旅費法「公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情」の具体例

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出張旅費
2020年10月 日光東照宮
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国家公務員等の旅費に関する法律(旅費法)には、「公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情」という記載が多数あります。簡単に言えば「やむを得ない場合」なのですが抽象的すぎて判断に悩みます。そこで具体例でわかりやすく解説します。

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「公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情」の条文

 

最初に旅費法の該当条文を確認します。主なものは次の通りです。地方公務員は、それぞれの地方自治体で定めている旅費規則によりますが、同様の内容が多いです。

国家公務員等の旅費に関する法律

 

第五条 旅行者は、公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情に因り旅行命令等(前条第三項の規定により変更された旅行命令等を含む。以下本条において同じ。)に従つて旅行することができない場合には、あらかじめ旅行命令権者に旅行命令等の変更の申請をしなければならない。

 

第七条 旅費は、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する。但し、公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情に因り最も経済的な通常の経路又は方法によつて旅行し難い場合には、その現によつた経路及び方法によつて計算する。

 

第八条 旅費計算上の旅行日数は、第三項の規定に該当する場合を除く外、旅行のために現に要した日数による。但し、公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情に因り要した日数を除く外、鉄道旅行にあつては四百キロメートル、水路旅行にあつては二百キロメートル、陸路旅行にあつては五十キロメートルについて一日の割合をもつて通算した日数をこえることができない。

 

第十九条 車賃の額は、一キロメートルにつき三十七円とする。ただし、公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情により定額の車賃で旅行の実費を支弁することができない場合には、実費額による。

 

第二十条 日当の額は、別表第一の定額による。
2 鉄道百キロメートル未満、水路五十キロメートル未満又は陸路二十五キロメートル未満の旅行の場合における日当の額は、公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情に因り宿泊した場合を除く外、前項の規定にかかわらず、同項の定額の二分の一に相当する額による。

 

いずれも例外として認めるときに使われています。

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「公務上の必要」の具体例

 

「公務上の必要」について具体例で解説します。

 

公務上の必要は、上司である出張命令権者が最終的に判断します。出張のためにやむを得ないと考えられる場合であれば、公務上の必要があると判断されます。例えば次のようなケースです。

 

バス料金など、多くの人が一般的に使う料金が高い場合

 

旅費法の原則は、実費弁償です。出張にかかった費用を補填するために旅費を支給します。目的地へ向かう経路が複数ある場合に、単純に安い方の経路を選ぶのは間違いです。安い方の経路を選ぶ場面は、多くの人が使う一般的な経路が複数ある場合に限られます。到着時間も、乗り換え回数も、便利さが同じような状況のときに、最安値の経路を使うのです。

 

これは、多くの人が一般的に使う経路が、もっとも最適と考えられるからです。交通費が安くても、乗り換えが複雑だったり、到着時間が遅かったりすれば、多くの人は不便と感じて選択しません。そのような不便な経路の旅費は支給しません。

 

飛行機の方が便利な場合

 

鉄道やバスを使うと、乗り換えが多かったり、時間がかかり過ぎるときに飛行機を使うことがあります。乗り換えの負担が少なくなり、到着時間が早くなれば、身体の負担も少なくなります。見知らぬ土地では、少し歩くだけでも身体に負担がかかります。出張用務以外の移動に伴う負担は、なるべく減らしたいわけです。特に格安航空賃が、鉄道賃とそれほど変わらないのであれば、負担の少ない飛行機を使うべきです。ただ、高所恐怖症の人は使わなくて問題ありません。

 

用務に間に合わない場合、始発や終電になるような場合

 

いつも家を出る時刻よりも相当早く出発しなくてはいけない場合、あるいは、いつも家に到着する時刻よりも相当遅くなるような場合には、前泊や後泊も認められます。

 

例えば、通常の勤務では朝7時に家を出ている人が、出張の日には朝5時に出発しなければならないとすれば、相当な負担になります。旅費予算に余裕があるなら前日に出発することも可能です。

 

出張から帰るときも同じです。通常業務のときは家に着くのが20時頃だとしましょう。出張用務を終えて、その日のうちに帰るときに、自宅へ到着するのが22時を過ぎるようであれば、もう1泊してから翌朝帰ることも可能です。その方が身体の負担は少なくなります。最終的には上司である出張命令権者が旅費予算を勘案して判断することですが、身体に負担のかかる無理な出張は避けた方が良いのです。

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「天災その他やむを得ない事情に因り」の具体例

 

「天災その他やむを得ない事情」の具体例です。わかりやすいのは自然災害や事件・事故など、誰にとっても避けられない場合です。

 

◯台風、大雨、強風、地震、津波、がけ崩れ、倒木などの自然災害

 

◯火災や大規模な交通事故などで周辺が立ち入り禁止になるなどの事件・事故

 

これらの不可抗力な状況が発生し、当初の出張計画を変更せざるを得ない場合です 。飛行機が飛ばなくなり電車やバスを使う場合や、電車やバスが動かなくなりタクシーで迂回する場合などです。避けがたい状況のときです。

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「公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情」を示す理由書や資料

 

通常の出張ではなく、やむを得ず「公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情」と判断したときは、それを示す理由書と証拠書類が必要です。旅費請求のときに関係書類と一緒に提出しなければなりません。

 

理由書と言っても難しいことはなく、事実をありのままに記載すれば十分です。誰が見ても「仕方なかったよね」と思う内容であれば問題ありません。理由書を補足する資料として、新聞やネット上の記事などを添付すると良いです。公共交通機関の多くは遅延証明書などが発行されます。できれば現場で、運行中止の張り紙や混乱している状況などをスマホで撮影すると良いです。

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「公務上の必要」としてグレードアップは認められるのか

 

公務上の必要と判断するときに悩むのが、グレードアップまで認められるのか、という部分です。新幹線などの特急や急行にはグリーン車と個室があります。また飛行機であれば座席クラスも種類があります。旅費法や職場の旅費規則で定めているクラスを、「公務上の必要」としてグレードアップできるかという判断です。

 

例えば貴重な芸術品や、重要書類を運搬するときに、安全性を考慮したい場合です。他の乗客が隣にいない方が明らかに安全なわけです。個室であれば他の乗客が入ることはないので、荷物に触れることはできません。このように安全性を考慮してグレードアップすることも公務上の必要と判断できるかです

 

極めて慎重な判断にはなりますが、原則として「公務上の必要」にはグレードアップは含まれません。安全性の問題は、人それぞれの感覚で異なり、不可抗力に該当しないからです。公務上の必要に該当するのは、迂回して旅行しなければ目的地に到着しない場合です。

 

もし安全上の理由から座席などのグレードアップが必要と考えるのであれば、そもそも別の輸送手段を考えるべきです。 セキュリティの高い輸送専門会社を使う方が、より適正でしょう。

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