出張旅費を請求するときのポイント、旅費についての基本的な知識

イギリス上空 出張旅費
イギリス上空

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

旅費請求の基本的なポイントの解説です。公務員等が出張するときは旅費の請求手続きが必要です。提出が必要な書類や公務かどうかの判断をくわしく説明します。旅費の不正使用を疑われないために必須の知識です。特に日当は、昼食代と覚えておきましょう。

旅費の構成内訳と公務の判断

 

官公庁の公務員等が、出張の際に必要とする旅費について、基本的なポイントを解説します。旅行に必要な経費が旅費ですが、ここでは「国家公務員等の旅費に関する法律」(以下「旅費法」と省略します。)に基づく旅費に限定して説明します。

 

交通手段として電車による旅費と飛行機による旅費を前提にします。

 

主な旅費の構成内訳は次のとおりです。

 

交通費(電車代や飛行機代)+日当(昼食代)+宿泊料

 

最初に、「出張」と「旅行」の違いを解説します。

「旅行」は広い概念で、ある場所からある場所へ移動することです。プライベートな旅も旅行です。旅行のうち、公務目的の旅行が「出張」です。

 

旅行 > 出張(公務目的)

 

公務とは、官公庁などの公的組織の仕事を目的としたものです。出張は、旅費法第二条で定義されています。

 

国家公務員等の旅費に関する法律

第二条
六  出張 職員が公務のため一時その在勤官署を離れて旅行し、又は職員以外の者が公務のため一時その住所又は居所を離れて旅行することをいう。

 

出張は、旅行命令に基づいて行なうものです。組織の長からの命令行為によって公務となります。そして、旅費予算が確保されている場合のみ旅行命令を発することができます。つまり、出張へ行く前に、旅費予算の範囲内で旅行命令が発せられて公務の出張となります。

 

国家公務員等の旅費に関する法律

第四条
2  旅行命令権者は、電信、電話、郵便等の通信による連絡手段によつては公務の円滑な遂行を図ることができない場合で、且つ、予算上旅費の支出が可能である場合に限り、旅行命令等を発することができる。

 

旅行命令権者は、通常、組織の長です。組織としての用務で旅行するので、旅行命令は組織の長が行います。勤務命令として、「通常の勤務場所を離れて、用務先で勤務すること」を命令するわけです。

 

次に公務の判断について説明します。

 

事務職員は、上司からの命令によって出張するケースが多いので理解しやすいですが、教員や研究者は、公務の判断に迷うことがあります。

 

国立大学に所属する教員(教授、准教授、講師、助教など)や研究者は、裁量労働制による労働形態です。教員は、自分の研究を実施するために出張することが多く、その研究は、公的なものか私的なものか区別が困難なことが多いです。

 

研究者は、職場でも自宅でも(24時間365日)研究を行なっています。特に、人文科学系や社会科学系の研究は、一般の人が趣味としている文学や美術鑑賞なども広く研究対象になっています。コンサートや芸能人まで全てが研究対象になり得ます。休日に美術館を訪問するときも公務(研究)になっていることがあります。一例ですが、神戸大学経済経営研究所では、平成29年3月8日にAKB48チームのアイドルを招いてシンポジウムを実施しました。「AKB48の計算社会科学 ~かよよん(AKB48チームA)を迎えて」

 

教員や研究者の旅行が、公務かどうかの判断は、次の視点で検討することになります。家族や友人と一緒に楽しむような旅行であれば公務ではない、それ以外で研究テーマに関連していれば公務という判断です。

 

公務でない旅行として、他の組織から依頼される用務(他の組織側から見れば公務ですが、自分の組織の仕事ではないケース)、兼業承認を受けた相手方の用務、私的な研修(旅費は自己負担)等があります。

 

公務でない旅行のときは、休暇の手続きを事前に行なう必要があります。休暇手続きを忘れると、就業規則違反(職務専念義務違反)となってしまいます。一般的に、裁量労働制の勤務形態であれば、勤務時間管理は不要です。1日のうち数時間だけ他の用務を行なうときは、休暇手続きは必要ありません。

 

旅費の請求手続き

 

出張旅費の請求手続きは、通常、旅行者本人が行います。実際の交通手段や宿泊先については本人しかわかりません。

 

国家公務員等の旅費に関する法律

第十三条  旅費の支給を受けようとする旅行者は、所定の請求書に必要な資料を添えて、これを当該旅費の支出又は支払をする者に提出しなければならない。

 

旅費は、原則として実費弁償です。しかし旅費法では、事務簡素化の観点から、定額支給にかかる部分があります。鉄道賃、日当、宿泊料は定額支給です。領収書の提出は不要です。

 

鉄道賃やバス賃は、時刻表やインターネットで公開されている公共的な運賃です。誰が乗っても同じ料金で簡単に計算できます。公開されてない運賃は領収書の提出が必要になります。

 

日当は、昼食代と近隣の交通費などの雑費です。もし日当を実費精算としてしまうと、食事のたびに領収書を集めたり、隣駅まで数百円のチケット領収書を集めて提出しなければなりません。旅費の事務担当者も、それらの領収書をチェックするのに手間がかかるので、この煩雑さを避ける目的で定額支給としています。

 

また、旅費法上の日当は主に昼食代です。手当てと同じように考えてしまうと大きなミスを招きます。例えば、昼食代が含まれた会議参加費を公費で支払い、旅費を請求するときに日当も含めてしまうと重複支給になります。日当は昼食代と考えておくことが大切です。

 

宿泊料も定額支給です。事務簡素化の観点から、ホテル等領収書の提出とチェックを省略しています。

 

一方、航空賃は実費支給です。

 

航空賃(飛行機代)は、航空会社によって料金がまちまちです。そして割引料金でチケットを購入するのが一般的です。航空会社や旅行代理店によって料金が異なるので、実費精算になります。航空賃は領収書の提出が必須です。万が一、航空賃の領収書を提出せず、正規料金で旅費の支給を受け、実際は割引運賃で安く旅行したとなれば、架空請求による不正使用になってしまいます。航空賃の領収書と搭乗券の半券が提出書類になります。

 

国家公務員等の旅費に関する法律
第十八条  航空賃の額は、現に支払つた旅客運賃による。

 

旅費の不正事件

 

マスコミなどで報道されることがありますが、カラ出張は不正使用として懲戒処分の対象です。実際には出張してないのに、証拠書類の提出が不要な新幹線での旅費を請求して受領するのは詐欺行為です。

 

また、旅費請求書類と実際の旅行日が異なると、旅費の不正使用を疑われるので注意しましょう。旅行日が変更になったときは、旅費額が変わらないとしても、速やかに旅行命令の変更手続き(日程変更)が必要です。手続きを怠ると後日痛いことになります。出張が多いと日程を勘違いすることがありますので注意しましょう。

コメント