予定価格を超えた随意契約は可能?入札では落札上限価格のため違法

予定価格を超えた随意契約は可能でしょうか?一般競争入札では、予定価格を超えていれば再度入札になります。再度入札でも落札しなければ入札不調になってしまいます。予定価格を超えて契約できません。では随意契約のときは、どう対応すべきでしょうか。

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予定価格は競争入札の落札上限価格

 

通常、競争入札を実施するときは、最低価格自動落札方式が採用されています。購入契約の場合であれば、予定価格以下で最も安価な金額の入札者が自動的に落札になります。売り払い契約では、逆に高い金額の入札者が落札します。

 

つまり予定価格は、落札者を決定する際の上限価格です。競争入札では、予定価格がなければ落札できません。予定価格を作成して開札場所に置くことが、予決令(予算決算及び会計令)第七十九条で定められています。

 

予算決算及び会計令

第七十九条  契約担当官等は、その競争入札に付する事項の価格を当該事項に関する仕様書、設計書等によつて予定し、その予定価格を記載し、又は記録した書面をその内容が認知できない方法により、開札の際これを開札場所に置かなければならない。

 

落札者の決定は、予定価格の範囲内で行うことが会計法で定められています。

 

会計法

第二十九条の六 契約担当官等は、競争に付する場合においては(略)予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とするものとする。

 

また競争入札で予定価格を超えた場合に再度入札を行うことが予決令第八十二条で定められています。地方自治体は同様の規定が地方自治法施行令第百六十七条の八にあります。

予算決算及び会計令

第八十二条  契約担当官等は、開札をした場合において、各人の入札のうち予定価格の制限に達した価格の入札がないときは、直ちに、再度の入札をすることができる。

 

地方自治法施行令

第百六十七条の八
4 普通地方公共団体の長は、(略)開札をした場合において、各人の入札のうち予定価格の制限の範囲内の価格の入札がないとき(略)は、直ちに、再度の入札をすることができる。

 

国も地方自治体も、競争入札では予定価格以内で落札すること、予定価格を超えたときは再度入札を行って契約の相手方を選ぶことを明確に定めています。

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随意契約で相手方を選ぶ方法は

 

上記のように競争入札では、落札者を決定するための上限価格が予定価格です。予定価格を超えた落札はあり得ません。法令違反です。競争入札では、予定価格を超えた契約は違法です。

 

では随意契約の場合、相手方が提出した見積書が、予定価格を超えていたらどうでしょうか。次の点が疑問になります。

 

予定価格を超えた随意契約は可能なのか?

 

そもそも随意契約の場合に、予定価格は必要なのか?

 

随意契約でも予定価格が必要になることは、予決令第九十九条の五に明記されています。

予算決算及び会計令

第九十九条の五  契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、あらかじめ(略)予定価格を定めなければならない。

 

地方自治体は、それぞれで定めています。参考に東京都の例です。

東京都契約事務規則

第三十三条 契約担当者等は、随意契約によろうとするときは、あらかじめ第十三条の規定に準じて予定価格を定めなければならない。

 

また随意契約は、競争入札とは異なり、入札書ではなく見積書を提出してもらいます。随意契約には落札という概念がなく、契約の相手方を決定する方法が明確に定められていないのです。随意契約でも予定価格が必要なことは、上記の予決令第九十九条の五で明らかです。しかし競争入札のように契約の相手方を決める会計法令は存在しません。

 

では随意契約の場合、相手方をどう選んだら良いのでしょうか。

 

官公庁の契約方式は、一般競争入札が原則です。例外として指名競争入札と随意契約が認められています。そして競争入札で契約の相手方を決定する方法は、予定価格を上限価格とし、最も安い者を選ぶ自動落札方式です。自動落札方式は、契約担当者の恣意的な判断を排除し、公正性を確保する目的があります。これらを考えれば、随意契約の場合にも、競争入札に準じた手続きが求められます。つまり随意契約であっても、予定価格の範囲内で、最も安価な見積書を提出した者を契約の相手方とします。競争原理を取り入れた選定方法です。

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予定価格を超えた随意契約は違法か

 

それでは、予定価格を超えた随意契約は違法なのでしょうか?

 

結論から言えば、随意契約の金額が予定価格を超えていても違法ではありません。

 

会計法令で定められていない以上、違法とはなりません。

 

予定価格を超えての随意契約は違法ではないのですが、このような契約手続きを実際に行ってしまうと、別の新たな問題が生じます。

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新たな問題は、予定価格が適正なのか、ということ

 

それは、予定価格の設定が適正なのかという問題です。

 

予定価格の作成方法は、予決令第八十条で定められています。

 

予算決算及び会計令

 

第八十条  予定価格は、競争入札に付する事項の価格の総額について定めなければならない。

 

2  予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。

 

予決令第八十条第ニ項では、取引の実例価格などに基づいて、適正に定めなければならないと義務付けられています。

 

地方自治体もそれぞれで定めています。

東京都契約事務規則

第十三条
2 予定価格は、契約の目的となる物件または役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。

 

予定価格は、そもそも実際に取り引きできる価格で作成することが義務付けられているのです。つまり適正な予定価格であれば契約金額をオーバーすることはないのです。

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予定価格は適正な取引価格で設定

 

物品を購入する契約の予定価格であれば、官公庁側に有利となるよう、可能な限り安い金額を設定すれば良いのでしょうか?

