入札不調と不落随契の違いとは?実務経験者によるわかりやすい解説

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契約手続き
2007年 シンガポール
この記事は約7分で読めます。

入札不調と不落随契の違いを、わかりやすく簡単に解説します。競争入札を実施する契約担当者、競争入札へ参加する営業担当者向けの必須知識です。入札手続きを正確に理解するためにも、それぞれの違いや根拠法令を確認しましょう。

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入札不調と不落随契の違いとは

最初に、入札不調と不落随契の違いについて、簡単に把握しましょう。学校では教えてくれないので、念のため、読み方から確認します。

入札不調は、にゅうさつ ふちょう です。

 

不落随契は、ふらく ずいけい です。不落随意契約(ふらく ずいいけいやく)を省略した言葉です。単に、ふらく、とだけ呼ぶこともあります。

 

入札不調と不落随契は、入札手続きの流れの中で時期が異なります。共通点は、入札が上手くいかなかった後に使う言葉です。手続きの流れから考えると、入札不調の後に不落随契になります。

 

入札不調は、開札したときに落札者がなかった場合を指します。落札者がいなくて、入札が成立しなかったときに、入札が不調になった、といいます。省略して、不調になったということもあります。

 

一方不落随契は、入札不調の後に、再度公告入札を断念し、随意契約を締結するときに使います。不落随契するかどうかは、任意です。必ず随意契約するわけではありません。

 

時系列的に整理すると、次の順番になります。

入札

開札

落札者がない 入札不調

随意契約するか判断(時間的な制約から、再度公告入札できないと判断し、入札やり直しを断念

随意契約を締結 不落随契

 

それでは、以下でくわしく解説します。官公庁の契約実務担当者だけでなく、民間企業の営業担当者にも必須の知識です。

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入札不調とは

入札不調とは、落札者がなかった場合を指します。

 

競争入札を実施する目的は価格競争です。落札基準価格(予定価格)の範囲内で、最も安い相手方を落札者として決定します。落札者が決定すれば、入札が成立したことになります。無事に入札が終わった、と安心できるわけです。(無事に入札を終えたことで、落札者が決定し、正式な契約を締結できたことになります。大きな入札を無事に終えた後は、皆で居酒屋で一杯やることが多かったです。)

 

一方、入札不調は、落札者がなく、入札が成立しなかったことを意味します。(入札が成り立たなかった、入札にならなかった、不調になった、などといいます。)

入札不調 = 落札者なし

 

落札者がなかった場合とは、次のケースです。

入札者がいない

入札者はいたけれど、落札者がいない

 

入札者がいない場合とは、そもそもが、誰も関心を示さない入札案件だったことになります。一般的には契約担当者の事前調査が不足していたことになります。十分に事前調査すれば、たとえ1社でも入札が可能になる仕様書が作成できるからです。入札者がいない状態は、かなり恥ずかしい入札と言えます。当然ながら杜撰な書類作成が疑われます。膨大な労力(通常、開札までに2ヵ月かかります。)を無駄にしたことになるわけです。典型的な、税金の無駄遣いともいえます。

 

入札者はいたけれど、落札者がいない場合とは、予定価格以内の入札金額がなかったケースです。再度入札を実施しても、安くなる見込みがないため入札を打ち切る場合と、再度入札の途中で、入札者全員から辞退札が提出された場合です。入札者が(これ以上安くできませんと)ギブアップしたケースです。入札不調は、このギブアップのケースがほとんどです。

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入札不調の根拠法令

入札不調とは、落札者がいなくて、入札が成立しなかった状態を指します。

 

落札者とは、会計法(下記参照)で定めているとおり、予定価格の範囲内の入札をした者です。例えば、官公庁が物品を購入する契約であれば、予定価格を 1,000万円としたときは、900万円の入札金額なら落札になります。1,100万円の入札金額なら落札しません。予定価格が落札基準価格になるわけです。予定価格を超えて落札させることはできません。

会計法

第二十九条の六 契約担当官等は、競争に付する場合においては、(略)予定価格の制限の範囲内で(略)最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とするものとする。(略)

 

わかりやすく表現すると、入札不調とは、予定価格以下の落札者がいなかった場合です。落札者がいなくて、入札が成立しなかったときの状態です。

 

参考に地方自治体では、次の条文になります。

地方自治法
第二百三十四条

3 普通地方公共団体は、一般競争入札(略)に付する場合においては、(略)予定価格の制限の範囲内で(略)最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とするものとする。

国の法律(上記の会計法)と、ほぼ同じ内容です。

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不落随契の根拠法令

不落随契(不落随意契約)は、落札者がなく入札不調となったとき、再度公告入札を実施する時間がないときに締結する随意契約です。

 

本来であれば、入札不調になったときは、再度、入札公告を掲載し直して、もう1度入札を実施するのが原則です。最初の入札に参加していなかった別の会社が入札して、安く落札できる可能性もあるからです。そのために再度公告入札として、公告期間を短縮する手続きが認められています。

 

しかし入札手続きは、かなり長期間(通常は、2ヵ月以上) 必要です。また契約内容によっては、履行期間が数か月と長期にわたる場合もあります。例えば、契約を締結してから納品までに半年以上必要になったり、製造期間が7ヵ月必要になることもあります。そうなると、年度内に入札をやり直す時間的な余裕がありません。

 

また契約を中止すれば、事業が実施できなくなり、大きな支障になることがあります。再度公告入札を実施する時間的ゆとりがないときは、不落随契が認められています。根拠法令は次のとおりです。

予算決算及び会計令
第九十九条の二 契約担当官等は、競争に付しても入札者がないとき、又は再度の入札をしても落札者がないときは、随意契約によることができる。この場合においては、(略)最初競争に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができない。

