的です。航空会社や旅行代理店によって料金が異なるので、領収書に基づく実費支給になります。航空賃は領収書の提出が必須です。万が一、航空賃の領収書を提出せず、正規料金で旅費の支給を受け、実際は割引運賃で安く旅行したとなれば、虚偽請求による不正使用になってしまいます。航空賃の領収書と、搭乗券の半券が提出書類です。

 

国家公務員等の旅費に関する法律
第十八条  航空賃の額は、現に支払つた旅客運賃による。

 

参考に、航空賃と飛行機代という言葉があります。同じように使われていますが、厳密には航空機と飛行機は、次のように違います。(あまり気にしなくて良いですが・・)

 

航空機 = ジェット機だけでなくヘリコプターやグライダー、ドローンまで含む広い概念。

 

飛行機 = ジェット機やプロペラ機

 

航空機 > 飛行機・・航空機の種類として飛行機がある。

 

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旅費の不正事件、カラ出張など

 

ときどきマスコミなどで報道されますが、カラ出張は不正使用として懲戒処分の対象です。実際には出張してないのに、証拠書類の提出が不要な新幹線を使った出張として虚偽請求し、旅費を受領するのは詐欺行為です。これらの不正が判明するのは、ほとんどが内部告発です。

 

また旅費の請求書類に記載した旅行日と、実際の旅行日が異なると、旅費の不正使用を疑われてしまいます。うっかりミスだとしても、かなりまずい事態になるので注意しましょう。旅行日が変更になったときは、例え、旅費の総額が変わらないとしても、旅行命令の変更手続き(日程変更)が必須です。手続きを怠ると、後日痛いことになります。出張が多いと日程を勘違いすることがありますので、注意しましょう。

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