 

立場の弱い民間企業へ、無理やり値引きさせれば良いのでしょうか?

 

税金を安く使うという狭い考え方であれば、経済性だけを追求する方法も許されるかもしれません。しかし、予決令第八十条で定めている適正という意味は、適正な取引価格で予定価格を作りなさい、ということです。適正な取引価格とは、物品を製造した原価と、会社の利益を含むものです。予定価格を作成するときに勘違いし易いのは、安ければ良い、という安易な考え方です。しかし、安ければ良いというのは、官公庁では間違った考え方です。

 

特に注意したいのは、国民の貴重な税金を扱っている官公庁の契約担当者が、民間市場における正常な取引を阻害してはいけないということです。

 

利益を確保しなければ民間企業は倒産してしまいます。利益のない赤字の契約を強制すれば、民間企業へ負担のみを押し付けてしまいます。正常な市場取引を阻害してしまうのです。官公庁との契約を獲得したい民間企業は、自社の宣伝も兼ね、契約実績だけを目的にして原価を割り込むような契約金額を提示することがあります。これは適正な契約金額とは言えません。

 

話を戻しますが、予定価格を超えた金額で随意契約を締結してしまうと、予定価格が適正にはならず、金額自体が誤りだったと看做されてしまうのです。なぜなら、通常の利益を含んだ適正な金額で予定価格を設定すれば、必ず契約可能な金額になるはずだからです。

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随意契約で予定価格を超えそうなとき

 

随意契約を締結しようとするときに、予定価格と見積書の金額が折り合わない場合は、次のように取り扱います。

 

予定価格よりも見積書が高い場合の対応方法です。

 

民間企業の営業担当者へ、さらに安く(値引き)することが可能か再度検討を依頼し、2回目の見積書を提出してもらいます。次のように、さらに値引きの検討を営業担当者へ依頼します。

 

「適正な利益まで減額する必要はありませんが、さらに値引きの余地があるなら検討願います。」

 

それでも予定価格を超えているときは契約金額の決定を保留します。次のように営業担当者へ依頼します。

「私どもの方でも、再検討したいと思います。契約金額はしばらく保留でお願いします。」

 

どうしても値引きが無理なようであれば、その内容を聞き取り調査します。特に過去の取引実例価格よりも値引き額が少ないような場合は、値引きが無理な理由を聞き取りメモします。仕入れ価格の高騰などの止むを得ない理由であれば、何故、前回と同じ値引きが不可能なのか、理由書なども提出してもらいます。

 

検討を重ねても最終的に予定価格が高いときは、契約可能な見積金額を考慮して、予定価格を再度見直します。すでに契約金額は保留しています。何回か提出してもらった見積書は契約金額が合意できずに契約を締結できませんでした。契約金額を合意していないので、参考見積書になります。3回くらい見積書を提出してもらい、これ以上の値引きは無理という段階で予定価格を見直します。値引きをギリギリまで検討てもらった参考見積の金額で予定価格を作り直すことになります。

 

随意契約では、予定価格が取引価格と乖離した際には、取り引きの実態を反映した予定価格へ作り直します。その後、契約の相手方へ最後の正式な見積書を提出してもらいます。

 

予定価格を超えた随意契約は違法ではありません。しかし予定価格が適正でなくなります。実際に取り引きできない金額では適正ではありません。会計検査院などの外部検査では必ず「予定価格の設定が不適切」と指摘されます。注意しましょう。

 

なお、競争入札のときは、落札決定後に予定価格を変えることはできません。例えば、実際は落札しなかったのに、落札したかのように予定価格を作り直すのは違法行為です。上記の会計法第二十九条の六によって、予定価格以下でしか落札にならないからです。開札時の上限価格を変えることはできません。

 

開札して再度入札しても落札せず、予定価格の見直しが必要と判断したなら、入札そのものを取りやめます。すべての手続きをリセットして仕様書を見直し、最初から予定価格を作り直します。そして入札公告を再び公開してやり直します。入札手続きをすべてやり直すときは、予定価格も作り直すことができます。

コメント

  1. umanose より:

    公募プロポーザルも随意契約ですから、予め作成した予定価格を超えた提案が採用された場合も同様に考えればよいでしょうか。

    • 矢野雅彦矢野雅彦 より:

      管理人です、コメントありがとうございます。

      公募プロポーザルについては、契約の相手方を決定する条件として「予定価格の範囲内」ということが明記されてなければ、随意契約と同じ扱いです。公募プロポーザルは、相手方を決定する方法を事前に公開しておくことが重要です。