 

不落随契が認められる条件は、予定価格の範囲内で契約することです。実際には、入札金額の安かった順番で、個別に価格交渉を行います。もし入札者の中で予定価格以下の金額提示が無理であれば、入札に参加してない別の会社とも随意契約可能です。一般的には、最安値の会社が、入札金額よりも安い見積書を提出してくれます。

 

ここで疑問に思うかもしれません。

ギリギリの入札金額で落札しなかったのだから、それ以上金額を値引きするのは無理でなないか

 

普通に考えれば、そのように感じるのが当然だと思います。しかし実際の競争入札では、随意契約として価格交渉すれば値引きに応じてくれることが多いです。価格交渉は、官公庁側の契約担当者が、ぜひ契約をお願いしたいと(真剣に)頭を下げてお願いすることになります。民間企業側としては、そこまで依頼されるなら協力しましょう、となります。断れば他社に契約を取られるという意識が働くのかもしれません。

 

しかし予定価格以内の金額提示がなければ、不落随契も無理です。こうなると、かなり痛い状況になります。仕方なく最初から入札をやり直すしかありません。仕様書と予定価格を再度作成し、入札公告からやり直します。

 

参考に地方自治体の根拠法令です。

地方自治法施行令

第百六十七条の二 (略)随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。

八 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。

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不落随契が問題になるケース

競争入札を取りやめて、随意契約を締結しようとするときは、かなり躊躇します。

 

せっかく苦労して作り上げた仕様書と予定価格です。できれば入札手続きの中で、スッキリと落札させたいわけです。随意契約することは、後ろめたい気持ちになります。契約担当者にとって、入札不調はかなりショックです。

 

もちろん、契約手続きに余裕があるなら再度公告入札を実施すべきです。しかし単年度予算で時間がないときは不落随契せざるを得ません。

 

不落随契は、競争性を排除した随意契約とは異なり、契約方式や契約金額が問題になることはありません。なぜなら価格競争を実施した結果、予定価格が厳しすぎて随意契約になったからです。

 

一般的に随意契約が問題となるのは、契約金額が業者の言いなりではないか、高いのではないか、という部分です。価格が適正ではない、という観点から問題視されることが多いです。

 

価格競争を行っていれば、(落札しなかった入札書があるので)ギリギリの価格だったことが証明できます。随意契約で問題となる価格面がクリアされているわけです。そのため不落随契は、予定価格の範囲内で契約できている限り、何も問題ありません。

 

不落随契が問題になるケースは、入札をやり直す時間が十分にあるのに、(サボって)入札しなかった場合だけです。履行期間(納入期間)が1ヵ月程度の短期の入札の場合のみです。入札になるような大規模な契約では、ほとんど該当しません。

コメント

  1. 匿さん より:

    不落随契についてですが、不落になった場合も業者側は予定価格を聞くことはできないのでしょうか?
    落札ができなかった業者に「この価格まで落としてもらえないか」と価格交渉もできない状況であれば、契約も行えないように思うのですが、実際の取引はどうなのでしょうか。

    • 矢野雅彦矢野 雅彦 より:

      管理人です、コメントありがとうございます。

      予定価格は、「秘密にする場合」と、「公表する場合」があります。地方自治体や国の一部の入札では事前公表、あるいは事後公表しています。公表して公開する場合は、入札広告などに記載されています。入札案件ごとに判断されます。

      予定価格を公表(公開)しない「秘密扱い」の場合は、不落随契でも教えることはできません。不落になる前段階でも予定価格を教えて(公表)ないですし、一部の会社へ教えたことになってしまうと、法律違反(犯罪)です。

      「秘密扱い」の予定価格を、入札参加会社へ漏らしてしまうと「予定価格漏洩」として犯罪になります。官製談合防止法違反です。

      実際には、予定価格に達しないときは、入札を打ち切り、最安価格の会社と交渉に入るケースが多いです。最安価格の会社は、交渉時に「予定価格とは、どのくらい開いてますか?」とか、「ここだけの話しとして予定価格を教えてもらえませんか?ひとりごとでもいいです。」などの要望があります。しかし、「すみません、この入札は、予定価格非公表なので、金額を言えません。」と返答します。

      そして次のように依頼します。

      「これ以上、もう無理という、最大限の値引き額で金額を提示してください。駆け引き抜きにして、これ以上無理という金額です。」

      多くの会社は即答せずに、持ち帰って検討し、2~3時間後くらいに電話連絡してきます。まれに翌日のこともあります。

      この金額が予定価格の範囲内でなければ、不落随契もしません。予定価格を超えていれば、再度仕切り直して、(かなり大変ですが・・二度手間ですし)最初から入札を行うことになります。リセットする入札であれば、予定価格を見直して再設定することが可能です。落札しない金額なら増額することもあります。

      ただ、ここで注意が必要なのは、そもそも予定価格は、「安ければ良いもの」ではないということです。大昔(1990年くらいまで)の会計検査院は、「予定価格が高すぎる」と口癖のように言ってましたが、「安ければ良い」という考え方は正しくないです。そもそも予定価格とは「市場で正常に取引できる金額」で設定すべきです。適正な利益を含めて予定価格とするのが正解です。つまり、適正な予定価格であれば、必ず「落札するはず」なのです。

      • 匿さん より:

        丁寧なご回答いただきありがとうございます。
        企業の側としては「入札辞退=もうこれ以上無理金額を下げるのは無理です。」という意思表示だと思うのですが、なんだか不思議な制度だなと感じました。
        とにもかくにも公開されていない予定価格は聞かないという点は今後十分に注意していきます。
        ありがとうございました。

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