総合評価落札方式が危険な理由とは、スパコンなどに限定されるべき

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入札
2002年 ハワイ

総合評価落札方式についての解説です。官公庁が実施する入札は価格競争が原則です。しかしスーパーコンピューターのように性能が最優先される場合には、金額だけでなく性能を評価に加えることができます。しかし総合評価落札方式は限定的に使うべきです。

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総合評価落札方式導入の経緯

 

総合評価落札方式は、スーパーコンピューターの入札方式として1990(平成2)年から始まりました。

 

ちょうど昨日(2020年6月23日)、スーパーコンピューターのうれしいニュースがありました。理化学研究所のスーパーコンピューター 富岳 が世界一位になったのです。計算性能が世界一になったということは、あらゆる研究の基盤が底上げされたことになります。例えばシミュレーションを多用するような研究では、今までよりも速く研究結果が得られるようになります。

 

スーパーコンピューターが世界一のスピードを競うのは、単にスピードだけでなく、その計算性能を用いてすべての研究が飛躍的に進展するからです。スーパーコンピューターのように速度を追い求める設備は、金額だけでなく、より高い性能が必須です。そのため金額に加えて性能を数値化して落札基準に反映するようになりました。アメリカからの圧力(1990年当時は日米経済摩擦でアメリカのスーパーコンピューターを導入するよう促されていました。)もあり、より性能の高いスーパーコンピューターが落札できるよう、総合評価落札方式が導入されたのです。

 

そして、その後1997(平成9)年には、 行政改革の一環として公共工事へも導入されました。規制緩和策として多様な入札・契約方式を導入するという考え方でした。この規制緩和の流れから、いろいろな入札形態(リバースオークションなど)が導入され2020年現在に至ってます。

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随意契約の隠れ蓑になるリスク

 

総合評価落札方式が導入される前までは、純粋な価格競争でした。決められた条件の中で、一番安い入札金額を提示した会社が契約を獲得できました。入札へ参加する会社が多いときは、開札当日にならないと落札会社はわかりませんでした。そして、安かろう、悪かろうのリスクが常に存在していました。

 

一般に市販されている製品であれば、信頼性や性能が確立されているので価格競争で問題ありません。しかし市販製品でない場合、例えば受注製品やサービス業務などでは、安かろう、悪かろうのリスクが排除できませんでした。

 

そこで性能面を数値化して評価する、総合評価落札方式が導入されたのです。

 

総合評価落札方式は、金額だけでなく、性能を評価の対象に加えます。2020年現在は、入札の中の一形態ですが、限りなく随意契約に近いものです。

 

なぜなら性能を評価する条件の中に、官公庁側の意向を強く反映させることができるからです。競争を逃れる意図で総合評価落札方式を導入すれば、お気に入りの会社を落札させることができてしまいます。随意契約の隠れ蓑にさえすることが可能です。

 

そのため、総合評価落札方式を導入するときには、次の点を遵守して公正性を確保する必要があります。

性能を評価する評価項目や技術点は事前に公表すること、誰もが点数を計算できるようにすること

 

評価項目や技術点は、特定の企業に偏ることのないよう、仕様策定委員会で公平に定めること

 

総合評価落札方式の対象とする契約は、世界的に競争が行われている分野に限定すること

 

この点が遵守されないと、入札を逃れるための随意契約と同じになってしまいます。

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危険な総合評価落札方式とは

 

総合評価落札方式は、限りなく随意契約に近いものです。公平な価格競争ではありません。なぜなら評価項目や評価点数を恣意的に設定できてしまうからです。

 

そのため、総合評価落札方式を実施する入札案件は慎重に判断すべきです。私は、スーパーコンピューターの他に5件ほどしか実施したことはありません。40年間で6件ほどです。それほど慎重にすべきものです。(通常の入札は、100件以上実施しました。)

 

総合評価落札方式は、安かろう、悪かろうを排除するためのものです。逆にいえば過度な競争を防止できるので、安心できる大手企業を選定できてしまいます。評価項目や評価点数について、特定の会社しか落札できないように複雑な条件を設定できます。つまり意図した会社を落札させることが可能です。入札逃れの随意契約と同じように、かなりリスクのある契約手続きです。

 

スーパーコンピューターのように世界的な競争環境が確立されており、性能を評価する項目が世界標準であれば問題ありません。しかしそれ以外を評価項目とするのは、恣意的になるため危険です。

 

総合評価落札方式を適用する契約は限定されるべきものです。

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